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南充浩 オフィシャルブログ

下方修正の理由が客数減少というサマンサタバサはかなり悪い状況ではないか

2024年4月15日 決算 0

先日、サマンサタバサが24年2月期通期見通しの更なる下方修正を発表した。

サマンサタバサの赤字が拡大 客数減で2024年2月期は16億円の最終赤字へ | セブツーは、世界各地のファッション&ビューティ情報を多言語で毎日配信するインターナショナル・メディアです。 (seventietwo.com)

 

ハンドバッグ大手企業のサマンサタバサジャパンリミテッド(Samantha Thavasa Japan Limited)は4月4日、2024年2月期通期の業績予想の下方修正を発表した。売上高は227億2400万円(前回発表は236億4000万円)、営業利益は10億2700万円の赤字(同10億5000万円の赤字)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億円の赤字(同11億4000万円の赤字)に修正した。

 

とのことで、売上高は当初見通しよりも微減。営業損失は2300万円だけ回復したが、当期損失は4億6000万円拡大してしまっている。

今回の業績修正でもそうだが、前回の通期見通しでも売上高減少と赤字計上の理由として「来店客数の減少」が挙げられていたことは大いに懸念される。

来店客数が計画を下回ったことで売上高が未達となり、さらに固定資産の減損損失として8億5400万円の特別損失を計上したため、売上高と最終損益が前回予想を下回る見通しとなった。

とある。

また、前回発表の業績見通しでも下方修正の理由として「客数が計画を下回った」ことを挙げている。

崖っぷちサマンサ「平成人気ブランド」3つの転機 客数減が続き「8期連続赤字」で経営は火の車 | 専門店・ブランド・消費財 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

最大の要因は、販売の苦戦。インバウンド需要が順調な一方、柱である国内の客数が伸び悩んだ。秋冬商戦がスタートした9月と10月も、残暑が続いたことで低調に推移。客数が当初計画の8割程度にとどまる見通しで、年末商戦での挽回も厳しいと判断した。

とある。

上の記事では「来店客数」とあり、一つ手前の記事では「客数」とあるので、正直なところ評価基準が正確にはできなさそうである。

来店客数は読んで字の通り、店に来店した客数である。しかし「客数」と言った場合、通常の上場企業の月次売上速報などでは「購買客数」を表し来店客数ではない。

ただし、来店客数が減れば購買客数も減る可能性が高い(必ず減るわけではない)から、完全に一致ではないが、傾向としては同じだと考えても良いだろう。

例外的に、来店客数は少し減ったが、すごく魅力的な商品・値引き率・接客などによって購買比率はアップして、結果的に実数としての購買客数は増えたという事例はあり得るということは頭の片隅に置いておく必要はある。

 

 

今回は直近の報道で明言されているようにまず「来店客数は確実に減った」ことは間違いない。次いで、一つ手前の報道の「客数」がどちらを指しているのかは不明だが、来店客数の減少に比例して買い上げ客数も減っていると考えても間違いではないのではないか。仮に購買比率が同じなら来店客数が減った分だけ買い上げ客数も減る。

今回の客数減少の理由として昨年秋から年末までの暖冬が挙げられていることにも疑問を感じる。衣料品の場合、気温が売上高に直結しやすい(必ずしも直結するわけではないが)ことは普通に考えれば理解できる。暖かいのに防寒着を買う必要・着る必要が無いからだ。しかし、サマンサタバサの本業はバッグである。アクセサリー、アパレルも展開しているが、バッグの店舗数が圧倒的に多い。

ちなみに2024年2月期第三四半期連結によると、

国内バッグ事業で111店舗(内Reborn計画店舗12店舗)、海外バック事業で27店舗、ジュエリー事業で22店舗、アパレル事業で45店舗、その他事業で35店舗となります。

とある。暖冬でアパレル事業が不振だったとしても、バッグはアパレルよりも気温要因での変動が元来は受けにくいアイテムである。なぜ、暖冬でバッグが売れないと発表しているのか。そこが疑問でならない。

男性と女性は感性が異なる。オッサンたる当方は気温に応じてバッグを変えることはあまりない。あるとすれば、雨の日は防水バッグに変える程度である。女性心理は全くわからないが、女性は気温によって持つバッグ・欲しいバッグが変わるということがあり得るのかもしれない。しかし、衣料品に比べれば気温での変動比率は小さいと考えられる。

それでも来店客数が減ったというのだから、問題は暖冬ではないのではないか。

 

 

 

店舗の人気のバロメーターは「客数」である。来店客数も買い上げ客数ともに人気のバロメーターである。興味を持ってもらえなければまず来店してくれない。そして来店したお客は商品やサービス、価格設定が悪ければ購入しない。

よって、来店客数も人気のバロメーターの一つだし、購買客数は確実に人気のバロメーターということになる。

来店客数が減ったということは、暖冬が理由ではなくサマンサタバサというブランドの人気が失墜してしまっていると考えられる。

そして、2024年2月期決算ということは、2023年3月から2024年2月末までの1年間の期間である。2023年5月にはコロナ自粛が全面解禁されている。そうなると、普通に考えると、店舗の客数は前年よりも増加することはあっても減少することはあまりないと考えられる。

今回の相次ぐ、「客数減少による業績下方修正」という事態は、サマンサタバサというブランドそのものが興味を持たれていない、支持されていないということの表れではないかと思う。

経営陣が考えている以上にブランドとしては危機的状況にあるのではないだろうか。

 

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