コスト削減の一環で絞り込まれる「色数」
2024年3月28日 企業研究 3
最近、ジーユーの商品の色展開が少ないと感じる。
Tシャツ・セーター類などのトップス、ブルゾンなどのアウター類、そしてパンツ類と全般的に色数が少ない。2010年代後半だと品番や型番にもよるが、5色くらいは普通に展開していたが今では3色展開がメインで場合によっては2色展開という物もある。しかもその3色がだいたい定番色である。
色というのはシーズントレンドとも密接に関係しているので、そういう定番色がトレンドである場合もあるが、そうではない場合もある。ただ、現在のジーユーの色展開は、トレンドであってもあまり数が出なさそうな色は外して定番色の3色に絞り込んでいるというように見える。
2010年代後半のジーユーは結構色数が多かった。
「色」の問題でいうと本来はVMDの領域であり、専門外の当方が深いことを説明することはできない。が、まあ見た目の印象くらいなら個人の感想なのでいくつか書くことくらいは許されるだろう。
これまでジーユーで買った商品は結構明るい色が多い。
鮮やかなオレンジのTシャツ、シャーベットオレンジのセーター、明るいグリーンのTシャツ、明るい黄色の綿セーター、ビビッドなブルーの綿セーター、黄色のマウンテンパーカなどなどだ。
これらの明るい色は大概が売れ残っていて大幅に値引きされている。これはかつてのユニクロとて同様である。ユニクロ以外のブランドでも公式通販サイトを見ていると、だいたい特にグリーンとオレンジはだだ余りする傾向が強くて、大幅値引きで期末に投げられる。アーバンリサーチしかり、ドットエスティしかり、ベイクルーズストアしかり、である。
今のジーユーは黒、チャコール、白(もしくはホワイトベージュ)の3色、あとオリーブかネイビーが加わるかどうかくらいの定番色でほとんどのアイテムが構成されている。
実際に売れやすい色というとこの5色ということになるからそれをチョイスするのは、確率論からいうと当然だろうと思える。
ただ、黒いブルゾン、コートばかりそんなに何着も必要無いし、セーターも黒、ズボンも黒、ということになると全身黒い男になってしまう。
それに黒ばかり着ていても何となく飽きてくる。
そうなると「新しい服を買わなくてもいいかな」という心持になる。
この辺りが「色」の難しいところで、売り場に並べたときにアクセントカラーの1つは絶対に必要なのではないかと思う。黒・白・グレーばかりの店では見映えが良くない。これは通販サイトでも同じだ。「白T」とか「黒T」とかそういうコンセプトなら別だが、そうではないのに黒白アイテムばかり並んでいるサイトではどれもこれも似たような印象に見えてしまう。
しかし、アクセントカラーのアイテムは売れ残りやすい。実際に買う人というのは、ブランドの売り上げ規模の大小にかかわらず総じて低い割合になってしまう。
大量生産が義務付けられている低価格ブランドではだだ余りして、最終的に投げ売られるという結末が待っている。例え、黒白グレーに比べて生産数量を大幅に減らしていたとしてもだ。
先日、ウィゴーのMD政策の記事が掲載された。
ウィゴー 生産効率化を高め価格引き下げ プロパー販売を重視 | 繊研新聞 (senken.co.jp)
ウィゴーは3月、商品価格を引き下げた。原材料費の高騰などを受け、過去2年で一部商品を約10~20%値上げしたが、若年層の客離れにつながったため。サプライチェーンを見直し、効率化を進める。適時適品供給も徹底し、プロパー消化率を高めて利益率を確保する。
ウィゴーの現在の顧客層は中高生だと認識している。最上限は二十歳くらいだろう。となると、必然的に高価格品は売れにくい。値上げをすると買い控えが起きるのは当然の結果である。
無駄な梱包(こんぽう)材をなくし、商品の色数も絞り込んだ。中心価格をトップ約1000~3000円、ボトム約2000~4000円に抑えた。原価率は上がるが、「ニーズに合わない価格で売れ残り、値引きになるよりもプロパー消化率を上げる方がいい」(園田恭輔社長)とする。
とあるが、価格引き下げのためのコスト削減政策の1つが「色数を絞り込む」である。つらつらと見てきたように明るいアクセントカラーは見映えはするが、売れ残る可能性が多い。となると色数を絞り込んだ方がロスは減らせる。ジーユーの色数が2020年代から絞り込まれたのは同様の理由だろうと推測される。
原価率を上げてプロパー(定価)販売することも、原価率を抑えて値引き販売することも、利益率としてはそんなに変わらないんじゃないかと当方は思ってしまうが、「値引きされやすいブランド」というイメージの固定化を避けたかったのではないかと考えられる。
現在は、大幅値引きブランドはジーユーが抜きんでていて、不振アイテムは定価が何千円でも990円に値下げされてしまう。ユニクロは1290円で何とか踏みとどまろうとしているが、当方は当然990円に値下げされたジーユーの商品を買っている。
適時適品供給のため、SNSなどからの情報をもとに、若年層のニーズを分析し、商品企画に生かす。リードタイムを短縮し、店頭へ商品を投入する頻度を高める。一連の施策を「ウィーグッドプライス」と名付け、POP(店頭広告)やSNSで発信し、価格を見直したことを周知する。
「少子化で若年層の数が増えることはない。低価格・高品質な商品でリピーターを増やすことが重要だ」と考える。
と記事は結ばれているが、疑問な部分がある。「リードタイムを短縮し」という点である。全世界的にコロナ自粛が解禁され2020~2023年に比べるとサプライチェーンは安定しているが、それでもまだウクライナ侵略は決着していないし、2024年からは物流問題が国内外で持ち上がっている。リードタイムは良くて現状維持だとしか考えられないのだが、どのようにして短縮するつもりなのだろうか。ここは秘中の秘なのかもしれないが、記者には突っ込んでもらいたかった。
現在の状況下でどのようにしてリードタイムを短縮させるつもりなのか、謎は深まるばかりである。
comment
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偽ずんだもん より: 2024/03/28(木) 8:03 PM
イオンモールに行って服屋を見て回りますが、正直な感想は「こんなに服屋いらないよね?」「どうせ値下げされるし、また来年も似たようなデザインが出るだろうから急いで買う必要は無い」です。
スポーツショップや靴屋も同様です。どこもかしこもセールの嵐で、もう最初から値下げして売るか、いっそ事業を辞めた方がいいのでは?と思ったりします。
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元メンズアパレル業界の端くれ より: 2024/04/03(水) 12:25 PM
ちょっと古い記事ですが、
https://toyokeizai.net/articles/-/632256
アパレルに限らず色使いが少なくなっている傾向にあるようですね。
いい加減そろそろ本音100%でものを言ってしまった
ほうがいいと思います
「安くて高品質?そんな都合がいい商品ありませ~んw
しょうひしゃ大衆にいろいろ我慢して貰わない限りわね」
んでもって、そこらへんの皆さま・つまりトップス1枚
せいぜい2000円しか出せない人には以下の点を我慢強制w
1.買いたいときに欲しい物が買えない
2.同一型内での選択肢はサイズだけ
3(マーケチング目的で個人情報よこせよw)
でもこれ、ゆきつくところは、無印が大失敗した
ユニセックス・現代の人民服wですよね
う~む、こういうムツカシイ商売を今の日本であえて
やる必要があるのかな?私ならウニクロGUの店舗で
服をたたんで時給1400円也のほうを選びますが・・・