月別: 3月 2018 (1ページ / 3ページ)

ウィキペディアに「ジャヴァがファンドに売却される予定」て書かれているけど本当なのかな~?(後日追記あり)

少し前から伊藤忠商事が子会社のジャヴァホールディングスを売却するという噂がチラホラあった。

売却先は投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドだという。
製造業から飲食、アパレルまで手広く買っており、飲食だとピザハットを買収したし、アパレルだとパレモや花菱縫製を買収した。

現在のところまだ発表されておらず、譲渡は4月1日付だといわれている。
にもかかわらず、ウィキペディアのジャヴァグループのページにはすでに

その伊藤忠もついにJAVAグループを投資ファンドであるエンデバーユナイテッドに2018年に友好的M&Aされる(あるいは売渡し)予定である



https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャヴァグループ

 

と書かれてある。
これは本当なのかなー???(棒)

で、今回の売却の噂についてはさまざまな意見がある。
しかし、個人的に注目したのが、ジャヴァの某OBの声だ。

そのOBによると、

今回の売却は好影響を及ぼすと見ています。

という。

なぜなら、

3~4年前に50代以上の社員をリストラしましたが、実は不十分で、今でもジャヴァホールディングスの社員構成比率は50代以上が50%以上を占めています。これを大リストラするならジャヴァは好転するのではないかと思っています。

とのことだ。
さらに突っ込んで聞くと、

50代以上の給与が高止まりしているので、若手はその割を食ってこれまで昇給が非常に低かった。リストラが行われて若手が昇給するようになれば、若手の士気は高まるのではないでしょうか。

ということで、なるほどそういう効果は期待できそうだ。

しかし、ウィキペディアに書かれているだけで事実はどうなるのか、依然不明だ。(棒)

さて、仮にこれが事実だとして後日発表されたとすると、アパレル業界はまた大きな衝撃に見舞われるだろう。
アパレルの再編はまだまだ進む。

これに限らず、さまざまな買収、売却の噂が絶えない。
それも著名な会社ばかりだ。

先日、商業界に「アパレル業界でM&Aが加速するワケ」というようなタイトルの記事が掲載されたものの、まったく「ワケ」が書かれておらず、読後おもわず「なんじゃこりゃー」と叫んでしまったが、事実を羅列するだけでもM&Aの多さがわかる。

現在耳にしている噂だけを列挙すると、

・投資ファンドに買われた某社だが、早くもその投資ファンドが手放したがっている
・中国資本に買われた某社だが、中国資本も手放したがっている
・大手セレクトショップが身売りを検討している
・大手チェーン店が某社に身売りを持ちかけたが、あっけなく断られた

まあ、ざっとこんな感じで、それが事実になるのかどうかはわからないが、これほどまでに身売りを検討している大手があるということで、逆にファンドや異業種はアパレル業界に乗り込んだものの、思うような結果が出せずに早々に再売却を検討していることも珍しくないということだ。

一方で、ニトリやドン・キホーテのような異業種はアパレル業界に可能性を見出して進出を計画している。

ニトリのアパレル進出宣言は話題となったが、その後の具体的な進展をまったく聞かないので、ZOZOSUITと同じだろうかと思わずにはいられない。

ZOZOSUITとプライベートブランド「ZOZO」は期待感ばかりが先行して、実物はなんだか拍子抜けする程度のもので、この辺りが異業種のアパレル参入の限界なのかもしれないとも個人的には感じている。

それよりも国内アパレルが脅威に感じなくてはならないのは、ゾゾなんかよりもAmazonのプライベートブランドになるだろう。
このAmazonに関しても、先ごろ、米本社、東京、シンガポールの幹部が大阪市中央区・本町の会社を買収するために会議が開かれていたという噂があり、大阪市本町といえば繊維街だから、PBウェアのための下準備ではないかと推測してしまう。

先日、掲載された週間SPA!にアパレル業界は今後どのようになると思うか?
と尋ねられたので、「大手がますます巨大化して、さまざまなブランドや企業を傘下におさめると思う」と答えた。

大手は自前でブランドを開発する必要がなく、現在、身売りを考えている大手チェーンや大手セレクトを買収すれば簡単に新ブランドを獲得できる。
現に、某大手企業が先日、M&Aに関する説明会を開催し、顔見知りの新進ベンチャーブランドも話を聞きに行ったという。
その際、彼らは「うちはもう自前で新規ブランドを開発しない。今までから同じようなブランドばかり立ち上げてきたから。それよりもまったくテイストやジャンルの違うブランドや会社を買収する。貴社もその候補に入っています」と言われたとのことだ。

