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南充浩 オフィシャルブログ

再上陸から2年持たずにアメリカンイーグルが実店舗を全店閉店へ

2024年2月6日 企業研究 1

再上陸直後から不振の噂が流れていたアメリカンイーグルが1月末で全店閉鎖となった。

「アメリカンイーグル」が1月末までに国内全店舗を閉鎖 | セブツーは、世界各地のファッション&ビューティ情報を多言語で毎日配信するインターナショナル・メディアです。 (seventietwo.com)

「アメリカンイーグル(AMERICAN EAGLE)」は、1月28日に渋谷フラッグシップストア、池袋ピナクル店、ららぽーと立川立飛店を閉店し、1月29日に東急プラザ表参道原宿店を休業した。国内で展開する実店舗の全店舗が閉鎖となり、現在では公式オンラインストアのみ営業している。

同ブランドは2012年に日本に初上陸した。青山商事の連結子会社であるイーグルリテイリングが日本事業を手がけていたが、2019年に撤退。2022年には、米国アメリカンイーグル社の運営で約3年ぶりに日本に実店舗をオープンし、再上陸した。東急プラザ表参道原宿店は昨年9月に開店したばかりであった。

 

とのことで、東急プラザ表参道原宿店はオープン後わずかに4カ月という短命に終わった。

公式オンラインストアはまだ稼働している。

メンズ・レディース ジーンズ,アパレル,アクセサリー | American Eagle 日本 (aeo.jp)

ただ、サイトの売れ行きもさほど芳しくない様子で、2点でさらに15%オフ、4点でさらに25%オフ、さらに16000円で1300円オフという文字が躍っている。

SNS上では少し以前からアメリカンイーグルの店舗で常時「全品70%オフ」とか「全品80%オフ」という閉店間近のような投げ売りセールが開催されていたことが報告されており、全店閉鎖にも全く驚きが無い。

 

初上陸、再上陸と続けてアメリカンイーグルが日本で不振だった理由だが、完全に商品テイストが日本人の好みに合っていなかったといえるだろう。

現在の公式サイトを見てもらえばわかるが、シンプルな無地Tシャツにジーンズ、チノパンというコーディネイトがメンズ、レディースともにメインになっている。

正直なところ、これでは日本の消費者に売れない。

恐らく、アメリカンイーグルだけでえはなく、GAPやアバクロ、オールドネイビーなどのアメリカカジュアルブランドがことごとく不振だったのは、このアメリカ人テイストではないかと考えられる。

無地のTシャツやパーカの上にせいぜいGAPとかアバクロとかのロゴが入っているだけ。あとは何の変哲もないジーンズやチノパンばかり。

こんな服ばかりでは日本人は定期的に買い足ししない。

そういう服も何枚かは買うが、そればかり着続ける日本人はほとんどいないだろう。

もちろんユニクロだってジーユーだってそういう商品はあるがそればかりではない。もう少しトラッド寄り、もう少しモード寄り、もう少しストリート寄りの商品が品揃えされている。

だから売れるのだろう。

 

青山商事が展開していたアメリカンイーグルを何度か見に行ったが、特にメンズの夏物では買いたい物が全く無かった。

夏場は無地のロゴ入り半袖Tシャツと無地のポロシャツばかり。あとはお決まりのジーンズとチノパン。決して高くはないが安くもない。

ハッキリ言ってしまえば、日本人的な感覚では、まだライトオンやマックハウスの方がよほどバラエティに富んだデザイン物が揃っていて購買意欲を刺激される。

また、GAPとどう違うのかもよく分からない。ロゴが違うだけというふうにも見える。

これがジーユーやユニクロだと、夏場でも吸水スラックスやアンクル丈スラックスなどがある。また半ズボンにしたところで、機能性ギアショーツなんかもあるので買ってみようかという気になるが、アメリカンイーグルはそういうものが見当たらなかったから買う物が無かった。

 

長年日本で展開しているGAPの方がまだバラエティに富んだ品揃えを意識している節がある。

 

これはSNS上ではよく指摘されているが、アメリカ人というのはそんなにオシャレやトレンドに敏感ではないということらしい。無地のTシャツにジーンズかチノパン、あとは少し汚れたスニーカー、そういう物ばかり着ていると多くの業界関係者が指摘しておられる。

オールドネイビーにしろGAPにしろアバクロにしろ、グローバルブランドと言いながらもメイン市場は北米なので北米人が好むテイストの商品が中心だと考えられる。

必然的にそういう品揃えになってしまうが、日本ではそればかりでは受け入れられないということでしかないだろう。

 

グローバル低価格ファッションは総じて現在、日本国内では振るわないが、辛うじて残っているZARAとH&Mを見てみると、明らかにアメリカブランドとはテイストが異なる。

もう少しモード寄りだったり、ヨーロッパテイスト寄りだったりする。GAPだけが何とか残っているが日本人的感覚からすれば、アメリカンテイストのブランドはGAPが1つだけあればあとは要らないということだろう。

アメリカンイーグルは青山商事という日本企業が外れたあと、本国の直接オペレーションで再上陸したものの、青山商事が介在していたころよりも輪をかけてアメリカっぽい品揃えになってしまったと感じる。

再上陸後、短期間での実店舗全店閉鎖は極めて当たり前の結末だったといえる。

アメリカのカジュアルブランドはもう北米市場だけで売っていればいいのではないかと思う。

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 comment
  • 名もなき者 より: 2024/02/06(火) 4:35 PM

    あと、米国物はサイズの問題もある気がしますね。GAPしか知りませんが···。表記サイズに比べ矢鱈でかかったり、リーチ丈が日本人とは違うので袖が長過ぎたり。
    ジーパンだってチノパンだって本来的には日本人に似合わないと思う。腰や尻がパーンと張った人種の服ですよ。

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