高付加価値素材を使用した服でもそこそこの安値で買えてしまうという現実
2024年3月6日 お買い得品 0
こんな当方でも2000年代半ばまでは夏と冬の百貨店・ファッションビルのバーゲンで洋服を買っていた。
定価は高くてもったいないので、半額~70%オフになった商品を買っていた。ついでにいうと、2000年以降コムサ系は頻繁に70%オフで販売されていたから2010年代まではコムサ系の70%オフの服をよく買っていた。
さらについでに言うと、当時のコムサ系はファイブフォックスの販売員教育のせいでやたらと話しかけてくるので、めんどくさくてうざかった。適当に流しつつ70%オフの商品だけを選んで買っていたわけである。
それ以外ではジュンメン、ドモン、Rニューボールド、メンズビギあたりの商品を買っていた。
特にスーツは2000年まではジュンメン、ドモン、コムサあたりの値下がり品だけを買っていた。あとは大賀のファミリーセールでキャサリンハムネットのスーツも買っていた。
当方がユニクロを本格的に買い始めたのは2004年のファッション化以降、ツープライスでスーツを買い始めたのは2000年以降のことになる。
ではなぜ、90年代、当方のようなケチな人間が半額以下とはいえDC系ブランドで服を買っていたのかというと、ダイエーやジャスコで売られている低価格品とDCブランドとでは全く形もシルエットも下手をすると色柄さえ異なっていたからである。
ダイエーやジャスコの服も恐らくはデザインソースはDC系と同じだと考えられるが、形・シルエットが全くことなるし、同じ種類の生地でも風合いすら異なっていた。
一言でまとめると
「カッコイイ服が欲しければそこそこ高いブランド品を買うしかなかった」
という状況にあった。
安くてまあまあマシな服というのは、それこそ当時のジーンズ専門店チェーンあたりを物色してたまに見つけられたという程度である。
現在は、そこそこマシな服がそこそこの安値で手に入る状況にある。
これが高い服が売れにくい最大の理由だと思っている。
例えば、インナー軽量ダウンジャケットでいうとタイオンである。当方もベストとジャケットを買った。インナーダウンベストは税込み4290円である。
以前ならユニクロのインナー軽量ダウンベストより少し高い程度だったが、現在はユニクロでさえ価格は3990円据え置きで中の詰め物はダウンではなく、ポリエステル中綿に変えられている。
となると、たったの300円高いだけでタイオンのインナーダウンベストが買えるのだから、そちらを買うのは当然だろう。
24年秋冬はさすがのタイオンも少しは値上げするかもしれないが、マックス値上げしてもユニクロよりも1000円高い4990円くらいだろう。当方は4590円くらいに落ち着くのではないかと推測している。
4590円なら当方は確実にタイオンを買う。
また、Tシャツでも同様である。
超長綿|四子糸編 6.8オンス 厚手Tシャツ/5777:ユナイテッドアスレ 京都イージー:無地Tシャツ屋 (easy.ne.jp)
いつもの京都イージーさんがユナイテッドアスレから仕入れ販売されている四子糸の6・8オンスTシャツである。
通常7オンスで十分にヘビーオンスTシャツと呼ばれるので6・8オンスというとまあまあ分厚い。何よりも驚かされるのは生地を四子糸で編んだという点である。
四子糸は「よんこいと」「よっこいと」と読みならわす。「よこいと」と読まないのは「緯糸」と同音異義語になり、取引や製造指示の際に混乱が生じるためだろう。
実は当方は四子糸で編まれた・織られた生地というものを実際に触ったことがない。それほどに珍しい。
一口に綿糸と言っても
・単糸
・双糸
・三子糸
・四子糸
という具合にグレードアップしていき、通常の衣料品では単糸か双糸が使われることが多い。
単糸というのは紡績した綿糸をそのままの状態で使って生地を製造することである。双糸はこの単糸を2本撚り合わせる。単糸使いでTシャツ用の生地を編むと洗濯をすると斜行してしまうことがほとんどである。一方、双糸でTシャツ生地を編むと斜行しにくくなる。
ただし、糸を2倍の本数を使用するわけだから双糸の方が単糸よりも糸値は高くなる。双糸使いの生地は基本的に低価格品にはほぼ使われない。
これと同じ理屈で三子糸は単糸を三本撚り合わせ、四子糸は単糸を四本撚り合わせた糸ということになる。
三子糸なら単糸の三倍、四子糸なら単糸の四倍の糸使用量となりその分価格も高くなる。
ということは三子糸、四子糸で作られた生地というのは、基本的に高価格品に使用されるということになる。
それにもかかわらずこのユナイテッドアスレの四子糸Tシャツは税込み4990円である。
Tシャツに4990円は少し高いと感じる人が多いだろうが、ブランド品ならもっと高いし、何なら90年代のDCブランド系もTシャツで8000円・9000円は当たり前だったから、それらに比べると破格値だといえる。
しかもユナイテッドアスレのTシャツは個人の嗜好もあるだろうが、形・シルエットもさほどに悪くない。90年代のダイエーの服ほど変な形は決してしていない。
当方ですらこの四子糸Tシャツを買おうかどうしようか悩んでいるところである。それほどの破格値だと感じる。
タイオンダウンだって決して変な形・シルエットではない。何ならユニクロの軽量ダウンよりも形・シルエットはカッコイイくらいである。
これらのように、そこそこの安値(激安ではないが)でそこそこマシな衣料品が市場で珍しくなくなれば、よほどに「ブランド」に信仰心を持っている人以外は、これらを買う人が増えても何の不思議もない。
逆に言うと、高く売りたいブランドや業者はこれらの商品と競合することになるということを意識する必要がある。また高い価格帯では既存の高価格ブランドとの競合もある。
いずれにせよ「こだわりの物作り」とか「高付加価値素材を使った」とかだけでは洋服の値段は通りにくいという状況にあり、それだけに売ることが90年代に比べると格段に難しくなっている。