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南充浩 オフィシャルブログ

今後、百貨店のSC化は標準化するのではないかという話

2023年10月17日 百貨店 3

先日、専門店部分「T8」を増床オープンした京都高島屋SCの内見会に参加した。

まあ、正確に言えば、末席に加えてもらって座っていたというだけの話である。そして寄稿させてもらった。

高島屋創業の地、京都でも進むS.C.化 専門店ゾーン「T8」を増床 (fashionsnap.com)

専門店ゾーン「T8」の売り場面積は1万2000平方メートル。地下1階から地上7階までの8層構造で、百貨店部分と全階層においてフラットな床で接続する。テナントは全51店舗でそのうち、新業態が9店舗、関西初が8店舗、京都初が18店舗となっている。

 

というのが概略となっている。

 

 

店舗構成でいうと、衣料品は少なめ。ファッションではなく、アートやサブカルをテーマとしているので目玉テナントは、まんだらけ、蔦屋書店、ニンテンドーとなる。これが4階~7階まで入店している。地下1階は食品と飲食が集積されている。サブカル、食が中心でファッション衣料は脇役というのが、実に今風のテナントの集め方だといえる。

 

1フロアごとの面積はあまり広くない。1万2000平方メートルを8層で割れば、1フロアの面積は1500平方メートル、だいたい454坪ずつという計算になる。

衣料品は一部のレディース衣料を除くとゴルフがやたらと多く、オブシディアン、ビームスゴルフ、サタデーズニューヨークシティなどが入店し、APCゴルフがポップアップを開催している。

 

 

SC(ショッピングセンター)とはあるものの、実際はファッションビルである。とはいえ、ショッピングセンターもファッションビルも決まった定義はないから、広義でショッピングセンターということである。

百貨店に来るメンズはイキったゴルフが好きというマーケティングの結果なのだろうか、本体の百貨店部分もゴルフを強化したそうである。(京都店店長談)

 

有力百貨店でありながら、髙島屋は店舗のSC化を積極的に進めている。2018年にすでに東京都心にある日本橋店をSC化した。次いで今回の京都店というわけだが、11月には立川店もSC化する。

百貨店の言うSC化とは、百貨店に専門店を併設・増設する形である。

髙島屋以外でも高槻阪急が10月6日にSC化してリニューアルオープンした。

高槻阪急スクエアが全館改装オープン 百貨店からSCへ | 繊研新聞 (senken.co.jp)

高槻阪急スクエアが10月6日、全館改装オープンした。高槻阪急を約1年半かけて改装した。西武高槻店時代も含めると約20年ぶりの改装となる。百貨店面積は2割、専門店が8割を占めるSCに生まれ変わった。一連の改装で64ブランド・ショップを新規導入し、既存59ブランド・ショップを改装した。地下1階~地上6階で、売り場面積は3万8638平方メートル。

 

高槻阪急は元は西武高槻店で、大阪府内の高槻市の駅前百貨店だった。そんなに何度も足を運んだことはないが、記憶ではさほど広い百貨店ではなかった。それに大阪都心立地でもないからSC化する方が適切だろうと思われる。この点に関しては髙島屋の立川店も同様だろう。

一方、髙島屋の日本橋店と京都店は都心である。都心店でもSC化が起きているという状況にある。

 

個人的には、純然たる百貨店業態は今後どんどん減ると見ている。

伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店などの超有料店舗くらいしか残らないのではないか。実際に消費者として見た場合、よほどの贈答やギフト以外では百貨店だろうが専門店だろうがファッションビルだろうが同じである。要は目当ての物が買えれば良いだけの話である。

そして衣料品ブランドになると、例えば今回、京都高島屋SCが揃えたようなサタデーズニューヨークとかビームスとかそういうセレクトショップ系の店は原則的に百貨店には出店できない。そうなると、百貨店に並んでいるブランドが好みではない層は百貨店に行くことが減る。

むろん、百貨店に並んでいるブランドで満足している人もいるだろうが、その数は90年代、2000年代半ばまでよりは随分と減っているのではないか。

だから、京都店の会見でも髙島屋社長が繰り返していたように「新しい客層を招き入れたい」となると、郊外・都心ともにSC化という手段を取るほかない。

伊勢丹新宿や阪急うめだのように百貨店として莫大な売上高を稼げる店舗は別として、集客に陰りが出たとか、年配客だけになってしまった、というような店舗は今後どんどんSC化するのではないだろうか。

 

しかし、ことさら「SC化」と強調する必要はないのかもしれない。専門店街やファッションビルと百貨店との連動はこれまでも珍しくなかった。

例えば名古屋三越とファッションビル「ラシック」は両方とも三越が運営していて百貨店とファッションビルで補完関係にある。

また大丸とパルコ、松坂屋とパルコなんかも同様で、大丸心斎橋店と隣接する心斎橋パルコは代表的だろう。

会見の席上で、西武池袋店問題の質問が出たが、考えようによっては、西武池袋店にヨドバシカメラが入店するのも形態は未定だが、実際は「SC化」の範疇ではないのかと個人的には考えている。

単独の百貨店でなければ我慢できん!とか言う人が今どれほどいるのだろうか。もちろん接客や商品説明は丁寧にされた方が心地良いことは間違いないが、特に説明を欲していない場合もある。そうなると、商品ラインナップは別として、百貨店という売り方の形態が必要不可欠な存在とは言えないだろう。

純然たる単独百貨店店舗というのは今後超優良店のみとなり、多くはSC化するか、SC化できない不採算店舗やk型店は閉店するという状態で百貨店業界は最終的に落ち着くのではないかと思う。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/10/17(火) 12:41 PM

    こうなると「百貨店」という名前すら怪しくなる

    実態は「また貸し屋」すなわちデベロッパー
    といったところでしょう

    各社最終的にはPARCOのようにマンション分譲やら
    賃貸までやるようになると思います

    ほんとうに儲からない世の中になったものです

    で、挙句の果ては、資本が大きい所ほど
    大家業がもうけの柱になるとはね・・・

    朝日新聞みたいw

  • とおりすがりのオッサン より: 2023/10/17(火) 12:48 PM

    高島屋SC、「まんだらけ」が入ったんですね。
    中野ブロードウェイのまんだらけとか、怪しい感じしかしないサブカルチャーの代表格みたいなものだったのに、まさかデパートと直でつながるようになるとは驚き。もはやサブカルチャーじゃないんだなぁw

  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/10/17(火) 1:53 PM

    こうなると「百貨店」という名前すら怪しくなりますなぁ

    実態は「また貸し屋」すなわちデベロッパー
    といったところでしょう

    各社最終的にはPARCOのようにマンション分譲や
    賃貸までやるようになると思います

    ほんとうに儲からない世の中になったものです

    で、挙句の果てに、資本が大きい所ほど
    大家業がもうけの柱になるとはね・・・

    朝日新聞みたいw

    んで、各社の違いはトイレのキレイさぐらいw
    最下層は間違いなくAEONでしょうww

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