高度経済成長期やバブル期にはさまざまなアパレル企業がベンチャー的に立ち上がり、ビッグブランドに成長した。
その後の、90年代半ばの裏原宿ブームはその最期の名残ともいえる。しかし、結局、裏原宿ブランドはどれもビッグにならず、ベイシングエイプも香港企業に買収された。

バブル期や裏原宿ブーム期に一部の業界人が期待した「これからは大手ではなく小型の個性派ブランドがどんどん生まれて、ファッション業界は多様化する」というようなビジョンは、単なる美しい幻想に過ぎなかったということになる。
アパレル業界は今後さらに再編が進み、大手企業や投資ファンド、外資が次々に有名ブランドをM&Aしていくことになるだろう。

我が国も欧米のように、「ブランドを立ち上げて育てて大手資本に売ってそれが人生の上がり」というようなスタイルが定着していくことになるのではないかと思う。

と、このブログをアップした数時間後正式発表があった。

3月31日追記

伊藤忠が神戸の名門アパレル、ジャヴァHDを投資会社に売却
https://www.wwdjapan.com/593477

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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
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ポップアップストアのメリットとデメリットはここ

どんなものでもそうだが必ずメリットとデメリットがある。
ポップアップストア(期間限定出店)も同じだ。メリットとデメリットがある。

先日、岡山県津山市のネクタイ縫製工場が自社ネクタイブランド「笏の音」のポップアップストアを阪急メンズ館うめだで開催していたので、覗きに行ってきた。
フェイスブックでお友達になっていたので、一度お会いしようと思ったわけだ。
1万円のネクタイが1日に10本以上売れ続けたということで成功といえるだろう。

「笏の音」のネクタイ

ポップアップストアのメリットとしては、無名ブランドや知名度の低いブランドが有名な商業施設で開催することで、知名度を高められるという点がある。

そういう意味では広告宣伝費と等しい。
通常の広告宣伝費はカネを払いっぱなしだが、ポップアップストアの場合は、物が売れれば収入となる。
そのため通常の広告宣伝よりも費用的に美味しくなる可能性がある。

常設店を作れば、家賃や人件費が必要になるが、1週間とか2週間くらいのポップアップストアなら自社スタッフで何とか回せるため、人件費はそこまで増えない。また家賃も必要ない。

一方でデメリットもある。
ポップアップストアではそれほど大幅な利益を稼ぐことは難しい。
ポップアップストアは家賃が必要ない代わりに、必ず売上高の何%を施設側に徴収される。
百貨店の場合は通常だとだいたい30~40%を徴収される。

10万円売れたとしても3万~4万円は百貨店に取られる。

よほど、超人気ブランドで百貨店が頼み込んでポップアップを開催してもらった場合はこの%はもっと低くなるが、通常のブランドだとだいたいそれくらいである。
1日に10万売れて、それが7日間開催だったとすると、売上高は70万円になる。
このうち百貨店は21万~28万円をもっていくというわけで、出店者の手元には42万~49万円しか残らないということになる。

この49万円で売れた商品の仕入れ代や製造費、店頭で立ってくれたスタッフの人件費・交通費・宿泊費、あとはこまごまとした備品などを支払うから純粋な儲けはさらに減る。

だからポップアップストアで大幅な利益を稼ぐことは基本的には難しい。

この構造を理解した上でポップアップストア出店するならそれはそれで一つの販売戦略といえる。
笏の音の場合は、ブランドスタートから間もないため、広告宣伝活動の一環とすれば大いにポップアップストアのメリットは大いにある。

しかし、すでに知名度が高いブランドはポップアップストアを頻繁に開催するメリットは少ない。
まあ、年に1回か2回くらいやるのは気分転換にもなって良いが、年間何十回もやる意味は、収益面から考えるとほとんどない。

逆にそこまで頻繁にやるなら、通常のスタッフをローテーションで回すことは難しく、それ専用のスタッフを雇ったり、販売代行社と契約しなくてはならなくなり、さらに収益面は圧迫される。

なんでこんなことをクドクド書いているのかというと、先日読んだ記事に疑問を感じたからだ。

1万円でバカ売れ 神戸発バレエ靴の戦略
http://president.jp/articles/-/24758

神戸のクロシェという企業が発売しているファルファーレという1万円のバレエシューズが年間8万足も売れるという内容である。

3万円以上か4000円以下かの2極化しているバレエシューズ市場に1万円という中間価格帯で提案した結果、年間8万足を売るまでに成長した。

ファッション用品不況の現状では、参考になることの多い内容だが、個人的にはこのクロシェのやり方はオンリーワンの要素が強く、真似ても失敗する可能性が高いと見ている。
参考にするのは構わないが、真に受けて真似るとひどいことになるだろう。

