「割安感」と「継続する力」と「資金繰り」の重要性
2023年9月20日 企業研究 1
どの収入の消費者層をターゲットとするのかは別として、ブランドステイタスが完成された欧米のラグジュアリーブランドを除いては、各層ともにある程度の「割安感(激安ではない)」は物を売る上においては重要だろうと思う。
当方はラグジュアリーブランドに興味が無いし、今後どれほど金持ちになろうと(なれる可能性はゼロだが)欲しいとは思わない。洋服しかり腕時計しかり自動車しかりである。一応業界に住んでいた人間からすると10万円台の洋服くらいまでは理解ができるし欲しいと思ったこともあったが、それ以上になるとそれは背伸びをして買うような物ではないと思っている。
そんな当方からしても比較的共感を覚える部分が多いのが、ニットブランドのCTプラージュという国内ブランドである。知るきっかけは何だったのかと思い出すが、恐らくは業界の某ご先輩の紹介ではなかったかと思う。そこから定期的に展示会のご案内をいただくようになった。
失礼ながら、業界内の知名度はそんなに高くないし、売上高規模も数億円くらいなので大きくもないが、売上高の80%強が欧米9か国を中心とした世界20か国からのものだという。
個人的には海外市場には全く興味が無いのだが、海外進出ガーが大好きな業界人やメディア界隈はもっと注目しても良いのではないかと思っている。
知名度もそんなに高くないから(2回目の失礼)、業界メディアで記事が掲載されることもあまりないが、今回は記事が掲載されたので喜ばしい限りである。
今回、10月4日から10日まで、阪急百貨店うめだ本店4階でポップアップを開催することが決まった。また
9月20日(水)から10月2日(月)までの期間に、パリのギャラリー「20 RUE CHAPON」で開催される単独展示会&販売会は今回が2回目。
とのことで、今日からパリで展示会&即売会が始まっている。
これまで何回も大阪の展示会で、代表取締役でデザイナーの諏訪直美さんに雑談がてらお話を伺った。
まず、興味深いのが2001年にニットのOEM/ODM会社として立ち上げたところである。ちょうど国内業界内のOEMブームが始まったころである。90年代後半から大手総合アパレルの企画職や生産管理職がリストラされOEM会社を立ち上げるケースが激増していた。
しかし、翌年あたりから大手商社や大手生地問屋がOEM事業を拡充強化し始めたことから苦戦が始まり、2007年に一大決心をして、オリジナルのニットブランドを立ち上げたという。
OEM屋がオリジナルブランドを始めても軌道に乗らない場合が多いが、欧米の合同展示会に出展して販路を開拓しようとした。
なぜ、欧米だったのかというと、理由はいろいろと挙げてくださるのだが、
1、欧米は日本より寒い時期が長い(夏でも朝晩はヒンヤリすることが多いとのこと)のでセーター類が長い期間売れやすいだろう
2、日本ではウール100%のベーシックニットはユニクロに対して勝ち目が無かった
3、日本は暖冬傾向とメンテナンスフリーの傾向で羊毛・獣毛ニットが年々売れにくくなっている
の3つに集約されるので、肯くばかりである。
ただ、欧米となると言葉の壁もあるし商習慣も異なるので、そう簡単なことではないだろうというのは容易に想像できる。ただ、足繁く日本とヨーロッパを往復することで、16年間かけて2023年のパリ・単独展開催に至るわけなので、まさしく「継続は力なり」「一念岩をも通す」である。ただ継続できるためにはそれなりの資金は必要になるから、ある程度の利益は確保でき資金繰りが出来ていたということで、そのあたりの工夫も上手かったのだろう。
商品はベーシック・定番的で尖ったデザインは無い。当方程度の人間になると尖ったデザインの服はイマイチ着用感がしんどそうな物が多いので共感が涌かないことが多いのだが、その点でも当方レベルの人間に理解できる商品なので共感も涌きやすい。
で、ご本人の口から欧米市場で息長く支持を受けられている理由として
「ハイブランドを扱う現地セレクトショップへの卸売りが主体ですが、各ショップからは『品質の割に割安感がある』という評価を10何年間いただいています」
とのことで、商品価格はだいたい2万円台~4万円台くらいで、たしかにハイブランドを扱う店やその顧客からすると「割安感」はあるだろう。何せそのあたりのブランドのニットと比べると値段は3分の1程度である。
ついでにいうと、当方ですら買おうと思えば買える値段帯だし、当方ですらお金に余裕があったら買ってしまう値段帯だということは理解ができる。
ひたすらに高額化し続け、それを押し通すようなラグジュアリーブランドというのは当方には理解できないし、そのビジネス姿勢に対する憧れも無い。また冒頭にも述べたように商品も欲しくない。恐らく、短期的・中期的にそのようなブランドを日本の業界が作り上げることは不可能だろうと思っている。何十年後、100年後くらいにはできているかもしれないが。
消費者の収入や資産はそれぞれ異なるが、どの層にアプローチするにしても「割安感」というのは非常に重要な要素ではないかと思う。今回のCTプラージュはハイブランドに対する「割安感」という点が欧米市場で評価を受けたということになる。
それと16年間、コツコツと継続する精神力と最低限の確実な資金繰りがいかに重要かということだろう。
まあ、当方はもう10時間以上も飛行機に乗り続けることは苦痛でしかないので欧米に行くことは絶対にない(4時間以上飛行機に乗ること自体が嫌)が、CTプラージュには頑張ってもらいたいと他人事として思っている。
くそ暑い関係のネタも5~6周めで
もう万事ネタ切れですかね?
とかく物が売れない時代ですから
当たり前といえば当たり前だけど
資金繰りと、成功したところで
たいして儲からない事実に負けずに
事業を継続する精神力w
は確かに大事だと思います
もっとも、私なら買う側に回りますけどねww