「できるだけ高く売る」ことは重要だが「高すぎ」ても売れなくなるという話
2023年12月4日 お買い得品 0
1人暮らしの当方はほぼ毎日、スーパー万代に行って使う食材を購入しているわけだが、食品は本当に値上がりしたと感じる。
ただ、野菜類・果物類は天候や気温によって2020年くらいの価格に戻ることも少なくない。また卵は今年は値上がりしておらず22年から横ばいという感じである。
加工品類は結構上がった感じがある。
体感的に全食品合わせると20~200円くらい上がったと感じる。1品ずつの値上げは微々たるものかもしれないが、買い物を合計すると結構支出が増えるということになる。
ただ、食品というのは必ず「賞味期限」「消費期限」というものがあり、消費期限切れ間近になると必ず値引き販売される。昔なら価格維持のために捨てていたかもしれないがフードロスガーが多いのでおいそれと捨てるわけにはいかないので、必ず値下がりする。消費期限切れは危ないが賞味期限切れくらいなら当方は気にしないので、値下がりした賞味期限切れ間近の物を積極的に買うようにしている。まあ、値上がりする以前からずっと賞味期限切れ間近の食品を好んで買っているのだが(笑)。
スーパー万代の売り場をほぼ毎日見ていると、値上がりしすぎた食品の売れ行きはやはり鈍いと感じる。一方、賞味期限切れ間近の値下げ品は飛ぶように売れてゆく。争奪戦もかなり激しい。人混み嫌いの当方も賞味期限切れ間近の値下げ品争奪戦だけには積極的に飛び込んでおり、勝ったり負けたりを繰り返している。まことに常勝を続けることは難しい。
商売の基本は「できるだけ安く仕入れて(作って)、できるだけ高く売る」ことだが、安く仕入れる(作る)ことにも限界があるし、高く売ることにも限界がある。
デフレムードがピークだった2007年頃から「できるだけ高く売ろう」という販促セミナーを何度か拝聴した。各業者が値下げ競争している時世だったので、ためになる内容が多かった。
しかし、その後2010年代半ばくらいになると、その販促セミナーではないが「ギャラが高すぎて使えない」と言われるコンサルタント諸氏をチラホラとお見掛けするようになった。
物も人もそうだが安すぎても信用できないかもしれないが、高すぎてはいくら性能や使い勝手が良くても資金的に使えないということになる。無い袖は振れないのである。
となると、ギャラの上昇・料金の上昇にもどこかに限度がある。
そういえば、芸能人でも大御所と呼ばれるような人たちはギャラが跳ね上がりすぎて使いにくいと言われることもある。
料金設定・販売価格というのはまことに重要であることは言うまでもない。
マーチャンダイジングの「五適」の1つに適価が含まれているのは当然で、価格設定が高すぎては売れる物も売れないということになる。
だから、本当は「できるだけ高く売る」ではなく「自社顧客が買ってくれる範囲でできるだけ高く売る」という表現が正解なのだろうと思う。
例えば、今秋のユニクロのメンズの中綿入りMA-1ブルゾンなんていうのは、定価設定が「高すぎた」ということではないかと思って売り場で眺めている。
秋冬物として中綿入りMA-1 ブルゾンが投入されたが、当初は6990円の値段だった。昨秋物の当初価格は5990円だったから1000円値上がりしたことになる。
ダウンジャケットでもなく、本革レザージャケットでもなくウールジャケットでもないMA-1ブルゾンにしては当方は高くなったと感じた。
もちろん、当方はイズミヤやジャスコの平場にMA-1ブルゾンが並んでいた4900~5900円という30年くらい前の価格が印象として強く残っていることは否めない。
9月・10月の高温の影響もあって動きが鈍かったのだろう。すぐさま5990円に値下がりした。これで昨年並みである。
そしてその後ほとんど日をおかずに4990円に値下がりし、現在は3990円である。
そしてネット通販や店頭で見る限りそこまで在庫はショートしている気配がない。11月11日の気温低下で活発に動くようになってはいるのだろうが。
ちなみに、今週は再び気温が上昇し特に水曜以降は17度~20度くらいの高気温が続くから冬物衣料品の動きは鈍るかもしれない。来週は少し下がって14~15度、再来週はさらに下がって12~13度くらいという予報になっているので、再び冬物が活発に動くのは再来週に入ってからになるかもしれない。
定番であるMA-1ブルゾンだが、恐らくユニクロ客にとっては6990円は高すぎると映ったのだろう。ユニクロのMA-1ブルゾンは3990~5990円というのが顧客の相場観なのではないかと思う。
ただ、ユニクロとジーユーがすごいのが不振品番を思い切り値下げして売り切ろうとするところである。
これだけ原材料費・物流費・燃料費・為替が高騰しているにもかかわらず「損切り」は思い切りがいい。
一方、他のブランドの商品を実店舗とネット通販で定点観測していると、営業利益を確保するためなのか値引き率を抑える傾向が強いと感じる。そしてその不振商品を何年も抱えることになっている。
アダストリアも思い切りが良い方で、長年の不振品番は最終的に80%オフにまで値引きしている。それ以上の値下がりは見たことがない。アーバンリサーチはだいたい60%オフまでで70%オフはほとんど無いし、80%オフは見たことがない。最終処分ができているのかなかなか不安である。
ベイクルーズストアはそれこそ何年も前の売れ残り品は80%にまで下がる。やたらと変なデザインの商品が80%オフになっても売れ残っていることが多いが、普通のデザインの商品が残っていることもあり、そういう商品は80%オフになったとたんにすぐに完売してしまう。
各社のMDは店頭販売価格をいくらにするかは日々悩んでいることだろうと思うが、それこそ過去の販売データや値下げデータを考慮して決定すべきだろう。調達費用の上積み形式で決めるのはあまり妙手ではない。
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