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南充浩 オフィシャルブログ

衣料品への興味は全年代で低下しているのではないかという話

2024年2月7日 トレンド 0

昔、と言っても2010年より前までは年代に応じた服装というものが一般的だった。

年寄りらしい服装、中年らしい服装というのがあった。年齢不詳の服装をしている人は衣料品業界人かイベントや芸能関係者くらいだった。

まあ、いわゆる「ちょっと外れた業種」の人たちである。

 

2010年以降、年代による服装の区別はあまりできなくなってきたと感じていて、2020年代に突入すると服装はほぼフラットになっている。

父が亡くなってから、これまで父に丸投げしていた近所付き合いというものをせざるを得なくなったため何とかこなしている。

すごく嫌なわけではないが、すごく楽しいわけでもない。

相応の義務だと思って受け入れている。それをわざわざ否定して突っ張るほど当方は若くない。そういうコミュニティが存在してもそれはそれでよいのではないかと外野気分で眺めている。

で、近所付き合いをするようになって、70代・80代とやり取りすることも増えたのだが、本当に服装は若い人とそんなに変わらない。

ユニクロっぽいウルトラライトダウンを着て、ジーンズを穿いている。足元はだいたいがナイキかアディダスかニューバランスかのスニーカーを履いている。頭には野球帽を被っておられる。

もちろん、こまごまとしたディテールは異なる部分もあるが、ざっくりと全体的なコーディネイトで見ると、30代も70代もさほど変わらない。

昔の中年・老人の野球帽といえば読売ジャイアンツか阪神タイガース、あと大阪だと近鉄バファローズ、南海ホークス、阪急ブレーブスあたりもあったが、そういうプロ野球球団の帽子だった。

ところが最近だとMLBのチームだとかわけのわからないファッションブランドの野球帽なんかを被っておられる。

 

昔の中年はくすんだグレーが混じったような作業服ブルゾンとか作業服っぽい綿パンを穿いていた。足元は靴流通センターで1900円くらいで売られていたダンロップのスニーカーである。老人はグレーがかったテイラードっぽいジャケットやワンピースを着ていた。足元は革靴っぽい餃子みたいな形をした靴で固めていた。

そういう伝統的な中高年スタイルの人を見かけることは現在では稀である。

 

だが、若者とさほど変わらない服装をしている中高年(男女問わず)が若者と同等の年齢に見えるかというとこれが残念なことに全く見えない。

中年太りしているとかそういうこともあるが、やっぱり老人になると姿勢が悪くなり、足元がふらふらとしている。

昔の服装なら若くは見えないが年相応の貫禄という物くらいは感じられたが、今の服装ではそれすら感じさせられない。

 

よく、制服はみんなが同じなので、スタイルの良し悪しや容貌の良し悪しを却って引き立たせると言われる。その昔、登場し始めたころのシャネルは黒一色なので却って着る人の体型や容貌を際立たせると言われた。

現在は服装がフラットになったぶんだけ、中高年の身体・容貌の衰えというのは逆に顕著化されているのではないかとも感じている。

 

そうなると、中高年層は洋服云々よりも体調とか体型とかそちらの維持回復に興味が向いてそちらに費用を投下するようになっているのではないかと思われてならない。

例えばスポーツジムに通うとかジョギングを始めるとか、グルコサミン(ほんとに効くかどうか怪しいが)を飲むとかそういう方面である。

当方も40代後半からやっぱり何となく疲れがたまりやすく抜けにくくなってきたと実感したので、スーパーマルチビタミン&ミネラルの錠剤を毎日飲むようになった。

また最近では熟睡できやすいという評判を聞いてヤクルト1000を試飲してみている。

スーパーマルチビタミン&ミネラルは120日分でだいたい2000円前後する。もちろんネット通販で最安値を探して買い続けているわけだがだいたい安くて1900円台前半である。

ヤクルト1000は一時期品切れだったが、最近はスギ薬局でもスーパー万代でも売っていて、1本税込み157~159円である。これを仮に毎日飲むとすると、月額4800円弱もかかる。

ヤクルト1000を毎日飲むかどうかは決めかねているが、実際に睡眠の改善ができれば毎日飲むつもりでいる(もっとも類似商品も試してみて結論を出すが)。

 

個人的には消費の興味は衣料品より健康食品やサプリメント、運動に向いている。

コロナ自粛が解禁となって、大学時代の同窓会や昔の職場の仲間と集まることが増えた。集まるとだいたいが健康の話か病気の話、あとは老後資金の話ばかりである。それと「誰それが死んだ」という話か。

となると、やはり40代以上の年代のメインの支出先は洋服類ではなく、健康食品やサプリメント、衣料品ならぬ医療品ではないかと思えてくる。

これまで「輝くシニア」だとか「人生100年時代(アホかと思うが)」とか散々キラキラした標語を掲げて販促してきたが中高年向け衣料品ブランドが何一つヒットしなかったのは、こういう動向を見落としていたからという部分もあるのではないかと思えてくる。

そして、恐らくは中高年より下の世代でも「イシキタカイ系」と呼ばれる人たちの何割かは洋服よりも体型や容貌、髪型などを手入れする方が重要だと気付いてそちらに多くを支出しているのではないかとも考えられる。

洋服が売れにくくなるのは競合支出先が増えたことが最大の理由で、健康・体型などそちら方面も大きな競合となっているといえるだろう。

 

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