南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

イトキン

社名の知名度が低くて、ブランド育成に失敗しているのは三陽商会だけではない

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 バーバリーを失った三陽商会の危機を伝える報道は数々あるが、歴史の順を追ったこの記事はなかなか資料的価値はあるのではないかと思う。

三陽商会、バーバリー喪失ではない失速の本質
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/061400129/?n_cid=nbpnbo_fbbn

どこでも書かれているように、バーバリーの代わりに導入したマッキントッシュフィロソフォーが穴埋めをできなかったというのはその通りだが、三陽商会の凋落はこれだけが原因とはいえない。

記事中では、バーバリーが「中高年向けブランド」になってしまった90年代後半に、三陽商会が独自に「バーバリー・ブルーレーベル」を作って大ヒットを飛ばしたことを触れているが、単なるブルーレーベル礼賛に終わっていない部分が秀逸だと感じる。

 歌手の安室奈美恵さんが97年の結婚記者会見で同ブランドのミニスカートをはいたことで「火に油を注ぐような勢いで売れ出した」(新名宏行・現常勤監査役、社史より)。百貨店にとってもドル箱となった。「女子高校生や若者がこぞって百貨店に訪れた。万引き対策が大変だったほどだ」と大手百貨店幹部は当時を振り返る。

 ただ、世の中が「安室フィーバー」に沸いた頃の、三陽商会の業績をつぶさに見ると、ブルーレーベルが、会社全体の売り上げを底上げするほどではなかったことが分かる。ミニスカートが話題となった97年12月期の売上高は前期から1億7000万円増え1486億6800万円だったが、98年には早くも減収に転じた。2年後の2000年12月期の決算は、26億円の最終赤字となった。


バーバリーブルーレーベルが絶頂期を迎えたときでさえ、わずか1・7億円の増収、ピークは越えたとはいえまだまだ人気を維持していた2000年でさえ、26億円の最終赤字に陥っている。

ブルーレーベルを含んだバーバリーは好調だったのだろうが、それ以外のブランドがまるでダメだったということである。

そもそもバーバリー本社は、ライセンス先が勝手に作った(本来のライセンス契約ではあり得ない奇手)「ブルーレーベル」と、のちに作られる「ブラックレーベル」の存在を嫌っていたといわれている。
嫌ってはいたが好調だったので黙っていたともいわれるが、ライセンス契約が更新されなかったのもこれらを嫌っていた部分があるのかもしれない。

現在は、バーバリーとのライセンス契約を変更し、クレストブリッジとしてこのブルーレーベル、ブラックレーベルは存続しているが、かなりの不調だ。

以前にも書いたが、三陽商会も百貨店もマッキントッシュフィロソフィーが苦戦することはある程度織り込み済みだったと考えられるが、彼らの慌てふためきぶりを見ていると、クレストブリッジの不調は計算外だったのではないかと思えてくる。
しかし、バーバリーの冠ではなく、クレストブリッジなんていう名前に変われば、たとえ商品内容が同一でも売れなくなるのは当たり前だ。

で、90年代から現在に至るまでの三陽商会の失敗の本質は、バーバリー以外のブランドが育っていないことと、バーバリー以外での知名度がまるでないことだ。

ブランドが育っていないことは一目瞭然だからあえては触れない。
問題は、三陽商会という社名もバーバリー以外のブランド名も実は業界人が思っているほど知られていない。

最近はファッション専門学校生ですら「三陽商会」という社名を知らない。
「2年前までバーバリーをやっていた会社」と説明すると、「あー、わかった」と答える程度の知名度の低さである。

ちなみに専門学校生に知名度が低いのは三陽商会だけではなく、オンワード樫山、TSIホールディングス、ファイブフォックス、イトキン、レナウン、フランドルなどかつての百貨店向け大手アパレルは軒並み社名を知られていない。
ワールドは社名だけはかろうじて知られているが、それだけの存在だ。

このあたりはまったく同じ病巣があるといえる。
「カネのない若い奴らに知られる必要はない」と、各社の関係者は思うかもしれないが、知られていないのは存在しないのも同然だから、若い人にとっては存在しない会社なのである。
そして、10年後、20年後は今の若い人が中高年になる。
その時に、見ず知らずの会社の製品を選ぶだろうか。
まあ、ほとんどの人間は選ばないだろう。

