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南充浩 オフィシャルブログ

2022年から市場規模の縮小が始まったD2C市場

2024年3月25日 トレンド 0

2020年に入ったころから「D2Cは死んだ」と言われ始めた。

メディアも以前のような過剰な持ち上げ方をしなくなった。というのもD2Cは最早当たり前の売り方となり、商材は乱立し、不成功の事例も履いて捨てるほどあるからだ。

そもそもが、個人的にはD2Cとやらに何の新しさも衝撃も覚えなかった。繊維業界においてもすでに各工場や製造業者がオリジナル品を企画製造し、自社サイトで規模感は様々あれど(結構大々的に売っているところからほそぼそと売っているところまで)販売していることは全く珍しくなかったからである。

そんなにわざわざ分かりにくい横文字の専用名称を与えるほどのことなのだろうか、というのが個人的な意見である。

「ネット販売専用SPA」くらいの名称で十分ではないかと今でも思っている。さらに言えば、製造小売りでSPAには違いがないのだから、実店舗販売もネット通販販売も同じじゃないかと思う。なぜネット通販専用をことさら区別する必要があるのかすらわからない。

もうD2Cは当たり前になったし商材もメーカーも乱立していて、目新しさは無くなったのだが、繊維業界でもそういう事情を理解しながらも、どんどんと製造加工場が参入してきている。ただ、売れ行きは芳しくない物も多い。

ただ「D2Cは死んだ」と言われながらも個人的な体感や身の周り経験に留まっている記事が多かったことに対して、この記事は結構数字も提示していて説得力があったのでご紹介したい。

日本のD2C市場は縮小傾向?巨大な卸・小売市場と対峙するには“本質的な役割”を理解すべし (1/3)|ECzine(イーシージン)

 

まずは、D2Cの現状の俯瞰から始めましょう。2022年の国内物販系BtoC-EC市場規模は、13兆9,997億円(経済産業省「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」)。うち、主要ECモール合計のGMV(流通総額)は、約10.7兆円と推計しています。これは、各企業の決算説明資料やアニュアルレポートおよび推計に必要な各種データなどをもとに、各ECモールの個別のGMVを独自に計算、合算してみた数値です。ここでいう主要ECモールとは、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」「au PAYマーケット」「Qoo10」を指します。

とある。

22年のBtoC向けのネット通販市場規模は13兆9997億円で、そのうちの主要ECモールの流通総額は10・7兆円とのことである。主要ECモールというのはAmazon、楽天市場、ヤフーショッピング、ゾゾ、auPAYマーケット、Qoo10とある。この5つ以外は主要ECモールではないということになる。

よって、約3.3兆円が非ECモール、つまりD2Cを含む自社ECのGMVです。EC売上の大きい企業トップ500社程度を精査すると、自社ECを展開する企業の約半数はメーカーでした。この結果から、約3.3兆円のうち、D2Cはその約半分と推測できます。

と続けられている。

22年のD2Cの市場規模はだいたい1・65兆円だと推測できるというわけである。

一方、21年の状況については

前年の2021年の数値(経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」)はどうでしょうか。同年の国内物販系BtoC-EC市場規模は、13兆2,865億円。うち上述した方法で推計した主要ECモール合計のGMVは、推定で約9.3兆円です。差し引きし約4.0兆円が自社ECのGMVと考えられます。

とあり、さらに

つまり、2021年に約4.0兆円あった自社ECのGMVは、翌2022年には約3.3兆円となり、7,000億円減少しているのです。EC市場規模は伸びていながら、実は主要ECモールが市場規模拡大をけん引しており、D2Cを含む自社ECの市場はマイナス成長という驚きの結果です。

としており、21年から22年の1年間でD2C市場は7000億円縮小していると結論付けている。逆に他の大手モール総合計は流通総額が伸びているのだから、D2Cの一人負けと言われても極めて当然である。

23年の統計はまだ出ていないようだが

 

2023年の自社ECのGMVはよくて横ばい、ひょっとすると2022年の約3.3兆円からさらに減少しているかもしれません

 

と推測しておられるが、当方も同意する。D2C全体の売れ行きが縮小することはあっても増える要素は全く無いからだ。

ただ、メディアでは好調なD2Cも依然として多々取り上げられていることを考えると、D2Cでも好調ブランドと不調ブランドの明暗がよりハッキリしてきていると考えられる。好調ブランドと不調ブランドの格差はさらに広がっていると考えた方が正解だろう。一握りの好調ブランドと不調な大多数のブランド、これはまるで国内の実店舗販売状況と同じである。

 

D2Cを数年間煽って儲けたイキリコンサルも多いだろうが、もうD2Cはそんな何でもかんでも売れる市場ではなくなった。これからは地に足を付けて地道に取り組むD2Cブランドだけが生き残ることになるだろう。

 

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