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南充浩 オフィシャルブログ

自社商品は高く売りたいが買うときは安く買いたいという都合のいい話

2024年4月25日 トレンド 1

いろいろな物の値段が少しずつ上がっている(大幅に上がった物もある)ことを実感する。

多くの人は職業人であり消費者である。自分も含めてのことになるが、人間のほとんどは職業人としてはできるだけ高く売りたい・高い報酬をもらいたいと思っているが、消費者としてはできるだけ物・サービスは安く利用したいと思っている。

矛盾極まりない願望である。しかし、ほとんどの人は矛盾と意識せずに普通に願望を垂れ流している。

先日、某自営業の女性と雑談する機会があった。とりとめのない雑談である。

いわく、ときどき通っているマッサージ店?整骨院?が大幅値上げをしたらしい。単なる雑談なので正確な金額かどうかは不明だが、1000円くらいだったのが2000~3000円くらいになっているとのことである。

当方も肩凝り症なのでいろいろなマッサージ店・整骨院を体験してきたので料金体系が様々あることも理解しているし、メニューに応じて料金が異なることも知っている。

どういう施術内容で1000円だったのかは不明だが、これが事実だとすると値上がり幅は物凄い。繰り返すが施術内容は分からないが、ただ、2000~3000円くらいの料金設定は決して高すぎるということはない。店によっても価格差はあるが60分で3000円内外というのは大阪市内ではだいたい標準価格である。

なので、以前までの価格が激安すぎたのを標準に戻しただけのことではないかというのが当方の感想である。

 

 

ここまでなら普通の世間話で終わる。

ところが、である。この人は自分でもリラクゼーション?ナンタラセラピー?的なサロンを自営している。ガッツリした凝りほぐしマッサージではないにせよ、マッサージ的な施術もあるはずで、料金は2000~3000円程度ではない。多分、もっと高い料金設定で、最低でも5000円くらいではなかったかと記憶している。

となると、いわばほぼ同一業種なわけで、それでよく「値上がりして高すぎる」と言えると驚いてしまった。それなら自店の価格設定も見直すべきではないかと思ってしまう。

これが全く違う業種の人が「マッサージ店がめちゃくちゃ値上がりした」と嘆くのなら理解はできる。当方とて4月に入ってスーパー万代のキャベツが3月の2倍くらいの価格に値上がりしたことについては不当に憤っている。当方は農業についてはド素人なのでその苦労がわからないからだ。自動車整備士がマッサージ店の値上げについて嘆くのなら理解はできる。逆もしかりだ。マッサージ店の人が自動車整備の値上げについて嘆くことも理解できる。

しかし、今回の場合は、完全ではないにしろほぼ同一業種でありながら、よくそんなに他店の値上がりを嘆くことができるものだと驚いてしまう。

それでいて自店はもっと儲けたいと日々願っており、客単価を上げる努力をしている。一体どういう思考形態なのか当方の理解できる範疇を越えてしまっている。

 

 

今回の例はいささか特殊思考すぎるが、多かれ少なかれ、ほとんどの人はこれに近しい自分勝手さを持っている。

繊維・衣料品業界には職業人として「低価格衣料を絶対悪の権化」かのように言う人は少なくない。しかし、消費者に転じると自動車、パソコン、日々の食料品などは値下がり品を見つけては喜んでいる。また様々な外注費用はできるだけ安く削ろうとするが、自社の製品や工賃に値下げ交渉をされると劣化の烈火のごとく怒る。

しかし、以前も書いたように当方から見れば、パソコンも自動車も食料品もガンプラも衣料品も同一の消費財でしかない。消費財である以上、衣料品も割安感が求められるのは当たり前である。世間一般の支出先は洋服以外にもたくさんある。どれに比重を置くかはそれこそ人それぞれで個人の自由である。洋服と飲食は安めに抑えてガンプラを毎月買いたい人も少なからずいる。

洋服は何も絶対神聖不可侵な存在ではない。他の消費財と完全に同等である。どれを選ぶかは個人の自由、ライフスタイルによる。

 

 

さて、こんなアンケート記事がある。

商品を選ぶ時に重要視するポイントは? 「コスパ」は90.5%、「見た目」は87.6%【30代女性の意識調査】 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

TOKYO WHITEが30代女性を対象に実施した「商品の質と色」に関する消費者意識調査によると、消費者が商品を購入する際、「コストパフォーマンス」「デザインや見た目の美しさ」「耐久性や品質」を重視している傾向があることがわかった。また、商品の生産地にこだわるユーザーは、国産であることに安心感を持っている人が多い。

調査期間は2024年3月28~29日で、回答人数は1003人。

商品選びの際、気にする項目について聞いたところ、「気にする」と回答した割合は「コストパフォーマンス」(90.5%)が最多。「デザインや見た目の美しさ」(87.6%)。これに「耐久性や品質」(86.7%)「素材や製造方法」(56.0%)「ブランドのイメージ」(44.6%)「生産地」(36.2%)が続いた。

とある。このアンケートはどの消費財についてという縛りがないので、物を買うとき全般ということだと思うが、よほど金が余って仕方が無い富豪か、浪費家以外は「コスパ」を第一に考えるということがわかる。コストパフォーマンスが1位、次いで「デザインや見た目」、次いで「耐久性や品質」となっているから、割安感があってデザインがカッコよくて、耐久性があるという商品が概して売れやすいといえる。

そして、それは衣料品類にも当てはまる選択基準であると考えるべきである。

それを踏まえた上でコスパブランドにはない付加価値や魅力を自社の商品にどのように付与するか工夫を凝らすべきだろう。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2024/04/25(木) 1:51 PM

    言うは易し・だが、実行は難しいというより、不可能では?

    >安感があってデザインがカッコよくて、耐久性がある商品
    >それを踏まえた上で
    >コスパブランドにはない付加価値や魅力を
    >自社の商品にどのように付与するか工夫を凝らすべき

    ゲンロンもとい口先先商売は、下げ相場を当ててもえばれないのと
    一緒で、前向きな事をいわざる得ないのは仕方ないと思います

    現実的には「大資本のドレイになろう!」というのが
    庶民の正しい知恵かなとw

    あとは消費者に徹するだけにするとか

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