20年後は、老人層が支持する会社になってしまっているだろう。
でも、これらの会社が20年後も存在しているとは限らないから、そういう心配は不要なのかもしれない。(笑)

閑話休題。

よく書けている記事だが、異説も紹介したい。

ライセンスの契約更新が上手く行かなくなりそうだとは、業界では早い時期から噂されていた。
記事中に三井物産出身の田中和夫社長が登場するが、その田中社長もバーバリーの契約更新には危機感を持っていたと、中の人に聞いたことがある。
丸っきり楽観していたわけではなかったようだ。
しかし、目に見えた対応策を掲げなかったので、結果としては同じことだったともいえるのだが。

また百貨店の再編は2000年後半に起きたが、きっかけは2000年のそごうの経営破綻だろう。
そごうの経営破綻以降、各百貨店の経営は極めて悪化し、経営統合が進んだ。
そごうも西武も経営破綻した者同士がくっついたし、経営が悪化した三越は伊勢丹に助けを求めた。

阪急と阪神は某モノ言う株主の企業買収を予防するためだったといわれる。


で、戻ると、三陽商会が金看板の「バーバリー」以外のブランド育成に失敗したということは、実は先ほど挙げた「若者に知られていない大手アパレル各社」に共通する問題だといえる。


ワールドは黒字回復と盛んに報道されているが、この2年で新たに話題になった新ブランド、復調ブランドは耳にしたことがない。黒字回復の要因は、経費削減によるものでしかない。
一説には、大規模な人員削減をやった結果、残すべきはずの人たちまでが自発的に辞めたために、逆に予想以上の黒字になったとまで言われている。

あとの各社も似たような状況で、話題ブランドをいくつか傘下に持つTSIは除外して、オンワード、レナウン、フランドル、ファイブフォックス、イトキンで、新たに伸びてきたブランド名を耳にしたことがない。

人件費を含む経費削減で当分の間は延命し続けるだろうが、それはいつまで続けることができるのか。

記事で三陽商会に指摘された事実は、旧大手各社に共通した課題だといえる。



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誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25





創業家の手から離れたイトキン

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 さて、1月末で資金ショートに陥る危機だったといわれていたイトキンがインテグラル社に買収された。

興味の対象はインテグラル社がどのような方策を打ち出すのか、そして創業家の辻村家はどうなるのかというところだろうか。

まず、辻村家は経営から手を引く。

繊研新聞社のウェブニュースではすでに新会長が就任することが伝えられていた。
となると、辻村家の現会長は退任するということである。

繊研新聞はそこまで書いていないが、普通の知識がある人間が読めばそう判断する。
会長2人体制なんていうのはあり得ない。

問題は社長以下の辻村家が残るかどうかだったが、インテグラル社は大株主から株式の大半を譲り受けたことがすでに伝えられている。
非上場の同族企業であるイトキンの大株主は辻村家しかないわけだから、辻村家から株式の大半を譲り受けたことは明白であった。
どの新聞もなぜか書いていないが。(笑)

本日の日経ビジネスオンラインでさらに真相が書かれており、辻村家の経営からの撤退も明言されている。
ここまで突っ込んだ記事を書いた媒体はない。評価に値する。

イトキン買収のファンド、真相を語る
「あと1年遅ければ債務超過だった」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/021100248/

新社長にはイトキンの前田和久副社長が就任することも書かれてある。

そして、記事末尾にはこうある。

ファンドが再生支援に入ることで、創業家は経営からすべて手を引くことになります。

とのことである。

まあ、正しい判断だろう。
むしろ、もっと早くに同族経営から脱していれば債務超過目前のような窮地に陥らなかったのではないかとも思う。

同族経営から離れられなかったのが、創業者・辻村金吾氏の限界点だったのではないかと個人的には見ている。

そして方策だが、まずは7ブランド廃止で400店舗の閉鎖である。
7ブランドの廃止はすでに報道されていたが、400店舗の閉鎖という具体的数字は初めてである。

収益力を高めるため、国内約1400の店舗は千店程度まで絞り込む。昨年1月末で約4800人いた従業員についても早期退職を募っていて、4千人規模になる見通しだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160211-00000003-asahi-bus_all

