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南充浩 オフィシャルブログ

ワークマンの新施策の中ではサポート機能衣料品に最も期待したい

2024年2月22日 企業研究 3

ワークマンは急成長期が終わり停滞期に突入したことを受けて、成長戦略を矢継ぎ早に打ち出したように見える。

この辺りの対応力の素早さはさすがだと感じる。

1、子供服専門業態の立ち上げ

ワークマンが新業態「ワークマンキッズ」を立ち上げ 沖縄に出店する「#ワークマン女子」に併設 (fashionsnap.com)

 

2、ワークマン女子の積極的出店

#ワークマン女子が路面店の出店加速、2025年3月までに25店舗の新規出店へ (fashionsnap.com)

 

3、シニア向け腰痛サポート商品の新投入

ワークマンがシニア市場への参入を発表、新業態「ワークマン シニア」の立ち上げも視野に (fashionsnap.com)

 

4,新開発の肌着を投入

ワークマン、子供服200億円・肌着500億円の売上計画ぶち上げ

 

この4つである。

このうち、当方が個人的に最も評価しているのが、3のシニア向け腰痛サポート商品で、ついで肌着である。

子供服業態とワークマン女子積極出店は政策の意図はわかるが、いわゆる「デイリーカジュアル用途品」を増やすため、今冬よりもさらに多くの値引き販売品番が出てしまうことになるのではないかと見ている。

3のシニア向け腰痛サポート商品について見て行こう。

高齢者向けシニア市場に参入することを発表した。腰への負担を軽減できるサポート機能付きシリーズ「XBooster」などを3月5日に発売。全国のワークマン店舗で取り扱う。

「ライフウェアの機能性」という側面からアプローチし、肩や腰への負担を軽減できるサポート機能付きシリーズ「XBooster」を新開発した。

「XBooster」シリーズは、骨盤サポーターを手掛ける大手医療用品メーカーと協業しパンツ2型、トップス1型を展開。パンツは左右のブースターベルトを引っ張り骨盤を固定することで、腰にかかる負担を軽減し、姿勢矯正や歩幅アップなどが期待できるという。倉庫作業などに向いているチノパンタイプ(1900円)と、デイリーユースを想定したポリエステルタイプ(1900円)を揃える。

トップス(1500円/全て税込)は、体幹部の動きに関わる背面部に姿勢を安定させるアシストスタビライザーを採用。腰、肩甲骨の動きをスムーズにし、筋肉を効率的に使えるようになるほか、3D設計で肩甲骨を後ろに引き寄せることで猫背矯正の効果もあるという。

そのほか、肩やウエスト部分に磁気治療器を埋め込み身体のコリを改善するシリーズ「CORICLEAR」もあわせてラインナップ。片面二極型マグネットが肩や腰周りの血行を促進することで、コリを解消する効果が認められている。インナーとレギンスを用意し、価格はともに税込1900円

とある。

販路は元々の職人向けの「ワークマン」に限定しているようで、この商品に関しては当方も非常に興味があり、試しに買ってみたいと思うほどである。

理由は、当方は元々肩凝り症であり、2020年からは軽い腰痛も時々発症するようになった。

以前にも書いたが、若い頃から「気分爽快で身体が軽い」なんていうのは感じたことが無かったが、40代半ば以降は若い頃に比べて格段に体がしんどいと感じることが増えた。となると、苦痛を軽減するかもしれないといわれる商品には興味を持つ。

それにこの手の機能性商品というのは、元来のワークマンの得意とするところであり、原点を非常に大切にした商品だと感じるから評価をしている。

肩凝り、腰痛というのはシニアだけの物ではないので、逆にシニアに限定する必要が無いのではないか。もしかしたら、子供を除く全世代でのヒット商品になる可能性すらあると思っている。

 

肌着に関してはそこそこ売れるとは思うが大ヒットになるかどうかは不明である。記事中では旭化成のキュプラを使った吸水速乾肌着から開始するとのことだが、吸水速乾肌着自体は競合他社がひしめいているから、ワークマンの肌着が重点的に買われるという事態は想像しづらい。あくまでも数ある機能性肌着のワンオブゼムという位置付けにおさまるのではないだろうか。

 

子供服業態立ち上げは子供服専門業態立ち上げであって、子供服を新たに始めるという話ではない。そのあたりを誤解しているような人を時々見かける。すでに子供服自体はワークマン女子などで何型か売られており、これを専門店としてまとめるという話である。

最終目標として売上高200億円を掲げているが、このくらいの数値が極大値なのではないかと思う。

子供服業界というのは大人服に比べて昔から国内市場は小さかった。卸売り型の子供服メーカーでは「売上高300億円の壁」と言われることが多々あり、売上高300億円が極大値だとされてきた。実際にミキハウスの三起商行も売上高300億円を一時突破したが、その後300億円を割り込んで今に至る。

さらに少子化によって国内子供服市場は縮小傾向にあるから、売上高200億円はワークマンの背景を持っていれば実現可能だろうが、それが極大値ではないかと思えてくる。

 

業界の製造加工寄りの人々からは、大人服よりもサイズピッチが細かい子供服を強化することは、また売れ残りが増えて値引き品番を増やすだけではないのかという危惧の声を聴く。個人的にもその点を懸念している。これはファッション用途のワークマン女子の拡大、ワークマンカラーズ、ワークマンプラスの拡大も同様である。

