「低価格品が欲しい人が増えたから古着ブーム」という分析に違和感があるという話
2023年11月17日 トレンド 2
当方は古着が嫌いなので買うことはない。
正直なところ、不ぞろいの店頭から1枚1枚見て選ぶのがめんどくさい。在庫処分店の店頭で服を選ぶのが嫌いな理由も同様である。
まあ、そもそも古着に魅力を感じたことが無い。
コロナ禍が始まった直後か始まる少し前くらいから「古着ブーム」と報道されることが増えた。普段、古着とは無縁の生活をしているのと、当方からすると「ブーム」というのは、かつてのDCブームやユニクロフリースブーム、ユニクロヒートテックブームのように、全国的に各店で長蛇の列を作るような規模のものがブームだという昔からの認識があるため、今回の古着ブームという言われ方にはあまりピンと来ない。
メディアの分析では、知っている範囲でほぼ一様に「可処分所得の低下で安さを求める人が増えた」となっていることにとてつもない違和感があった。
理由は、アメリカ村でも何でも良いが、古着店を覗いてみるとそんなに安さを感じない。恐らくジーユーの定価品の方が安いくらいである。
もちろん、人件費やら輸送費やらのコストアップ、円安による輸入品の値上がりなどなどの要因は理解しているが、それでも「可処分所得の低下で安い服を求める人」がわざわざジーユーの定価品よりも高い古着を買うのだろうかという疑問しか浮かばない。
当方なら間違いなくジーユーの定価品を買う。
さらにいえば、ジーユー、ユニクロを始めとする大手低価格ブランドの値下げ品は一段と安い。ジーユーなら590円、790円、990円という1000円未満に値下げされた服がふんだんにある。本当に所得が低下して困っているならそちらを買うはずである。当方なら間違いなくそうする。
ユニクロならだいたい1290~1990円が今の値下げ品の相場で、990円・790円に値下がりするのはよほどの不振品番である。
一口に古着屋と言っても、ブランド品やビンテージ品を集めた「高い古着屋」、国内外の有象無象を集めた「値ごろな古着屋」があって、それぞれ立地や価格帯、品揃え、ターゲット客が異なる。
ブランド古着はユニクロの定価品よりも高いくらいだから、所得低下の人が買うことは少ないだろう。まあ、これまで高級取りだった人が給与を削減されて、同じブランド品よりも少し安いブランド古着を買うことはあるだろう。
アメリカ村なんかに集積している「値ごろな古着屋」だがこれは近年のコスト増もあって幾分か値上がりしている。数千円前後の価格帯が多いから低価格ゾーンに入るとは思うが、所得低下で困っている人ならこのゾーンよりも一段階安いジーユーの定価品かジーユーの投げ売り品を買う方が合理的である。
もちろん、当方の感覚が全て正しいとは思わないが、古着ブームとやらの理由を「低価格品を求める人が増えた」という要因だけにまとめることはおかしいと思えてならない。
そんな中、このブログの分析は当方にも納得行く部分が多かった。
古着ブームに関しての分析で、当方が読んだ範囲内において最も的確だと思う。
古着ブームと価格の高騰、変貌する?古着マーケット: ファッション流通ブログde業界関心事 (cocolog-nifty.com)
記事によれば、ファストファッションブームで古着として耐えうるものの供給が先細りし、一方、世界的な古着ブームで原価は上がるも2022年の日本の欧米からの古着輸入量は1万トンを越え、過去最高の輸入量だったそうです。
枚数にすると3,000万枚くらいでしょうか?
アパレルの国内供給量は37億点くらいということなので1%弱くらいになるでしょうか?
とある。
アパレル衣料品全体で見ると1%なので、当方は「それほど大きなブームでもない」と感じてしまうが、3000万枚というとかなり大量の数量だから、ブームと捉える人がいてもおかしくはない。
ただ、この記事でも後述しているように、輸入した古着が全て販売可能ではない。実際の倉庫に行けば、汚れていたり破れていたり、極度に色あせていたりで販売に耐えられない粗悪品も多々ある。これらは売り物にならず廃棄処分になるだろうから、市場に出回る枚数は何割か減ることになるだろう。
店を覗いて、気が付くのは販売価格が高いこと
ですので、宝物探しをしているお客さんはいるもののレジで買っているシーンを見ることは少なかった印象です。
以前は、1900円、2900円・・・5000円も出せば、コーディネートのアクセントに使える品がいろいろ買えた印象でしたが、
そういった低価格帯の店は少なく、セレクトショップのセカンドラインくらいからそれ以上の価格のお店が沢山増え、若い世代は、そうやすやすと手が出せないのでは?