昨年のワールドと合わせて900店舗の閉鎖である。
それ以前にもTSIも大量のブランド廃止を発表しているから、少なく見積もっても3社で1200店程度は閉鎖することになると考えられる。

すごいなあ、と思うのは、その1200店舗がなくなっても従業員以外は誰も困らないというところだ。

だれかいますか?
ワールドのあのブランド店がなくなってすごく困っている人。
イトキンのあのブランド店がなくなってすごく困る人。
TSIのあのブランド店がなくなってすごく困る人。

その店で働いていた従業員以外はだれも困らない。
あ、そのブランドの製造を担当していた製造関係者も困るが、一般消費者はだれも困らない。

だからなくなっても当然だと思う。

むしろ、これまでの洋服の供給過多が改めて浮き彫りになったのではないか。
1200店舗がなくなっても誰も困らない。
これが今の国内市場である。

洋服が売れないのも、値崩れを起こしているのも、その原因の一端は供給過剰にある。
しかし、社会主義経済ではないから国やら役所が各社の製造数量を決めるわけにはいかない。
自由競争に任せた結果供給過剰に陥るのは仕方がない。
供給過剰でどう勝ち残るかを考えるべきであって、「オシャレに興味がない人が増えた」なんて責めても始まらない。興味を持たれるような方策を採ってこなかった方が悪い。

元来が供給過多だから大手アパレルの大量閉店は、供給量を戻すための正常行為だともいえる。

脳内が高度経済成長期やバブル期で時間停止している経営者や幹部連中が君臨するアパレルは今後もさらに淘汰が進み、供給量は限りなく正常値に近づいて行くのではないか。









イトキンがインテグラル社の傘下に

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 今回は結論がなく、速報という形を採らせてもらう。

イトキンのスポンサーに、インテグラル社が決定したと製造関係者筋から聞かされた。
配布された挨拶状も見せていただいた。

実は、昨年末ごろからイトキンの経営悪化を伝える噂が多かった。
中でも深刻だと感じたのは、1月末で資金ショートするという噂だった。

銀行関係者でもなんでもないし、非上場企業なのでその決算書を見ることはできないから真偽のほどはわからない。
しかし、業界の噂というのは、当たらずとも遠からずという場合が多い。
おそらくかなりの苦境にあったのではないかと推測される。

スポンサーが決まったということは当面の資金問題はこれで解消したということになる。

挨拶状を読んだ限りでは、今後どういう体制になってどういう指針を示すのかは定かではない。
まったく触れられていない。

それらは、大手メディアのこれからの報道に任せることにしたい。

さっそく朝日新聞でも第一報が報道されている。


イトキン、ファンド傘下へ 「a.v.v」ブランドなど
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160210-00000003-asahi-bus_all

アパレル大手のイトキンが、経営再建のため投資ファンドのインテグラル(東京)の傘下に入ることが9日わかった。事業はそのまま続ける。10日にも公表される予定だ。
インテグラルがイトキンの株式の大半を、数十億円で取得する見通しだ。

関係者によると、インテグラルがイトキンの第三者割当増資を引き受ける。ほかにも既存の株主からも株式を買い取る。



とある。
おそらく創業家からもかなりの株式を買い取るのではないかと推測している。

インテグラル社は一般的にスカイマークの再建にかかわった会社という認識が強いようだ。
しかし、ヨウジヤマモトやバッグメーカーのシカタの経営にも参画している。
また、佐山氏はワールドが2005年にMBOで上場廃止した際にもかかわっている。

いろいろとアパレル業界には縁があるといえる。

今後、どのようなイトキンの再建策を打ち出すのか注目したい。
おそらくドラスティックなコスト削減案を矢継ぎ早に提示するのではないかと個人的に見ているのだが、どうなることやら。


アパレルというのは、商品力と販売力のほかに、経済学の観点がなければ成功しない。
この3つがそろって初めて万全の体制ができる。
しかし、筆者も含めてこの3つすべてを網羅できる人間が業界には少ない。