かつて

 

「作業服用途とカジュアル用途で同じ物を売ることで、値下げせずに2~3年かけて完売させる」

 

と掲げていたワークマンの画期的なビジネスモデルからは大きくかけ離れてしまうことになる。以前にも書いたが、すでに今冬は公式ネット通販サイトでは、30%弱に値下げされた商品が20型も現れており、今後は値下げ処分の型数はさらに増えるだろう。

ハッキリ言って、「普通の低価格カジュアルブランドと同じ」になってしまっている。今後はさらに「普通化」が進むことになるだろう。

 

人も企業も年数とともに移り変わってしまうものだということは知っている。漢詩にも「人、皆旧愛を捨てる」ともある。

当然、チェーン店全店売上高が1700億円に到達したワークマンも変わらざるを得ないことは理解するが、「普通の低価格カジュアルブランド」になることがワークマンにとってのメリットだとは個人的には感じられない。

 

今回の施策では、腰痛サポート商品は職人店向け、一般向けに子供服とワークマン女子の積極出店、そして両にらみの商品としての肌着と位置付けられるのではないかと見ている。

そろそろ「同じ商品をどの用途にも販売する」というコンセプトにも最早崩壊し始めており、商品を用途別に分け始めたという印象が強い。

今後は、職人向けと一般カジュアル向けは商品もどんどん乖離して行くことになるだろう。個人的にはもう事業部すら分けた方が良いのではないかと思っている。

肌着は恐らく、共通商品になると見ているが、今後はそのような共通商品の構成比も重要になってくるだろう。

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2024/02/22(木) 1:14 PM

    もう「ワークマン」と名乗る意味がw
    アパレル業界と関係ない一般人から見ると、成長できなくなった企業によくある迷躁状態に思えちゃいますね。一回、企業規模を拡大すると縮小するのは難しくなるんでしょうけど、すでに作ってるとはいえ子供服に力を入れるのは悪手な気が。ガチ職人から言わせてもらえば、ワークマンのロードサイド店は駐車場が10台とかしか停められないとこばかりなんで、カジュアル品は別店舗に分けて、もとのワークマンに戻してほしいまであります。
    ま、最近はホームセンターで買ってるから、どっちでも良いといえば良いんですがw

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2024/02/24(土) 8:29 PM

    小売でこれ以上新たなセグメント割なぞ出来っこないですよ
    くちさきで上手い事いっても
    それはIRか広報向けの嘘はっぴゃくに過ぎません

    >「作業服用途とカジュアル用途で同じ物を売ることで
    > 値下げせずに2~3年かけて完売させる」

    これ自体、矛盾だらけで脳内妄想レベルに過ぎません

    がちガテン仕事服でカジュアルと被るモノは
    あるにはあるでしょうが、それはつまり
    「どこでも売っている汎用性のある服」という事になります

    したがって「ウニクロGUが値下げしないで商売する」
    といっているのと実は同じです

    一時期マーケティングくちさき商売屋が
    「安くうるより高く売れ~」
    とほざいて商売してたでしょ?

    それを自分のとこに落とし込んだ。ただそれだけです

    つまるところ、自分とこがリスクを取らないで、
    顧客つまり商品の卸先をくちぐるまで良い気分にする
    方便に過ぎなかったんじゃないのかな?

    そしてFCの必要条件を緩和しまくって、顧客大幅増w
    メディアも閉塞感しかないこの業界に風穴開けた
    救世主扱いww

    しかしその結果、アウトドア服もどきと鉄筋つかむ用
    革手袋が混在する駐車場10台分の極小店舗が
    たくさんできましたとさ

    そして開店祝儀で売上は立つものの、3週間後には
    ナム~になりましたとそういう物語でしたwww

    GSやってたとかクルマのディーラーに土地貸してた層が
    こぞって引っかかっている印象があります

    FCの解約条項が気になりますね
    セブンなみに片側に不利だったりしてw

    国内の物流・消費財の販売では
    リスクを誰かに押し付ける
    方法を開発した人間の勝ち・ですなぁ

    プラス、新時代のスマートなビジネスモデルを
    匂わせると、なお良いですね

    デモネ、大量生産大量消費の社会で経済活動をしている以上
    その枠からはみ出て長期間ずっと大儲けするのは不可能です

    結局、広い売場を確保できる所が勝つと思いますよ

    安く売るためにいっぱい作って
    いっぱい作ったものを大量に並べて
    余ったものは即座に叩き売って売場を空けて
    またさらにいっぱい作った新たなものをならべる
    (以下これを地球が滅びる日まで繰り返すw)

    しかし、そこらへんの人のタンスはすでに
    きちきちパンパンでした、という物語でした

    とはいえ、南サンのようにそれでも物を買う人がいる

    だからこういうドメスティックな業種でも
    死なない程度に食える程度ではありますが、
    かろうじて商売が成り立っているのだと思います

    そうだ、毛玉になってきたセブン下着買い替えなきゃw
    でも、下着は人には見えないからこのままいく事にしますww

  • 偽ずんだもん より: 2024/02/26(月) 10:06 PM

    子供が生まれないのに子供服拡大とか大丈夫ですか?と思うのが普通では。
    都市部のワークマンやワークマン女子なら何とかなりそうですが、地方の店舗では厳しいと思います。

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