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南充浩 オフィシャルブログ

機械類・家電類に比べて価格の高低の理由が理解されにくいと感じる衣料品

2024年3月19日 お買い得品 0

両親が死んで実家を相続して住んでいるのだが、実家もリフォームしてからもう17年が経過している。

17年も経過するとちょこちょこと修理が必要になってくる。実は4カ月くらい前から玄関のインターホンが故障していた。

ピンポンの音は室内から聞こえるが、「〇〇です」という声が聞こえない。ハウリングして「ピー」と鳴るばかりだった。

一度放置していたら復活したことがあったので、4カ月放置してみたが治る気配もないのでついにインターホンを買い替える決断をくだした。

 

リフォームした業者に問い合わせると「うちでやるよりも家電量販店で買った方が多分安いですよ。だいたい4万円前後でなんとかなります」と言われたので、ガンプラで行きつけのジョーシンへ行ってみた。

ジョーシンとて全機種を揃えているわけではないから、置かれている何機種かの中から選ばざるを得ないが、当方はインターホンの知識が皆無だから店員に解説を聞かねばならない。

お勧めされたのがパナソニックの39800円の機種だった。多分これがこのジョーシンの中では最安値なのだろうと思う。説明を聞いていると性能スペックはそんなに高くないという印象を持つ。これよりも性能スペックが高いのは同じパナソニックで49800円だった。

1万円差がある。

しかし、説明を聞いてみると1万円差はある程度納得をした。

この上の性能を求めると、パナソニックだろうがアイホンだろうが、他のメーカーだろうがだいたい6万円台に突入してしまう。もしくはそれ以上の8万円とかいう価格になる。

高性能は理解できるが、7万円・8万円ということになると先のリフォーム業者に依頼しても変わらない。散々悩んだ挙句、49800円に決めたわけである。

ただ、土日割引?とかなんやかんやの割引があって設置工事費4000円を含めても定価より安い48400円におさまったので良しとした。

 

一概にすべてに当てはまるわけではないが、機械類・家電類は基本的に価格差が機能差・性能差に直結している場合が多く、高価格である理由が理解しやすい。

当方は何となくiPhoneを使い続けていてだいたい2年に1度機種変更している。一度だけ4年間使ったことがあった。

iPhone4S から使い始めたのだが、iPhone7くらいまではその時の最新機種に変更していた。もちろん価格は年々上がっていたが性能差がわかりやすかったからだ。

しかし、iPhone8に変えて以降は最新機種に変更していない。iPhoneSE2、iPhoneSE3に機種変更している。厳密な意味では性能は少しずつ向上しているだろうが、体感的にわかりやすいほどの性能向上はない。

今はiPhone15だっただろうか?いろいろと調べてみると、性能は向上しているようだが、現状のiPhoneSE3に何の不満もない。おまけに価格はSE3 の方が格段に安い。定価では恐らく5万円前後安いのではないかと思う。

そんなに仕事でiPhoneの性能をフル活用するわけでもないし、フル活用したいともそんなに思っていない。そんな当方からするとiPhoneSE3程度で十分で、それよりも安い方がありがたい。

恐らく次はiPhoneSE4(発売されれば)に機種変更するだろうと思う。iPhone16とか17とかには絶対に変更しない。それよりも当方には安さが重要である。

 

何が言いたいのかというと、購入者の価値観はそれぞれ異なるが、機械類・家電類は概ね(全部とは言わない)価格差が性能差に直結している場合が多くわかりやすい。

その上で当方のように49800円のインターホンで手を打つのか、「こだわりの〇〇機能」を重視して7万円のインターホンにするのか、は購入側の価値観にゆだねられる。

iPhoneにしても同様で、当方のように現状の性能に満足しているから安い商品で良いという消費者もいれば、仕事や趣味でフル活用するから高くてもiPhone15を選ぶという人もいるだろう。

どちらが正しいというわけではない。生活スタイルと価値観の問題である。

しかし、価格差が性能差と直結していて理解はしやすい。ただ、当方は安い方で十分だというだけのことでしかない。

 

一方、衣料品の価格差はわかりにくいものが多い。(全てではない)

製造背景やら素材の特性やらが大きく関係しているが、そんなことが理解できるのは業界人の中でもある程度は製造に関する知識のある人だけではないだろうか。

高い衣料品は機能性が優れているわけでもない。商品によってはそういう物もある。アウトドアとかスポーツなんかの衣料はそういう物も多い。しかし、一般のカジュアルやモードはそうではない。というか、そもそも「高機能」が前提というわけではない。

よく、SNSなどの書き込みで「高いのに耐久性ガガガ」というものを見かけるが、高い衣料品の種類にもよるが、極細番手の綿やウールを使った洋服は耐久性が低い。

耐久性の高い服が欲しいならバートルやボンマックスなどの作業服を選ぶべきである。作業服が嫌ならガチアウトドア服とかガチスポーツ競技服を選ぶしかない。

 

SNSで国内の繊維製造加工業者の書き込みを目にすることがあるが、自社工場の工賃が高い理由を「品質ガー」の一言で説明し「それを理解できない者は愚か」だという論調は何の効果もないだろう。却って業界とは無関係の消費者から反感や疑問を買うだけではないか。

製造関係の知識がある人の方が少ないし、先ほど挙げた機械類・家電類の価格差と性能差が直結している消費財に囲まれて生活している人の方が多いわけだから、「品質ガー」の一言では到底納得させられるものではない。

逆に「国内製造だからうちの工場の服は高くて当然。みんな高い服を買うべき(超意訳)」と主張している製造加工業者は自分が日常で使用している商材すべてが高額品・高級品なのだろうか?パソコンを買い替える時に半額に割り引きされた型落ち品を買っていないのだろうか?「安くてそこそこ美味しい居酒屋があった」と喜んではいないのだろうか?

自分の身の周りにお買い得品やら割引型落ち品やらが溢れているのに、洋服だけ高い物を買うべきという主張は何ら説得力が無い。消費者は別に洋服だけにフォーカスして生活しているわけではない。消費者にとっては洋服も数ある生活品の中の一つに過ぎない。洋服にフォーカスする消費者もいればフォーカスしない消費者もいる。

そのあたりを冷静に見つめて啓発活動をしていかないと、何の効果も生まないだろう。

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