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南充浩 オフィシャルブログ

非合理的な部分が多いトレンド品は短命に終わるのではないかという話

2023年9月7日 トレンド 3

大学新卒で就職した会社がイズミヤの子会社の洋服チェーン店だったというのは何度も書いてきた。当時の社長はペガサスセミナーの熱心な信者だったので、当方もペガサスセミナーのチェーンストア理論をいくつか教えられた。

なにせもう30年前のことだし、その会社を退職したときにペガサスセミナーの本も捨ててしまったので、記憶が曖昧なのだが、当時教えられたことの中に「ロングセラーな定番品は高く売り、トレンド物は安く売れ」というものがあった。これがペガサスセミナーの教えだったのか、社長独自の教えだったのかは記憶が曖昧なのでハッキリしない。もし、ご存知の方がおられたぜひお知らせいただきたい。

この記憶が定かではない教えは今でもその通りだと思うことが多い。

 

毎シーズン、ファッション業界とファッションメディア業界から様々なトレンドが仕掛けられる。まあそれが飯のタネなのだから仕方がない。ただ、仕掛けられたファッショントレンドというのは当たる物もあるし全く当たらない物もある。当たるも八卦当たらぬも八卦みたいな感じで聞いておくのが適切だと思っている。あんなもん全部をまともに受け止めてたら頭おかしなるで。

 

毎シーズン仕掛けられる種々雑多な最新トレンドだが、長ーく生暖かい目で見ていると、合理的な物は定着化・定番化することが多いのに対して、非合理的な物は短命に線香花火のように消え去ることが多いと感じる。

いつものように統計データはない。あくまでも当方の体感によるものである。

近年のバッグのスタイルで言うと、圧倒的にリュック、それからショルダーが2強で、リュックにせよショルダーにせよ最早トレンドというよりは定番化・定着化しているといえる。

最大の理由は「便利だから」である。また東日本大震災の際、公共交通機関が停止して自宅まで長期理を歩いて帰宅した人が続出したが、その際、手提げビジネスバッグに比べると両手が自由になるリュック。ショルダーは格段に便利だったため、防災の観点からもリュックとショルダーが定着化したといえる。

手提げビジネスバッグは不便さゆえに需要がだいぶと減ったとはいえ、オーソドックスなスタイルが無くならないので完全にゼロにはならないだろう。

非合理性ゆえに短命に消え去ったバッグというとクラッチバッグではないかと思う。

記憶を思い起こすと、2010年代後半にバブル期スタイルのリバイバル的な形でクラッチバッグが最新トレンドアイテムとして注目を集めた。

当方の面識あるインフルエンサーもオリジナル品を作って販売していたような記憶がある。

しかし、バブル期を10代半ば以上~20代として過ごしている年代の者からすると、バブル期にイキったオヤジ連中が小脇に抱えていたセカンドバッグを彷彿とさせてしまい、取り入れるのには抵抗感があった。当時のオヤジ連中はセカンドバッグしか抱えていなかったのに「セカンド」というのは何故だろうか?解せぬ。ファーストバッグはどこへ行った?

厳密にいうと、セカンドバッグとクラッチバッグは違うのだそうだが、傍から見ているとほとんど同じである。

当方がクラッチバッグを良いと思わなかったのは、バブルオヤジっぽいということ以外に、小脇に抱えるという使い方がこの上なく不便だと思ったからである。ハッキリ言って手提げのバッグよりも不便である。そして、白を始めとする淡色商品は手垢による汚れが目立つ。

そう考えると不便で非合理的なことこの上ない。これは絶対に短命トレンドで終わると思ったものだったが、案の定、2023年現在クラッチバッグを抱えている人はほとんどいない。バブル期から変わらずにセカンドバッグを抱えているオヤジはパラパラといるが。

現状、こんな動画が多数作られている有様である。


で、この動画の作者はアルマーニのクラッチバッグを買って、たまに結婚式などに出席する際に使っているというが、それが一番正しい使い方だろうと思う。

で、生来のケチンボな当方はアルマーニということは最低でも何万円かはする。もっと高い可能性もあるというカネ勘定をしてしまう。短命トレンドに終わって、しかも何年かに1回呼ばれることがあるかどうかの結婚式用としては、当方からするとクラッチバッグに何万円も支出することはこの上なくもったいないと感じる。当方からすると死に金である。(違うという人がいても否定はしない)

で、ここで最初の会社の教えに戻るのだが、「最新トレンド物は安く売れ」というのは当方にはその通りだと感じられるのである。

リュックやショルダーのように定着化したものなら、壊れるまで使えるし、また使う機会も多い。だから少々高くても買う価値がある。しかし、クラッチバッグの場合、流行自体が3年くらいで終わり、今では大阪市内でも使っている人をあまり見かけないという代物である。となると、金持ちとかファッションマニアを除く庶民にとっては、高い金額で買う価値が無い。庶民向けの店やブランドならクラッチバッグをw安く売った方が理にかなっているし、買う側としても安くで済ませられる方がありがたい。(使えるかどうかも分からない物を買わないことが家計の最大の防衛になるが)

 

直近で言えばバラクラバも非合理的で定着しなかったトレンド品の典型ではないかと思う。

ニット帽とマフラーかスヌードがあればあえて「目出し帽」を被る必要性がない。本物のバラクラバなんて軍事行動中の兵士か銀行強盗かくらいしか着用できない。自転車やバイクに乗る人は真冬に寒さよけに着用しているというが日常生活での利用法というのはその程度である。都心を徒歩や電車で移動する人には必要ないし、あれを付けて顔面を覆わなくてはならないほどの寒波は今の日本の都心ではほとんど襲来しない。

だからメディアでの採りあげ方に反してほとんど流行らなかった。ユニクロマルニのバラクラバなんて500円に値下がりしてもワゴンに山積みのままだった。

合理的な部分が多いのか、非合理的な部分が多いのか、そこがトレンド品が定着するか短命に終わるかを決める場合が多いのではないか。

 

そんなクラッチバッグをどうぞ~

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/09/07(木) 6:35 PM

    「ロングセラーの定番品は高く売り
     今トレンドの流行品は安く売れ」

    渥美先生は流行品・トレンド品・メガヒット品を強く警戒されていて

    ・総売上に占める単品売上比率が突出している商品は危険
    ・上記商品の総売上に占める割合は最大15%まで

    といっていました

    特に単品商売がウリになりやすい飲食の世界で
    トレンド全面頼りをやって自滅した会社・業態数しれずです

    とはいえ、ロングセラーな定番品といえど
    3年前と同じ仕様書で売れ続ける程
    今の市場は甘くありません

    資金力と人材がある会社が勝つに決まっています

    で、それがウニクロとご本尊様であるという
    身もフタもない結論にしかならないのが
    自分で書いててもやや空しいけど
    マァしょうがない・・・

  • とおりすがりのオッサン より: 2023/09/08(金) 9:13 AM

    ちなみに、自衛隊でも関東の部隊だと完全な真冬は演習が無かったりするので、自衛隊ですらバラクラバはたいして必要なかったりしますw

  • キム ゴンウ より: 2023/09/08(金) 9:40 AM

    ほぼSARAのZARA
    ってすればいいのに

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