MENU

南充浩 オフィシャルブログ

昔と比べてファッショントレンドが急激に一気に変化しにくくなっているという話

2023年11月27日 トレンド 0

なんやかんやと毎月、洋服は買っているものの、若いころほどの感動も無く買っている。

物がどうとか、ブランドがどうとか、そういう前に新しいトレンドのほとんどが「昔見たことのある物」ばかりになっていると感じるからだ。

新鮮さを全く感じられない。

これは当方が年を取ってしまったからかもしれないが、それでも「全く新しいアイテム」「全く新しいコーディネイト」なんていうのはほとんど見かけない。

たまに「全く新しいアイテム」というのもあるが、例えばバラクラバのように日常的に取り入れることが難しかったり、およそ変な見え方のするものだったりすることが多い。

バラクラバなんて別にニット帽とマフラー(もしくはスヌード)を同時着用すれば済む話でわざわざ買う必要はないし、買ったとしてもかっこよく見えるのはよほどの容姿端麗な人に限られてしまう。

実際に業界メディアでは取り上げられていたが、昨年秋から今年3月にかけてバラクラバを着用した人を街で見かけたことがなく、ユニクロでもマルニコラボのバラクラバは500円に値下がりしても大量に残っていた有様である。

2015年以降のビッグサイズの復活は若者からすれば新鮮だったかもしれないが、中高年層からすればバブル期のリバイバルに過ぎないし、2021年からのゆったりフレアパンツも2005年ごろのブーツカットブームの派生に見えてしまう。

MA-1ブルゾンにしてもバブル期の復活だし、復活してから何年間売り続けられているのかというほどに毎シーズン売られている。

現在ではありふれたアイテムとなっているストレッチジーンズだが、昔は存在していなかった。マス向けに登場したときには、デニム業界からは拒否反応もあったが、実際に着用した感じは綿100%デニム生地とは比べ物にならないほど快適だから、あっという間にマス層に定着した。

この手の新鮮なアイテムというのはなかなか見かけない。

せいぜい一時期騒がれたウェアラブルだろうか。しかし、今ではあまり話題にもならずマスにも広がっていない。だいたい現在どんな商品があるのかも不熱心な当方にはわからない。

 

そして、何度も書いているようにマストレンドがあまり変化しないようになった。

昔なら、ソフトジーンズ、ビンテージジーンズ、ブーツカット、スキニーとだいたい3年くらいで全く新しいビッグトレンドが生まれて、前のトレンドアイテムは何年間か市場からほぼ姿を消していたが、現在はそうではない。

ビッグサイズトレンドももう8年くらい続いているし、前のマストレンドだったスキニージーンズもいまだに相当数売られていて着用者も少なからずいる。

5年前の服を着て歩いていてもさほど違和感はない。よほど最新ファッションに敏感なマニアは別だろうが。そもそもスキニーブームも2008年から2015年と相当に長かった。

衣料品業界としては、2008年以前のように、ビッグトレンドが3年くらいで入れ替わって、完全に買い替え需要が発生する方がビジネス的には美味しいだろうが、もうそんな時代は戻ってこない。何せスキニージーンズは今も全く消え去っていないのだから、前のトレンドは一定数量残り続けるということになるだろう。

今のビッグサイズが今後トレンドアウトしても一定数量残ることになるだろう。

 

先日、以下のような記事が掲載された。

《小笠原拓郎の目》全く新しいものを生み出すことが困難な時代へ | 繊研新聞 (senken.co.jp)

デザイナーコレクションのトレンドの変化はコロナ禍を経て、ますます緩やかになっている。80年代のように毎シーズン、ドラスティックにトレンドが変わることはなく、新しいトレンドが少しずつ登場し、古くなったトレンドが少しずつ無くなっていくという傾向にある。

トレンドが大きく変化していかない中で、スタンダードアイテムの見直しが進む。デザイナーたちは全く新しいものを生み出すのではなく、それぞれのブランドのアーカイブを見直し、それを今の時代に合わせてバランスを変えるという手法をとっている。

 

とのことで、当方はコレクションは全くの無知だし、そんなに興味も無い。たまに知識としてかなり遅れてから調べる程度なのだが、コレクションもマストレンドと同様のようだ。

コレクションから新しいトレンドが発信されてマストレンドに広がることは多々ある。現在のビッグサイズトレンドもそうだし、その前の全身ピチピチなタイトシルエットトレンドもそうだった。

しかし、マスに降りてこないトレンドもあるから、そのあたりの見極めが恐らくは企業デザイナーにとっては重要なのだろうと思っている。

で、話を戻すと、コレクションもマストレンドもトレンドはあまり大きく変化しなくなったし、変化するまでのスパンが長くなったと、80年代・90年代・2000年代半ばと比べて感じる。

決算会見などでは「トレンド変化の速さが」と語られることが多いが、本当にそうなのかといつも首をかしげている。細かい部分はもしかすると変わっているのかもしれないが、それはマニアや愛好家の間だけなのではないかと思う。マスはあまり変わっていないから、マス向けブランドはあまり細かい部分に焦点を当てすぎるとかえって危険なのかもしれない。

とりとめのない話になったが、今後トレンドは大きく変化することはないし、変化のスピードも緩い。また突拍子もない目新しいアイテムが生まれることも考えにくいから、マスを狙うような衣料品は企画が難しくなっていると感じてしまう。

 

仕事のご依頼はこちらからお願いします↓

SERVICE

 

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