多くは商品を作ることと、売ること、この2つのどちらかに注力してしまう。
注力してしまうというより元からそのどちらかにしか興味がないという方が正しいだろうか。

だから販促のセミナーに参加した感想に「作り手目線も必要だと思う」なんてピントの外れたことを書き込むのである。

販促セミナーは、販売促進のためのセミナーである。
そこで「作り手目線」を強調したところで意味がなく、逆に、ちゃんと話を聞いていたのかと疑問に感じる。

作り手目線の感想は、製造セミナーでたっぷり述べるべきだろう。

そして経済に明るい人は逆に商品のことには疎い場合が多い。
3つともにそろった人はなかなかお目にかかれない。
そういう人が増えればアパレル業界は持ち直すのだろうなあと思うが、そんな優秀な人材がわざわざ疲弊しつくしたこの業界に入ってくるとは思えない。
入ってくるとしたらその人はよほど変わり者だろう。

まあ、そんなわけでアパレル業界は今後もなかなか浮上しないだろう。

近年のイトキンはその3つともができていなかったように感じる。
新体制となるイトキンはどのような施策を打ち出すのか注目したい。









イッツの解散、イトキンのブランド廃止

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 国内の倒産件数は低水準に推移しているが、アパレルの倒産件数は2年連続で増加している。
今年も新年早々に大手の解散、ブランド廃止が次々に発表されている。

イッツインターショナルが解散 事業はフランドルが吸収
https://www.wwdjapan.com/business/2016/01/27/00019432.html

 アパレルメーカー大手のフランドルは、SPA(製造小売り)ブランド「イッツインターナショナル」を展開する子会社イッツインターナショナル(以下、イッツ)を吸収合併する。1月26日付の官報で開示した。今後はフランドルの一事業として運営する。

イッツはフランドルを中心に住金物産(現日鉄住金物産)、帝人グループ、フェニックス・ホンコンの4社が出資して2009年に設立。後にクラボウが加わった。大手素材メーカーや商社が一致団結した"オールジャパン型SPA"として、高付加価値素材を使ったベーシックアイテムを手ごろな価格で提案することで、当時マーケットを席巻していたファストファッションとの差別化を目指した。


とある。

イッツは15年2月期に2億5000万円の純損失を計上したと報じられているが、開始から5年間ずっと赤字続きだったと聞いている。

立ち上げの2010年に旗艦店となる原宿店を開設したがこの店舗は早々に閉店している。
現在は21店舗残っているされているが、今後は店舗数が減ることはあっても増えることはないだろう。

「日本の物作り」に焦点を当てつつ、中間価格帯を打ち出したイッツの取り組みは個人的には注目していた。
しかし、何度か売り場を見た感想を言うなら、その「思い」とターゲット層がマッチしていなかったと感じた。

このブランドは明らかにレディースが主体。
アイテム数の比率からしても売り上げ構成比はレディースが7~8、メンズが2~3割というところだろうと推測できる。
もしかしたら9:1くらいの比率かもしれない。

「〇〇産地の〇〇織り」「〇〇にこだわった〇〇素材」

こんな風に各素材、産地を説明した大型のPOPも取り付けられており、説明しようとする意思は感じられた。
しかし、この販売方法で心に響くのは女性ではなく男性である。
女性向けブランドなのに販促手法は男性向けなのである。ここにミスマッチがあった。
また原宿店を旗艦店としたが、このブランドのターゲット層は明らかに30代以上の女性である。
商品テイストはコンサバトラッドだ。

原宿という土地は、30代以上のコンサバトラッドファッションを好む女性が多く立ち寄る場所だろうか?
明らかに違うだろう。

原宿でその狙いで成功しているブランドがあるだろうか。

明らかに、「思い」とターゲット層がずれている。
旗艦店を原宿という土地に出店したことも失敗を印象付ける補強材となったのではないか。
あまりにも安易に出店場所を決めすぎたのではないかと感じられる。

物作り系ブランドにありがちな失敗といえる。

それにしても日鉄住金は繊維事業を急速に縮小させている。
遊心クリエイションの会社清算に続いてイッツの解散である。
もともと金属商社だが、全般的に不振が続く繊維事業なんてやっていられないというところだろうか。
この判断は正しい。得意分野に集中した方が効率的といえる。
消費不振の続く繊維事業なんて日鉄住金に限らずどんどん切り捨てれば良いのである。

続いてはイトキンのブランド廃止である。


業績低迷「イトキン」複数ブランド終了へ シンシアローリーの婦人服ライセンス事業も撤退
http://www.fashionsnap.com/news/2016-01-28/itokin-brand/

