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南充浩 オフィシャルブログ

フォーエバー21が中国市場から完全撤退

2019年5月9日 企業研究 0

連休中に飛び込んできたのがフォーエバー21の中国市場完全撤退というニュースだった。
ご存知の方も多いだろう。
「フォーエバー21」が中国市場から完全撤退
https://www.wwdjapan.com/854247
実店舗だけでなく、ECも完全閉鎖である。
 
「フォーエバー21」は2008年に初めて中国市場に進出したが、短期間で撤退。その後、11年に再進出して「Tモール(TMALL)」にも出店した。18年末以降、同社は天津、杭州、北京、重慶、西安の店舗を閉店しており、深圳店も4月30日に閉店。上海の旗艦店を含む3店舗も近日中に閉店する。なお、3月には台湾から撤退しているほか、17年に香港の旗艦店を閉店している。
 
経営者は韓国出身だが、東アジア圏では撤退に次ぐ撤退を繰り返しており、同社の商品は東アジア圏ではウケにくいのではないかと思う。
 
中国は、アリババが運営する「タオバオ(TAOBAO)」や同国第3位のEC企業であるピンデュオデュオ(PINDUODUO)などのECサイトが幅広い商品を激安価格で販売しているため、ファストファッションには厳しい市場だ。英アパレルの「エイソス(ASOS)」や「トップショップ(TOPSHOP)」などがすでに撤退しており、アマゾン(AMAZON)も19年7月18日までに中国国内向けのマーケットプレイス事業を閉鎖する。
 
とまとめられており、別の記事でも中国市場は規模が大きいが勝ち負けがはっきりしていると論じられているが、市場規模が大きい割に勝ち負けがはっきりしているのは何も中国に限ったことではないだろうと、不思議に思った。
規模が大きい米国市場だって勝ち負けがはっきりしているし、日本市場でも同様だ。
日本人は日本悲観論が大好きだが、市場規模は大きい。しかも内需が強い。最近は韓国経済が失速しているが、韓国のGDPは東京都並みしかない上に、内需が弱い。輸出依存型だから、輸出が回復しないことには景気は回復できない。
米国市場だとユニクロがなかなか伸びない。しかしオールドネイビーは好調を続けているがGAPは不調だ。これまではH&Mが好調でZARAは伸び悩んでいたが、最近ではそれが逆転している。
日本市場ではトップショップもオールドネイビーも撤退してしまった。ユニクロ、ジーユーは好調だがしまむらは不振である。
 
中国市場に限らず、市場規模が大きいからといって、安ければどんなブランドでも売れるというものではない。
各国にはそれぞれ固有の好みがある。それに合致しないブランドはいくら安かろうが、有名だろうが売れない。それだけのことである。
 
市場規模が大きいから売れるかもとチャレンジすることは不要とは言わないが、市場規模が大きいからそれなりに売れるだろうなんていう楽観論は中国市場に限らず、どこの国でも通用しない。
それは「作ったら売れた、並べたら売れた」という70年代・80年代のオッサンの考え方でしかない。
 
D2Cの眼鏡ブランド、オーマイグラス東京の清川忠康社長はこんなツイートをされている。
 


 
眼鏡に限らず、これが真理だろう。各国ともそれぞれ嗜好や体格・体型が異なる。
全世界同じプロダクトでは通用しない。いかにローカル化するかが重要ではないかと思う。
 
今回のフォーエバー21の中国撤退の報道で感じたのが、同ブランドは近いうちに日本も撤退するのではないかということである。
単なる思い付きだから外れるかもしれない。
 
そこでちょっと思い立って、フォーエバー21の国内店舗を調べてみた。現在、数えると15店舗だった。
一番話題となったのは2017年10月の原宿店閉店である。なにせ日本上陸第1号店で、象徴的な店舗だったからだ。
オープン時には長蛇の列ができたし、初年度の売上高は100億円もあった。
しかし、その8年後に閉店となっている。恐らく、売上高は低下していたのだろう。家賃も高かっただろうが、100億円の売上高を維持できていれば家賃はさほど負担ではなかったはずだ。
 
で、閉店時の記事によると、国内店舗数は17店舗ということになっているから、そこからさらに2店舗減っている。
 
フォーエバー21の店舗数はピーク時で25店舗あったと報道されているが、そこから10店舗減っており、原宿店閉店以降もジワジワと店舗数を減らしている。
恐らく、今後、店舗数がさらに減ることはあっても増えることはないだろう。
 
国内のアパレル業界を回っていても、ZARAとユニクロの話題は出るが、フォーエバー21の話題はほとんど出ない。出るとすれば、「セール品2点目無料」という驚愕の販売方法についてくらいである。

 
 
 
タダでも持って行って欲しいほどに不良在庫がダブついているということなのだろう。
あの売り方を何回も繰り返しているところを見ると、売れ行きは思わしくないと考えられる。少なくとも上陸時の勢いはまったく消えている。
 
そんなわけで、フォーエバー21が近い将来に日本から撤退しても当方はまったく驚かない。
 
 
 
そんなフォーエバー21の商品をどうぞ~

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