まず、中間価格帯商品のあえての投入という部分だが、個人的には意味のあることだとは思うが、現実的には攻め方を間違えて苦戦している中間価格帯ブランドは山のようにある。
エドウインなんかもその一つといえる。

日本製で8000円くらいのジーンズは本来価値があると思うが、それが高い評価を受けているかというとそうでもない。

また

ファルファーレには常設店舗はない。そのかわりにファルファーレは、1週間単位でポップアップストアを全国の各所で次々に出店していく。その数は年間で100以上にのぼる。これで年間8万足という販売の根幹を確保する。

とあるが、年間の3分の1もポップアップストアを開催するには、それ相応の投資が必要となる。
まず人件費である。本社スタッフをローテーションで投入して賄うことは100回以上もやっていれば不可能だ。
ポップアップ専門スタッフを雇っているか、そういう派遣と契約しているかだろう。クロシェはこれで成功したとされているが、他社が真似ても確実に成果が出るとは限らない。
むしろ、上でも書いたように収益は低いから早々にポップアップ疲れを起こすだろう。
労多くして益少なしの事態に陥る。

その昔、付き合いのあった独立したばかりのデザイナーズバッグブランドがあった。
彼らはブランドスタート当初はポップアップストアを頻繁に開催していた(とはいえ年間100回もやっていない)が、3年目か5年目くらいからポップアップストアを大幅に減らした。
理由は収益が悪いからである。いくらシャカリキに開催したって大きな利益は確保できなかったからだ。

これが現実である。

これまでと違うやり方として参考にするのは良いが、クロシェをそのまま真似ることはかなり危険度が高いといえる。

あと、この記事の書き方には疑問がある。
クロシェを中堅企業としているが、年間14億円程度の売上高では中堅企業とは言わない。
最低でも20億~30億円は必要だろう。

また、見出しの「バカ売れ」も陳腐で逆にうさん臭さを煽っている。
この手の経済雑誌や経済紙の記事は「バカ売れ」という表現を多用する。
しかしその実態の多くは、数量が少なかったり、数量自体が明示されていなかったりする。
クロシェの8万足は売れているといえるが、バカ売れという見出しは本当にバカっぽくしか見えないので、媒体側はあまり使わない方が良いのではないかと思う。

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こんな感じの靴らしい。

WAONカードと提携するなら、Tポイントカードとの提携のままで良かったんじゃない?三越伊勢丹さん

物事は1年くらいではあまり変わらないから仕方がないとはいえ、三越伊勢丹HDの政変から1年が経過したが現段階では大した変化は何も見られない。

外野から見ていて一番ずっこけるのがTポイントカードとの提携解消で、後継としてWAONカードとの提携を打ち出したことだ。
はっきり言って何の意味もない交代としかいえない。

Tポイントカードとの提携に批判があったことは周知の事実だ。
三越伊勢丹のイメージに、Tポイントカードのイメージがそぐわないというものだ。
また自前のMIカードもあるのにどうして外部との提携が必要なのかという声もあった。

中には、三越伊勢丹の高級イメージに、低所得者層のTポイントカードはミスマッチだとの声もあった。
しかし、Tポイントカードのアクティブユーザー数は6500万人であり、日本の総人口のほぼ半分にあたるから、所有者が一概に低所得者層とは言えない。
むしろ、富裕層もアクティブユーザーに入っているだろう。

以前にも何度も書いたが、Tポイントカードの増田宗昭社長と大西洋・前社長の両方にインタビューした経験からいうと、6500万人という圧倒的数量のビッグデータを持って、需要予測をすることで、三越伊勢丹の品ぞろえや販売戦略に好影響をもたらすことが狙いだった。
当然、失敗する可能性もあるが、今のままで三越伊勢丹の経営環境が上向く要因はほとんど考えられないから、やってみる価値はあった。

大西洋・前社長の電撃解任に伴ってCCCとの提携解消が発表されたのは残念だが仕方がない。
粛清人事というのはどこの組織にもある。三越伊勢丹もその例に漏れないというだけのことである。
人間は感情で動く不合理・非効率な生き物だということだ。だから当方は人間があまり好きではない。

提携解消をして従来のMIカードに戻すのなら話はわかる。
まあ、往々にして他組織でもよくある話だ。

しかし、イオングループのWAONカードとの提携は解せない。
なら、Tポイントカードとの提携のままで良かったのではないかと思う。

Tポイントカードのイメージが悪いと言っていた人たち(外野の評論家含む)は、WAONカードのイメージは良いとでも思っているのだろうか。
十分にWAONカードのイメージも低いと思うが。

イメージなんて個人の主観でしかないから個人的な主観でいうと、TポイントカードよりWAONカードの方がずっとチープなイメージがある。
当方からすればこちらの方がよほどイメージダウンだと感じる。