と思ったものでした。
このような状況では輸入古着は輸入量が増えても、必ずしもマーケットにインパクトをもたらすほど販売数量がそこまで増えるものではないと感じます。
とのことで、価格が高いという点については当方と同じ見方をしている。
古着の販売価格に対する仕入原価率は10%以下、ところが、販売着地のPL上の粗利率は70%程度、つまり、輸入しても販売できない商品のロスや換金のための値下げなどで元販売価格に対して2/3くらいはロスがある計算になります。
しかも、古着は新品に比べて明らかに在庫回転が悪いので、販売チャンスに粗利額をたっぷり稼がなければならないビジネス。
記事のように輸入原価が3割上がってもそもそも原価率が低いので販売価格に対するインパクトはそれほど大きくなくむしろ、競争が激しくなり、価値のある商品の供給が減ったこともあり
各店が単価を稼ぐために価格を高めに振った結果ではないかと
2年くらい前に、当時教えていた専門学校の生徒が大規模な古着倉庫に仕入れ買い付けに行ったことがあるのだが、汚れていたり、破れていたりした物が多く、ある程度状態の良い物を探すのに一苦労したと語っていたほどである。
ところで、古着の客層には
・ビンテージマニア、
・個性のある1点ものを探すファッション好き、そして、
・価格が安いから買うという客層
があったと思います。
しかし、今や最後の価格が安いから買うという世代はファストファッションチェーンやオンラインあるいは国内流通のセカンドストリートのような店に買いに行っているのでしょうね。
とあり、ここも全く同感である。価格が安い服が欲しいという人にとっては、ジーユーの定価品か値下がり品を買った方がはるかに安上がりであるというのが現実で、安いから古着を買っているという人の多くは「ブランド物の定価品より安いから」という理由なのではないかと思う。
昨今の古着マーケットはファッションに関心を持ち始める世代のためのお店ではなく、そこそこお金を持っている方々や仕入れて売る、プロ向けのマーケットにもなっているのかも知れません。
とのことだが、ブランド物の定価品が基準になっている時点で、低下したとはいえ、可処分所得がそこそこある人やブランド物を愛用するファッション大好き人間か、あとは加工して売るようなプロや半プロみたいな人、あとは過度なコレクターみたいな人、のためのマーケットになっているといえるのではないだろうか。
実際にメディアで「安い服を求めているから古着ブーム」と言っている人は、名の知れてそこそこお金を持っていそうな人とか、ファッションマニアみたいな人がほとんどだから、その手の人にとっては「安い」ということなのだろうと思う。
当方は今後も古着は買わずに、ジーユー、ユニクロ、アダストリア、センスオブプレイス、ベイクルーズストアあたりの値下げ品と投げ売り品を買い続ける。
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忍者猫 より: 2023/11/21(火) 4:52 PM
近所の商店街には、以前はバッタ屋というか、倉庫からよくわからないもの・期限切れ商品を仕入れてきて、破格で売るお店がいくつかあった。やがて、餃子の無人店舗が複数出てきた。
そして、バッタ屋が居なくなった場所に、古着屋が出来た。そのうちいくつかは無人古着屋。古着屋はサイズが合うかどうかわからないので、買う気がしない。入りたくなるようなディスプレイもないので、あそこから気に入ったものを探し出す気力がない。やっぱり若くないと探すエネルギーもない。
古着屋って、価格勝負なんだろうな。でも無人古着屋は決して安くない。誰が買うのかなぁと思っていつも前を通る。通常、あまりお客さんはいない。でも週末は商店街に遠征してくる人たちがいるので、それなりに売れているのかなぁ。
最近インスタで、古着倉庫の広告をよく見かけます。
しかも住宅街にあるようです。
客層はどんな感じなのか気になります。
一度偵察がてら見に行きます。
古着はオバチャンをより一層老けさせるので、買わない方がいいですね。