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南充浩 オフィシャルブログ

ゴルフ需要の拡大が終わって分散化が始まったのではないかという話

2023年10月18日 決算 0

先日、京都高島屋SCの内見会に行ったことをブログに書いたが、メンズ関係のアパレル店はほとんどがゴルフがらみで驚かされた。

繰り返しになるが、常設店としてはオブシディアン、ビームスゴルフ、サタデーズニューヨークシティとなり、スポーツのニューバランスもあるがここもゴルフ客を視野に入れた品ぞろえとなっている。

そしてAPCゴルフのポップアップも開催されている。

また髙島屋京都店店長も、SC化に際して「ゴルフ売り場を拡大した」と発言している。

専門店ゾーン「T8」は明らかに量販店ではなくファッションビル、セレクトショップ的な高感度ラインアップとなっており、高感度や百貨店とは縁遠い当方としては、百貨店や高感度店に来るイキった男性客はそんなにゴルフ需要に偏っているのかと驚かざるを得ない。

ちなみに当方の関係性の深い業界の内外の知人でそこまでゴルフに血道をあげている奴はいない。

ただ、当方の生活感覚としてはゴルフ需要は無限に伸び続けるものとはどうしても思えず、20年春のコロナ禍以降、砂糖に群がる蟻の群れのごとく、様々なアパレル企業がゴルフブランドやゴルフラインを立ち上げたため、最終的には大手ブランドの売上高が削られて、有象無象の中小規模ブランドが少しずつ売上高を獲得するという分散化に終わるのではないかと見ている。

ゴルフ需要自体は伸びる可能性はあるが、大多数の国民が参加するようになるお手軽スポーツとは到底思えない。となるとゴルフ需要は成長限界があるし、ブランド数が増えたということは売上高は分散化する可能性が高い。大手がユニクロのごとく強固であれば売上高が減少する可能性は少ないが、ゴルフブランドの大手はそこまで強固ではないし、興味本位で新進ブランドへ浮気する客も少なからずいるだろう。

 

そんな中でパーリーゲイツの売上高減少が報じられた。

「パーリゲイツ」失速 TSI23年3〜8月期は営業減益

TSIホールディングスの2023年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比1.7%増の732億円、営業利益が同9.6%減の5億3200万円、純利益が同34.6%減の14億円だった。天候不順などに伴う販売不調で値引き販売が増え、売上総利益率が悪化した。純利益は受取配当金(6億9000万円)などの営業外収益、有価証券売却益(5億1000万円)の押し上げ効果があった。

ブランド別では、急成長を続けていたグループ内売上高1位のゴルフブランド「パーリーゲイツ」が同5.1%減の83億円と失速した。下地毅社長は「ゴルフ市場は(ブランドが)飽和状態にあり、ブームも一巡している」としながらも、売り場のテコ入れで再成長の余地はあると見る。

とある。

TSIの決算説明書で確認したが、売上高が5・1%減少は正しいが、83億円という数字は間違いである。これは23年2月期上半期の売上高である。正しくは79億4100万円である。記者が欄を読み間違えたのだろう。

231016_Result Briefing.pdf (tsi-holdings.com)

単純計算では通年だと158億4200万円となるが、9月以降の下半期は秋冬シーズンで衣料品の商品単価が上がるのでもう少し増えることになるだろうが、恐らくは23年2月期の売上高170億円には届かずに終わることになるだろう。

コロナ禍から降って涌いたようなゴルフブームでパーリーゲイツは急成長したが、ここで減収に転じたのは

1、コロナ自粛解禁でゴルフ以外のレジャーや娯楽を楽しむ人が増えた

2、ゴルフブランドが増えすぎて売上高の分散化傾向が始まった

という2点があるだろう。

あと7月・8月は猛暑続きでゴルフプレイヤーが減った可能性もあるだろう。ただ、猛暑要因を抜いたとしてもパーリーゲイツの減収は止められなかったのではないかと当方は見ている。

例えば、記事中には

具体的には「パーリーゲイツ」とともに、「ピージージー」「マスターバニーエディション」「ニューバランスゴルフ」など他のゴルフブランドを複合・集積した売り場づくりを進める。

とある。

パーリーゲイツを展開しているTSIですら、ほかに3つもゴルフブランドを展開しているわけである。売上高が分散化しない方がおかしい。

逆に4ブランドともに増収すると考えていたなら相当におめでたい頭の持ち主だろう。

今後、コロナ自粛が再開される可能性は低く、特効薬ができなかったとしても今程度の活動は続けられることにななるだろう。(もっと強力なコロナが出現すれば別だが)

そうなると、レジャーや娯楽は今と同程度の選択肢が維持され、さらに新しい分野が増える可能性も高い。ゴルフ需要は踊り場となるか、増えたとしても微増程度で、20~22年の3年間のような大幅成長は望むべくもない。

24年以降は増えすぎたゴルフブランドの淘汰が始まるだろう。特に何やら訳のわからない有象無象の急造新興ゴルフブランドの多くは今後は消え去る運命をたどるのではないかと思う。

そしてある程度強いブランドだけが残って落ち着くのではないだろうか。

いつまでもあると思うな親とカネとゴルフブーム、である。

そんな減収したパーリーゲイツの商品をどうぞ~

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