東京と地方のファッションの差
2014年11月25日 未分類 0
首都圏以外の地方に住んでいると、ファッション雑誌で「これが流行っている!」なんていう特集を読んでも、身の回りでそのものズバリのファッションをしている人間をそれほど見かけないから、「そんな奴おらんやろ~」と、ベテラン漫才師のギャグのようなツッコミを思わず入れてしまう。
関西圏ではファッション雑誌で特集されているアイテムやファッションはときどき見かける程度で、たしかに流行しているのはわかるのだが、とてもじゃないが「熱い!」なんて感覚はあまりない。
例えば、つい最近までニューバランスのスニーカーが超人気だと雑誌では特集されていた。
たしかに店頭でも売り上げが伸びたとか、特定の品番は完売したという情報も耳にした。
けれど梅田や心斎橋で道行く人の足元をジッと見ていてもそれほどニューバランスの着用者はいなかった。
もっとも、現在はニューバランスブームは終わり、ナイキブームが来ているらしいのだが、関西だとブームの有無にかかわらずずっとナイキを履き続けている人が多かったので、いつからブームが始まっているのかまったく判然としない。
ときどき、東京から関西に帰省するファッション業界人とお茶を飲みながら雑談することがあるが、彼らが異口同音に「東京とは道行く人のファッションが違うね」と言う。
ニューバランスの件も「東京ではあれだけ見かけるニューバランス着用者がほとんどいない」と口をそろえていた。
つい先日も東京からの帰省者と雑談をしたのだが、「東京じゃニット帽が流行していて帽子売り場ではニット帽が大半になっていますが、大阪ではいまだにハット着用者も多いし、売り場にもハットが多いですね」と感想を述べていた。
そう、なぜかわからないが関西ではいまだにハット着用者は多い。
ニット帽の愛用者はこれまでもそれなりにいたから、ブームなのかそうでないのかが判然としない。
最近だと、色柄も豊富でしっかりしたツクリのハットが、天神橋筋商店街あたりでは1000円均一で売られていたりするし、天王寺MIOやヨドバシカメラ梅田店の帽子店では1900円くらいでハットが色柄豊富に取り揃えられている。
関西以外の地域で居住したことがないので、他地域の状況はわからないのだが、ファッション雑誌の特集通りの消費行動があるのは東京を中心とした首都圏だけではないのかというふうに感じる。
そういえば、岡山の郊外や福山に出張することがあるが、
その際、大阪都心でもあまり見かけなくなったヤンキースタイルを目にすることがある。
今話題のマイルドヤンキーどころではなく、ハードヤンキースタイルである。
そう思うと、その他地域も首都圏ほどトレンドに集中しないのかもしれない。
老舗ジーンズブランドの「ブルーウェイ」が来春からメンズでジーンズを再強化する。
なんと今のトレンドとはまったく異なる「立体ヒゲ加工」「ハードビンテージ加工」を施したジーンズを打ち出す。
シルエットは当初、トレンドのスキニーと細身ストレートの2型だけだったが、そこに急遽ブーツカットがプラスされた。
立体ヒゲ加工のブーツカットジーンズなんて「一体何年前の流行だよ!」とツッこまざるを得ないが、郊外店からはこういう「ジーンズらしい商品」の要望があり、ブルーウェイのブランド売り上げ規模からするとバカにならない本数がまとまるのだそうだ。
(立体ヒゲ加工のブーツカットジーンズ)
関西圏の街頭や郊外のハードヤンキー達を見ていたり、ブルーウェイへの要望などを考えると、衣料品の市場ではこういう非トレンド層というのも相当数存在し、各社はその売上高を取りこぼしているのではないかと思えてくる。
帰省者たちの言葉を信じるなら、東京でトレンドを体感し、それに向けた商品開発をすることはとても重要だと思うが、その市場にどっぷり身を沈めすぎると日本全国が首都圏と同じようなトレンドに埋め尽くされていると錯覚してしまうのではないか。
そのあたりが東京一極集中のデメリットもあるのだろうなと感じてしまう。