アドバンテージがなくなりつつあるジーンズナショナルブランド
2014年11月21日 未分類 0
今秋は繊研プラスでよく「マウジー」の記事を見かける。
「マウジー」についての企業戦略記事なんて繊研新聞以外ではあまり見かけないから、毎回読んでいる。
バロック「マウジー」復調
http://www.senken.co.jp/news/baroque-moussy/
アズール・バイ、スキニー7万本計画
http://www.senken.co.jp/news/azul-by-moussy-skinny/
という具合である。
とくに、マウジー復調の記事はこんな一節がある。
ブランドのアイデンティティーであるデニムを素材から開発することで、ブランドの顔を明確にした。
とのことである。
マウジーのブランドアイデンティティーはデニムだったのだ。
ジーンズと言い換えても良いだろうというか、この内容では本来、ジーンズもしくはデニムパンツと書くべきであろう。
3年ほど前になるが、阪急百貨店うめだ本店のレディースジーンズ売り場の取材をしたことがある。
その際、バイヤーからこんな言葉が出た。
「今の30歳の女性は、18歳くらいからマウジーを愛用していた層。彼女らにとってジーンズとはマウジーなのです。ナショナルブランドではないのです」。
これには当時衝撃を受けた。
44歳のオッサンからすると、マウジーなんて最近出てきたブランドという感じだが、よく考えてみると初期に愛用していた層は30代になっているのだ。
また、マウジーのセカンドラインと位置付けられる「アズール・バイ・マウジー」では今秋7万本のスキニーパンツ販売計画が立てられた。
デニム素材は使用しておらず、カラーパンツとしての商品群に分類されるが、これだって並みのジーンズナショナルブランド以上の販売計画である。
こう見ると、ナショナルブランドの座はレディースに限ってはすでに何年も前から崩れていたといえる。
気が付かなかったのはナショナルブランド各社と業界メディアだけではなかっただろうか。
もしかしたら気が付かないふりをしていたのだろうか。
ジーンズナショナルブランドはメンズの方が人気が根強いが、リサーチしてみると、メンズだってこういうブランドが存在するのではないだろうか。
もうすでに言い尽くされているが、ジーンズナショナルブランドはマウジーのようなレディースブランドや他のメンズブランドと競争せざるを得ない状況になっている。
もう何年も前からそういう状況になっていた。
ジーンズナショナルブランドのジーンズ作りに関するノウハウはまだアドバンテージはあると思われるが、それとていつまで維持できるかは不透明だ。
すでにジーンズナショナルブランドのノウハウを持ったOB・OGがOEM/ODM企画事務所を無数に立ち上げており、ここに依頼すればナショナルブランドとそん色のないジーンズを製造することができるというのは、これまで何度も書いてきたとおりである。
これまで書いてきたことの繰り返しのようになってしまったが、マウジーに関する記事を読んでいると、改めてジーンズナショナルブランドというカテゴリーは存続の危機に瀕していると感じた次第だ。