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南充浩 オフィシャルブログ

コロナ特需が終わったアウトドア・キャンプ市場

2024年3月7日 トレンド 1

当方は元々運動することが嫌いである。とりあえず13年前から週に2~3回のランニングはしているが、それは独居老人としては足腰を弱らせないためだけである。足腰が動かなくなると独居老人には死活問題である。

タイムとか競技大会出場とかそんなことはさらさら考えていない。

肩凝りと腰痛緩和のための筋トレとストレッチはしているが、それ以上に鍛える気は無い。

いずれも独居老人としてスムーズに日常生活を送るためだけにしている。何もせずとも足腰も弱らず、肩凝りと腰痛が起きなければ多分当方はこれらの運動すらしない。それほどにめんどくさいし、運動は嫌いである。

あと、旅行もアウトドアも嫌いである。準備もめんどくさいし、終わってからの跡片付けもめんどくさい。旅行は仕事の出張だけで十分である。アウトドアでわざわざ屋外で飯を食いたいとも思わない。

 

23年5月以降、コロナ自粛は解禁されて、各方面の人流は戻ってきた。ピーク時の2019年当時よりも少ない部分もあるが、概ね回復しているといえる。

インバウンドに当方はさらさら興味は無いが、中国人団体客抜きでも2019年とほぼ同等に回復しているので、今後も中国人団体客など全く不要だと考えている。

 

飲み会・カラオケ・音楽ライブ・映画館・観劇・スポーツ観戦などなど、ほとんどのレジャーがコロナ前と同等かそれ以上の来客を記録している。

こうなると、娯楽需要は再び分散化することは自明の理である。

ゴルフブーム、アウトドアブームに一服感が出るのは極めて当たり前で何の不思議もない。逆にどうして「ゴルフブームはまだまだ続く」とか「アウトドアブームはまだまだ続く」とかそんな楽天的なことを考えられるのか理解不能である。

 

当方が登録だけしてもう2年近く開くことさえしていないニューズピックスというニュース集めサイトにこんな独自記事が掲載された。

スノーピークはなぜ失速したか〜印象戦略の落とし穴〜 (newspicks.com)

お読みいただければわかるのだが、ブランディング理論云々という文言さえ除けば、当方が以前に書いたブログ内容とほぼ同じ主張で、スノーピークの大幅営業減益の理由は普通に考えると無謀なアパレル服強化だとだれでもそういう結論に至る。

 

値段が上がったとき、その真価が問われることになります。

購入する方も値段が上がると比較検討のハードルが上がるわけで、スノーピーク(特にアパレル)はそこでつまづいてしまったのではないかと推察します。

例えば、ゴアテックスのレインジャケットは6万円ほどの価格です(61,600円)

一方、アウトドアギアとしての高い評価とファッション性で人気のカナダ発「アークテリクス」の同等レベルのゴアテックスアイテムと、1万円の差がありません(68,200円)

スノーピークの濃いファンでなければ、正直アークテリクスの方がプレゼンスやブランド力は高いでしょう。デザイン性で圧倒的に凌駕しているとも言えない。僕はアウトドア初心者ですが、もし買うとするならイメージ的に後者を選んでしまうと思う。

さらにもう少し足せば、こちらも人気の「ザノースフェイス」のゴアテックスロングジャケットが買えてしまいます。(71,500円)

 

とあるが、スノーピークに何の親近感も思入れもない当方からすると、同じ値段ならスノーピークよりも名の通ったブランドを買うし、少し足してノースフェイスを買うという理屈は極めて妥当だと感じる。当方なら確実にノースフェイスを買うだろう。(実際はスノーピークは絶対買わないし、ノースフェイスも買わないけど)

 

で、興味深いのが、「キャンプブームの失速は本当か」という一節である。

アンケート調査を基に考証しておられるのだが、失速という判断は極めて妥当だろうと思う。失速が気に入らない向きもいるみたいだが、少なくとも伸びてはいない・停滞している程度のことはいえるだろう。

以下に引用する。

 

まずオートキャンプ(キャンプ場まで車で行く、車中泊キャンプをする人)人口のデータから。

確かにコロナで一旦減って急回復したあと、また下がっているのが分かります。外出制限がなくなり、元々他のレジャーがメインだった人が回帰したからというのはひとつの理由と言えそうです。

 

とあり、引用されているグラフから見てみる。

https://full-kaiten.com/news/blog/7979より引用

 

2020年のオートキャンプの参加人口は610万人に激減している。これはコロナ自粛によると考えられる。その前年んの2019年が860万人だから実に250万人の大幅減になる。

2021年は750万人に急増しているが、22年は650万人に減少している。23年のデータは無いが、自粛が緩まってきた22年からすでに参加者人口は減っている。

何なら「ブーム」と言われた21年ですら、コロナ前の19年よりも110万人も少ない。

ということは21年のブームは、コロナ自粛でレジャーの選択肢を制限された層がキャンプに流れ込んで来たと考えられる。そして22年に自粛ムードが緩やかになると徐々に元のレジャーに戻り始めたと考えられ、23年・24年はよくて参加者数は650万人と同等か微増、下手をすると650万人割れになるのではないかと当方は考えている。

 

次に「キャンプ用品の購入アンケート」である。

引用されたグラフでは20~22年(コロナ禍)では「新セットを購入」が33・3%もいる。ところが23年には「新セットを購入」が7・6%へと大激減している。

これはコロナ禍をきっかけにキャンプに新規参入した人がそこそこいたが、自粛を全面解禁した23年には新規参入者が激減したということを物語っている。

代わってコロナ禍では28・6%だった「欲しい物を追加」が23年には50・0%に大幅増加している。またコロナ禍では14・3%だった「故障買い替えや消耗品のみ」が23年には25・8%とこちらも大幅増加している。

https://camp-gear.jp/article/news/20230812/より引用

 

 

ここから考えられることは新規参入者が大幅に減って、既存客需要が増えたということである。

もちろん新規参入者はゼロではないが、20~22年に比べると23年からは大幅に減っているといえる。

ではなぜ新規参入者が減ったのかというと、それはコロナ禍で自粛されていた飲み会やカラオケ、音楽ライブ、映画、スポーツ観戦などの娯楽が全面再開されたことによるだろう。

自分で用意して跡片付けをするアウトドア・キャンプよりも身一つでそこに行くだけで準備も片付けもほぼ要らない従来型娯楽の方が圧倒的にラクで快適だから、解禁されればそこに戻る人が多いのは当然の結果である。

恐らく同様にゴルフも新規参入者数は23年以降は減っている、もしくは横ばいではないかと推測している。

 

まあ、いずれにせよアウトドア・キャンプ市場はコロナ特需が終わり通常運行に戻ったということになり、24年以降は、アウトドアブランド各社の優勝劣敗がさらに明確化して優劣格差は拡大することになるだろう。

 

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 comment
  • 偽ずんだもん より: 2024/03/11(月) 8:37 PM

    地方都市に住んでいますと、ノースフェイスのロゴ入り衣服やバッグを所持する事がステイタスで、大きな商業施設に行くとロゴ付きの人に良く出会います。
    ワークマンはもとよりコロンビアやモンベル等よりも一格上で、性能やデザインより優位感や安心感を得られるロゴが重要なんだろうという認識です。
    アウトドアブランド系ウェアは全般的にそんなに毎年買い換えるような物でも無いと思うのですが、今後はどうなるのか注目してます。

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