MENU

南充浩 オフィシャルブログ

細分化された各分野のファッションは「サブカルチャー」だという話

2023年12月1日 トレンド 0

国内のファッション市場は成熟化して細分化している。

マストレンドもあるにはあるが特徴的な何かがあるかと言われると当方にはわからない。目新しいアイテムの登場もほとんどない。ファッション向けバラクラバなんて実際街中で着用している人は見かけたことがないから、あまりに目新しすぎてもマスには広がりにくい。あと非合理すぎても広がりにくい。

自転車に長距離乗る人からするとガチバラクラバは冬用に最適だというが、ファッションバラクラバは長距離の自転車乗りにも不要だといえる。

細分化しているから、それぞれの分野においては所属する皆様方におかれましては「熱い何か」があるんだと思うのだが、じゃあそのジャンルで目新しい何かが提案されたとしても大衆からの注目は引きにくい。

そして恐らくは業界メディアを除くメディアの注目も引きにくい。なぜなら、一般向けのマスメディアの担当者は細分化されたファッションジャンルの知見があまりないことが多いからだ。

 

その昔、アニメや漫画、特撮にはそれぞれの番組のファンコミュニティがあった。当方は人間嫌いでめんどくさかったので、そういうコミュニティには属していないが存在していることは知っていた。

あくまでも個人的な解釈だが、そういうそれぞれのコミュニティの一端を「ファンロード」という雑誌で確認できていたのではないかと思っている。

中学生になってからファンロードの存在を知り、恐らくは廃刊の少し手前くらいまで読んでいたという記憶がある。体感的にいうと、90年代半ば頃までが最も盛り上がっていたように感じる。

そんな当時、アニメ・漫画・特撮は「サブカル」と呼ばれ、熱心なファンは「オタク」と呼ばれた。

まあ、今でもそう呼ばれているのだが当時とは随分と異なり、非常にオープンにもなったし、それぞれの作品の知名度が一般化した物が多い。

何度も書いているが、最早、アニメ・漫画・特撮はメインカルチャーだし、細分化してしまったファッションの各ジャンルの方がサブカルチャー化しているといえる。

また、著名なアニメ・漫画・特撮作品のファンは全世代に広くいるから「オタク」とは言い難いし、細分化してしまった各分野のファッションのファンは往年の「オタク」化していると感じる。

 

そんな中、またアニメコラボが発表されたのでますますその考えを強くしたという次第だ。

「ティファニー」×ポケモン発売が11月20日に急きょ前倒し 問い合わせ多数で

 

A.P.C.とポケモンがコラボアイテムを発売 ピカチュウをあしらったアパレルアイテムを展開 (fashionsnap.com)

 

という2つである。

ティファニーとAPCがどちらもポケモンとコラボアイテムを発表したわけである。

ティファニーは言わずと知れた高級アクセサリーブランドだし、APCはフランス発の高感度カジュアルブランドとして昔から一定の知名度と人気がある。

それこそ、当方がファンロードを熱心に読んでいた時代にティファニーがポケモンとコラボアイテムを発表するなんていうことは考えられなかった事態である。

またAPCといえば90年代後半には高感度ファッション業界人の中でも支持がそこそこ高かったブランドで、当時のイキった高感度業界人なら「ポケモンコラボ」なんて鼻で笑っていただろう。

それが今、そろってしかも同時期にポケモンコラボを発売しているのだからその変化は凄まじい。

当方もスタート時からいまだにスマホで「ポケモンGO」を継続しているが、もうポケモンの種類が多すぎて覚えきれない。ポケモンのアニメは一体いつまで続くのだろう?そしてポケモンの種類はどこまで増えるのだろう?

 

結局、これらのブランドがポケモンとコラボをするということは、それだけポケモンのファンの人数が多く注目を集めやすいということなのだろう。またメディアはポケモンコラボなら大々的に報道してくれやすいということなのだろう。

多分、ティファニーでもAPCでも「24年春夏アイテムは〇〇テイストでナンタラシルエットを打ち出し」なんていう発表では一部のコアなファンしか注目されず、メディアにも取り上げられにくいのだろうと考えられる。

 

先日、長年付き合いのある某ワークテイストのカジュアルブランドから「来年からガンダムのコラボアイテムを発売します」という内内のお知らせをいただいた。

どんなデザインになるのかはわからないが、デモ版を見せていただいた範囲でいうと、かなりベタなデザインになりそうだ。例えば、Tシャツの前面にガンダムのキャラクターや1シーンがプリントされているような具合である。

最近だとアニメコラボと言っても、キャラクターや作品名をプリントするわけではなく、そのエッセンスだけを取り入れたデザイン服という場合もあるが、そのカジュアルブランドのデモ版はいわゆるベタなガンダムコラボ服だった。

 

結局、自分も衣料品は定価で買わないし、買ったとしても惰性で買っている(加齢による意欲の低下もあるだろう)が、ガンプラなら定価でも買うし、何ならプレミアムバンダイ限定の店頭非売品ガンプラも送料を支払ってでも(イヤイヤだが)買ってしまう。

当方の嗜好が世の中の全員に当てはまるはずもないが、近しい感覚の人が増えているのではないかと考えた方が現在の状況が理解しやすいのではないかと思う。

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