大阪百貨店が陥るメンズの過剰供給
2011年3月4日 未分類 0
消費の勢いもなく、人口も減っている大阪市だが、なぜか百貨店だけはどんどんオープンしている。どれもこれもリーマンショック以前に立てられた計画を、社員が粛々とこなしている結果である。
3月3日、高島屋難波店が増床オープンした。
今回はまだ見に行けていないのだけれども、一番気にかかるのが、西ゾーンの地下1階と2~5階に開設されたメンズコーナー「タカシマヤ メンズジャーナル」である。これは明らかに阪急メンズ館を意識している。
http://www.takashimaya.co.jp/osaka/mensjournal/index.html
地下1階がゴルフ・スポーツ、地上2階がメンズ雑貨、3階がコンテンポラリースタイル、4階がカジュアル、5階がビジネス、プレタという構成。
3階のブランドラインナップを見ると、タケオキクチ、コムサメン、ミッシェルクランオム、ランバンオンブルー、バーバリーブラックレーベルなどが入店しており、新鮮味はほとんどない。
4階は40代以上向けのカジュアルラインナップである。Jプレス、ニューヨーカー、ポロラルフローレン、マックレガー、パパスなど。こちらも目新しさはない。
5階はダーバン、五大陸、バーバリー、ボス、エトロ、ダンヒル、ランバンコレクションなどで、見慣れたラインナップ。
さて、なぜ難波高島屋で40代以上のメンズを強化する必要があったのか理解に苦しむ。若い消費者向けのメンズなら横断歩道を渡った正面にマルイ難波店がある。また高島屋の近隣の地下には、なんばシティが広がっており、地下2階にメンズブランドは多数集積されている。洋服の消費量がレディースよりも明らかに少ないメンズなのに、過剰供給である。
某繊維業界のご先輩に伺うと「阪急メンズ館への対抗意識だけで、あまり深く考えずに計画したのではないか」とのことである。
たしかにあまり深く考えた企画ではなさそうである。まあ、百貨店には往々にしてこういう企画が見受けられる。JR大阪三越伊勢丹のヤングレディース売り場「イセタンガール」だって洋服ブランドのラインナップは陳腐な物だった。あまり深く考えずにブランドをそろえたのだろう。
マスコミにも一般消費者にもいまだに百貨店崇拝の残滓が残っている。しかし、80年代~90年代前半までとは異なり、現在のファッショントレンドは百貨店がリードしているものではない。百貨店はファッショントレンドに振り回されて、周回遅れで劣化コピー売り場を作るのが関の山である。今回の「タカシマヤ メンズジャーナル」も成功しそうな要素は見当たらない。