 総合アパレル大手のイトキンが、春にかけて複数のブランドや事業を終了する。ウィメンズ向けの「シンシア ローリー(Cynthia Rowley)」と「グレイセラ(GRACERA)」は秋冬商品、男女複合の「ヒアーズ(HERE'S)」は2月発売の商品がラストコレクションで、各店舗は順次閉鎖される。

25~30歳がコアターゲットの「シンシア ローリー」は、婦人服ライセンス事業を1月末で終了。昨年11月末でオンラインストアは閉鎖されており、各都市の百貨店などに展開する22店舗も2月8日までにクローズする。

同じくウィメンズブランドの「グレイセラ」も2015年秋冬商品で販売を終える。同ブランドはシニア市場の開拓を狙い、イトキンのベテラン勢を集めて2014年8月に設立された会社イトキン メビウスの運営で昨年春にデビューしたばかりだが、わずか1年の展開となった。

イトキンの不振はウィメンズブランドだけではなく、複合業態も同様のようで、都市部や郊外の商業施設に展開するライフスタイルブランド「ヒアーズ」は4月上旬の終了を発表。今週25日に閉鎖したオンラインストアをはじめ、東急プラザ表参道原宿や大阪グランフロントなどに構える30以上の店舗を順次閉鎖している。


とある。

このほかにも先だって「クレージュ」ブランドの廃止も発表されており、イトキンはこれからブランドの廃止ラッシュになるだろう。
ブランドの廃止ラッシュくらいならまだマシだが、さらに衝撃的な発表が控えているという噂もある。

そういえば、ヒアーズだが、昨年からかなり大量にバッタ屋に商品が流れている。
天神橋筋商店街の各店舗でヒアーズの商品が500円とか300円で投げ売りされているのをよく見かけた。
相当在庫を抱えていたのだろうと推測していた。

ちなみにavvの商品もそこそこに見かける。
これも在庫を抱えているのだろう。

イトキンの直近の業績(2015年1月期)は、売上高が952億5,900万円、純益は前の期の40億円に続く赤字。

とあるが、2016年1月期の業績はさらに落ち込むと個人的には見ている。
最終的に創業家がどういう判断を下すのか注目したい。

2016年が明けて、まだ1か月である。

すでに年始早々にセレクトショップWOmBの経営破綻が伝えられた。

1か月の間に名の通ったアパレル3社が相次いでの経営破綻、解散、ブランド大量廃止の発表である。
今日から立春だがアパレル業界の春は当分訪れそうにない。

残り11カ月、どれほどのビッグニュース(悪い意味での)が発表されるのか、想像するのも恐ろしいくらいである。
今年、来年あたりでアパレル業界のガラガラポンが本当に起きるのではないだろうか。








大手総合アパレル各社の黄昏

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 普段フェイスブックで交流している人たちにはイトキン関係者が多いので彼らのことを考えるとちょっと胸が痛むのだが、それでもやっぱり紹介することにした。

ワールド、TSIの大量リストラが報じられているが、それ以外でもかつての百貨店向け大手総合アパレルは厳しい状況にある。
コムサ・デ・モードなどを展開しているファイブフォックスは同社の公式サイトによると、2013年8月期売上高は887億円にまで低下している。2008年8月期には1559億円の売上高だったからほぼ半減に近い。
さらにいうと、2014年度8月期は発表されていないが、この887億円よりも低下しているのではないかと業界では推測されており、2015年8月期でも回復しているとは考えにくい。

収益の悪化したオンワード樫山も業界からは百人単位のリストラがあるとのうわさが聴こえてくる。

6月末でバーバリーを失った三陽商会だが、撤退した7割の店舗を「マッキントッシュフィロソフィー」に置き換えることに成功した。
この同社のがんばりは賞賛に値するが、「他に置き換えられるブランドがなかった」とか「これまでの三陽との付き合い」とかそういう百貨店側の消極的な理由もあったと報道されており、「マッキントッシュフィロソフィー」が成功するかどうかは次年度以降の推移を見てからでないと評価できない。

バーバリーなき三陽商会が
売り場を7割守れた裏事情
http://diamond.jp/articles/-/75958


そしてこの記事は

同条件での取引を決めた百貨店の関係者も、「損してまでは付き合えない。半年か1年入れてみて駄目だったら場所の変更、売り場面積の縮小、歩率の引き上げといった交渉に入る」という。三陽商会は最悪、条件変更はおろか、マッキントッシュとしての売り場を失う恐れすらある。

