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南充浩 オフィシャルブログ

シーズンレス化している公式ネット通販の値下げ品コーナー

2024年4月23日 トレンド 0

近年は高気温化が顕著であることは多くの人が体感しておられるのではないかと思うが、個人的にもう一つ特徴的だと思うのが、夏以外の3シーズンで気温の高低が激しいということである。

例えば、今春でも3月末に前日よりも突然7~8度気温が上がっていきなり暖春になってしまった。そうかと思うと雨が降ったり低気圧が通過したりすると、前日よりも5~8度気温が下がることもよくある。反対にいきなり10度前後気温が上がることもある。

そのおかげなのか、大阪市内で街行く人の服装を眺めていてもシーズンレスみたいなことがよくある。二人連れで片方はダウンジャケットを着ているのに、もう片方は半袖半ズボンだったりする。

日本人同士でもこの傾向はあるが、インバウンド外国人同士でもそういうことが珍しくないと当方の目には映る。女性はウルトラライトダウンを着ているのに、男性の方は半袖半ズボンで何ならサンダル履きである。当方も暑がりだが、今の時期から半袖はともかく、半ズボンを穿くと真夏は何も穿かないという選択しかなくなるので、流石に半ズボンは穿かない。また半ズボンを穿くほどには暑くないと感じる。

逆にいくら朝晩はヒンヤリするとはいえ、ダウンジャケットを着て、それを最高気温24度の昼間でも着用していることも理解できない。当方なら確実に汗だくになる。

 

 

「マーチャンダイジングは最高気温ではなく、最低気温を重視すべき」という識者もおられて、それはそれで納得できる。この理論を当てはめると昼間はともかくとして朝晩は気温が低下するからダウンジャケットなどを着ているのだろうというところまでは理解ができる。

ただ、自分が洋服を着用するときは最低気温よりも最高気温を気にする。理由は暑がりで汗っかきだからだ。気温が5度くらいまで低下すれば防寒アウター無しでは耐えきれない。しかし、10度を少し超えた程度までしか下がらないのであれば、無風状態なら防寒アウター無しで耐えられる。それよりも、湿度や日光にも左右されるとはいえ、最高気温が23度くらいまで上昇すると当方は汗をかき始める。もし、天気予報で最高気温が23度にまで上昇するのであれば当方はそちらに対応した服装で出かける。

それにしても朝出かける時にヒンヤリしていたからダウンジャケットを着用したというところまでは理解できるが、昼間の最高気温が20度に達してもまだダウンジャケットを着て街を徘徊する人の体感温度が理解に苦しむ。減量中のボクサーだろうか。

 

 

それはさておき。

こういうシーズンレスはネット通販の販売ページも同様である。

需要があるのかないのかは正直わからない。最高気温23度でもダウンジャケットを着て大阪市内を歩く人は4月、5月でも防寒アウターを買うのかもしれない。

以前から書いているようにネット通販の商品ページをたくさん見ると目が疲れて頭痛が始まるので、当方はだいたいドットエスティ、ベイクルーズストア、アーバンリサーチの3つを定点観測している。

この3つのサイトのセールコーナーはともに、今春から驚くほどシーズンレスになっている。

付き合いとしてはドットエスティが最も長く、次いでベイクルーズ、そして1年半前からアーバンリサーチということになっているが、いずれも今までならセール品が完売しなくても、シーズン外れになると通販画面から消えていた。そして、だいたいまた半年後にアップされるというサイクルだった。

今の時期なら、2023秋冬の防寒アウターやセーター類はサイトページから今までなら消されていた。それが、今年4月は現時点でまだ残されていて、値引き販売されている。

いくら、たまに肌寒い日があるとはいえ、もうダウンジャケットや中綿ブルゾンを4月23日の時点で買う人はそんなにいないだろうと思うのだが。

良い言い方をすると「シーズンレス化」、悪い言い方をすると「ごちゃ混ぜのゴミ箱」、3社ともにそんな通販サイトの値下げコーナーになっている。

 

 

この理由について考えているが、理由の1つには冒頭に述べたように着用者のシーズンレス化の進行があるだろう。

もう一つ当方が考える理由として「店頭での異様なまでの値引き抑制、異様なまでの定価販売」も挙げられるのではないか。

粗利率を高めることが重要であることは間違いない。そのための値引きも抑制すべきであることは言うまでもない。しかし、近年の業界メディアの論調や業界コンサルタントの論調は「異様なまでに定価販売にこだわる」ことを是としている。だが、売れない物はいくらキバって定価販売しようと売れないのだから、損をしない程度に値下げしてさっさと投げ売りする方が時間も労力も節約できる。

タイパだコスパだ生産性の向上だ回転率だと言う割には、売れない物を値下げ無しで売ろうとして時間と労力をかけるのか全く意味がわからない。

 

その結果が、この3社に限らず通販サイトの値下げコーナー、アウトレットコーナーの充実ぶりではないのだろうか。ドットエスティのアウトレットコーナーには3年くらい前から残り続けている物があるし、ベイクルーズも同様だ。アーバンリサーチとの付き合いは短いながらも昨夏から並んでいる半袖Tシャツが今も残っていることは知っている。

それでも以前なら夏物と冬物くらいの商品入れ替えはあったが、それも今春は無さそうである。そこで労力を省くとともに長く陳列することによって1枚でも消化を早めようとしているのではないかと思う。

しかし、シーズンレス化を進めることは季節性を重視しながら売ってきたというこれまでの背景や正規品・実店舗に良い影響を与えることはないのではないかと思う。

何が何でも定価で販売することよりも、損をしない程度に値下げて早めに売り切るすべを広めた方が業界全体に役立つのではないかと思っている。

 

あ、今日で54歳になりました。

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