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南充浩 オフィシャルブログ

高い服は耐久性が高い、とは限らない理由

2023年9月11日 考察 0

皆さんこんにちは〜

USです。

私は仕事柄、襟付きのシャツを毎日着用してます。

もとからTシャツよりも襟付きシャツが好きだったので販売員時代からシャツをよく着用しており、破損や汚損して捨てたとしても、しばらく買わなくて良いくらいの量を持っています。

着用頻度は物によって変わるので着用が少ない物は販売員時代に社販で買ったシャツも未だに仕事で着用したりしています(笑)

毎日同じシャツを着用していないので、劣化具合はかなり緩やかですが毎日着るアイテムなので、『襟付きのシャツは消耗品!』と考えており、気に入ったシャツはついつい買ってしまう事が多いです。

生地屋時代の先輩も同じ様に『襟付きシャツは消耗品!』という考えで仕事柄たまに頂くファミリーセールのチケットを持ってよくシャツを買いに行っておりました。

その先輩も私もボタンダウンオックスシャツが好きで、プロパーで買うとそこそこの値段するアイビー系ブランドのオックスシャツをファミリーセールで買ってました。

 

ある日、ファミリーセールでゲットした某アイビー系ブランドのオックスシャツを着ている先輩が袖口を見せて私に話掛けてきました。

 

『このシャツ腕時計つけてる袖口だけいつも擦り切れるんや。

他のシャツはこんなことないねんけどなー。よう着てるからかもしらんけどこれはちょっと早すぎるわー。

物性が悪すぎるんちゃうかー(笑)高いシャツやのに。』

 

見ると確かに腕時計をつけている袖口だけ生地が擦り切れていました。

ファミリーセールでゲットしたとは言えどプロパー価格では2万円位するシャツなので擦り切れたのはショックだったと思います。しかも着用はワンシーズンしてなかった気がします。

ちなみに、自分も同じシャツを持っていましたがその様な事になっておりませんでした。(今でも着れてます(笑))腕時計の素材とシャツ生地が相性悪かった、という事かもしれませんが。

 

この先輩は「高いシャツなのに物性が悪い」と言っていたのは冗談というニュアンスで笑いながら話しておられましたが、一般消費者なら笑いごとでは済まないかもしれません。

どうも一般消費者の中では『高い物=上等な物=丈夫な物』という考えを持っている方が多いと感じます。

こちらのブログを愛読頂いている方は南さんもよくご指摘されているのでおわかりいただいているかと思いますが、実際そうではありません。

 

確かに「丈夫な物は高い物」かもしれません。

丈夫な生地を作る方法には織物であればたくさん糸を使用して生地を作る方法もありますが、糸をたくさん使うことで糸代が高くつきます。また、緯糸の打ち込みを増やせば増やすほど糸の使用量が増えますし、生地を織るスピードがダウンし、生産効率が下がります。生産効率が下がることで機械稼働時間や工員さん労働時間が増えるので、自ずと生地の単価もアップします。

 

一方で、希少性の高い物も高級品になりやすいです。

三重県の鳥羽に親戚がいるのでよく鳥羽へ行きますが『アワビが高いのは美味しいから、というのもあるがアワビが見つけにくく獲りにくいという点もある』と市場の方から聞いた覚えがあります。繊維で考えてみると例えばカシミヤや超長綿などは希少性が高い故に値段も高くなります。

また、生地を作るまでに2次加工、3次加工、と加工工程が増えていくと人の手加わり時間がかかるので値段が上がる傾向が強いです。

例えばエンブロイダリーレース等は柄の細かさ、刺繍糸量等で単価が決まるので複雑な物になればなるほど、使用する糸の量が増えて単価が上がって行きます。

このような生地を使って洋服を作ると上代が高い服になってしまいます。しかし、決して丈夫な物ではないことは想像して頂けるとおわかりになると思います。

カシミヤにしてもエンブロイダリーレースにしてもきちんとメンテナンスすれば長くきれいな状態保つことができると思いますが、雑に扱うと通常品よりも傷みやすい可能性も高いです。(どんな物でも雑に扱えば傷んでしまいますが)

 

ここまでで「丈夫さを求めて高い物を買う」ということは少々違う、ということはなんとなくご理解頂けたと思います。

生地や洋服には様々な価値基準がありますが、他に類を見ないほど分厚い生地だから付加価値があって高額な場合は耐久性が高くなることが多く、極細番手の天然素材を使って薄くて繊細な生地を製造した場合も付加価値があって高額な生地になりますが、耐久性は優れていないということがほとんどになります。

しかし、どちらの希少性が高い生地も高付加価値・高価格になりますから、一方で作った服は高価格で丈夫、もう一方は高価格でも傷みやすいということになります。

 

 

何を以て丈夫というのかも難しい問題ですが、服を工業品と捉え、ある程度のファッション性と丈夫さ、そして価格の割安感を求めて、生地の堅牢度や物性面や縫製面等を総合的に考えると今の日本においてはユニクロが最高峰なのではないか?と個人的には思います。

なんだかユニクロ推しみたいな終わり方になってしまいましたが今回はこれで終わりです。

拝読ありがとうございました。

以上USでした!

 

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@SCYE333

 

 

 

 

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