(中略)

三陽商会の本当の戦いは、まさしくこれから始まる。


と結ばれている。

そういう中にあってほとんど報道されなかったのがイトキンである。
しかし、業界内からは相当に苦しいという噂が絶えなかった。

「社債償還」に苦しむ4期連続赤字の「イトキン」
http://facta.co.jp/article/201507002.html


ファクタのことだからかなり綿密に裏取りをしていると推測される。
記事内容にほぼ間違いはないだろう。

2015年1月期は2桁減収で56億円もの最終赤字となった。前期も40億円の赤字であり、実に4期連続の赤字である。商品力不足から在庫が膨らみ、セール時期の値引き幅が広がる傾向にある。業界ではかねて辻村章夫社長(59)ら経営陣の手腕を疑問視する声があったが、ここにきて経営不安説が囁かれ始めた。

メーンバンクの三菱東京UFJ銀行はすでに債務者区分を引き下げ、「事業戦略開発室」(通称ジセンカイ)に移管した模様。「ジセンカイ」とは同行の大口問題融資先の再生を手がける専門部署で、今後は銀行主導の再建策が練られる可能性が高い。

(中略)

「もっとも状況が厳しいのがイトキン」というのが業界の見方である。

8月末には3年前にみずほ銀行の保証付きで発行した23億円の社債償還が控える。リファイナンスに向け銀行の協力が不可欠だが「いまの業況では、はいそうですかと応じる銀行はないだろう」(取引行関係者)。

ちなみに同社の創業は1950年。ワンマンで知られた創業者の辻村金五氏は12年に死去。長男浩一氏(68)が会長、次男章夫氏が社長を務めるが、実質的に経営を取り仕切るのは昭和15年生まれの松本煕副社長ら先代の番頭たち。


とある。

正直に言って、今のイトキンにはヒットブランドが見当たらない。
財務などの評価はお詳しい方に任せるとして、展開ブランドを比べてみると、たとえばワールドやTSIは単体ならばそれなりに売れるだろうというネームバリューのあるブランドがいくつかある。
不採算ブランドを廃止して、好調ブランドだけに特化すれば売り上げ規模は小さくなっても企業自体の再生は可能だ。

となると、ヒットブランドを持たないイトキンはかなり厳しい状況にあるといえる。
安定的な顧客を持っているのは「ヒロコ・コシノ」くらいではないだろうか。
ただ、「ヒロコ・コシノ」は全社を救うほどの大ヒットブランドではないし、今後もなりえない。

90年代から2005年まで隆盛を謳歌してきたこれらの大手アパレルだが、今後、企業存続はできても短期間のうちに隆盛を取り戻すことはありえないと考えられる。
すでに絶対王者となったユニクロに対して、後追いをするという「逆ランチェスターの法則」を仕掛けるしか策を持てなくなっている。

もう一度まとめると、ランチェスターの法則によれば、

小規模な企業は、個性的な打ち出しで一点突破を図ることが最良の戦略だとされている。
一方、物量に優れる強者は物量を生かした後追いが最良の戦略だとされている。


しかし、この数年間、大手アパレル各社がやってきたことは、圧倒的物量を誇るユニクロを後追いするという最悪の選択に終始してきた。

「ユニクロが価格を下げたからうちも下げる」とか「ユニクロでバカ売れしたあの商品と同じ素材をくれ」とか。

これでは負け続けても当然である。

そして、今度は絶対王者ユニクロも国内市場では飽和点を迎えて今年6月から変調を来しつつある。
売上高がいきなり半減するようなことはないだろうが、国内の売上高はこれ以上は増やすことは難しい。
あとは海外でどう増やすか?新ブランドを立ち上げてファーストリテイリングとして国内売上高をどう増やすかという課題に取り組まねばならないだろう。

大手アパレル各社が凋落し、ユニクロも変調を来しつつある、そろそろ次の時代の覇者となる企業が登場するのだろうか。

次の時代の覇者となるのは必ず異業種出身の経営者が創設した企業か、異業種から参入した企業になるだろう。業界内の既存の人材、企業は最早そんな力を持っていない。









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