この提携から当方が感じることは2つある。

1、大西洋・前社長への憎悪は強烈であること
2、いろいろカッコウを付けてはいるが、MIカードでは足りないからビッグデータが必要

この2点である。
なんやかんや言い訳はしているが、ビッグデータは欲しいというのが透けて見える。

大西・前社長が手掛けたTポイントは、とりあえず気に入らないから同じくらいの規模感のあるところを選んだらWAONだったというところが実情ではないかと見ている。

http://diamond.jp/articles/-/164634

ここでは

また大西時代に始まり、3月末で終わるTポイントカードから切り替わる提携先が、なんとイオンの電子マネー「WAONポイント」。三越や伊勢丹の店頭で、端末にWAONカードをかざした際に「ワオン!」の“鳴き声”が響き渡る光景はなかなかインパクトがありそうだが、百貨店のブランドイメージにそぐわないと従来指摘されてきたTポイントカードの後継がWAONカードとあって、社の内外で落胆を呼んでいる。

とある。
そりゃそうだ。(笑)
Tポイントカードの代わりがWAONカードならイメージの低さは同じかむしろ強まっている。イメージアップにはまったくならない。
感情論を抜きにしていえば提携先を変える必要はまったくなかった。
むしろ、新たな作業が発生する分だけコスト増になって単年度とはいえ、収益を削るだけである。

 

もっとも「イオンとの提携を進め、不採算の地方店舗をイオンに譲渡する深謀遠慮」(別の三越伊勢丹関係者)との見方もある。とはいえ、旧三越と旧伊勢丹の企画や管理畑が労働組合と組んで大西前社長を追い出し、ひたすら営業畑の幹部を冷遇することに血道を上げる現体制が、イオンを相手にそれだけの大立ち回りを演じられるかどうかは疑問である。

 

とも記事は結んでいるが、このイオンとの提携はどうだろうか?
むしろ今更大手量販店と提携するのは愚策でしかないのではないか。

イオン本体も決して順調とは言えない決算が続いているし、セブンアイの子会社になったそごう・西武の凋落ぶりを見れば、容易に描ける未来予想図ではないか。

ほら、思った通りにかなえられてる~♪

なんて歌える状況でもない。
深謀遠慮などはなく、辛抱と遠慮しかないのではないか。(笑)

逆にイオンとすれば、セブンアイにあって自社グループにない百貨店はぜひとも欲しいだろう。
百貨店の凋落は凄まじいが、まだ百貨店固定客はいる。
ビッグビジネスではなく、固定層に向けたスモールビジネスに徹するなら百貨店は有効に使える部分もある。
また意味がわからないけど百貨店というブランドイメージは高い。

格安で手に入るならイオンは間違いなく入手するだろう。
もしも、政変の行き着く先がイオン傘下になるのだったら、まったく意味のない騒動だったとしかいえない。

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たぶん沈んじゃうと思う。

業界人が思っているよりもマス層は洋服に対する知識がない

大学卒業後すぐにイズミヤの子会社の低価格チェーン店に入社した。
そこからずっと本職ではないが販売員を断続的にやっていて、いずれも低価格店ばかりである。
かっこいいセレクトショップとか有名なブランドショップ、外資系ラグジュアリーブランドでの販売をやったことがないが、低価格店で断続的に販売をやって理解したことは、マス層は洋服に対する知識がそれほどないということである。

逆に、ファッション業界の著名人とかブランド経営者、ファッションブロガーの指南や工夫がほとんど売上高に反映されないのは、彼らが洋服のマニアだからではないかと思う。

マニアだってかつては初心者だったから初心者の気持ちはわかるだろう。
しかし、無知層のことは理解できない。
現に当方だって理解できない。なんでこんな意味不明の質問をしてくるのかと頭の中が疑問符でいっぱいになる。

けれどもそういう低価格店に来る無知層が大衆でありマスなのだから、マスに売りたければそのお高くとまっているプライドをかなぐり捨てる必要があるだろう。
マニアの嗜好は封印して大衆に合わせなくては絶対に売れない。
マスに売りたくなければ今のままでいい。ただし「売上高が伸びない」と不満を言うなかれ。マニア市場で生きるというのはそういうことだ。

個人的にはジジババやオバハンは嫌いなのだが、低価格店ではそういう客層が多いから必然的に相手をすることになる。
もちろん、仕事だからつっけんどんには対応しない。泥酔していたらわからないが素面ならそれくらいの分別はある。

それでも店頭に立つたびに、仰天するような質問や買い物客に出くわすし、過去にも出くわしてきた。
いくつか挙げてみよう。

・ニイちゃん、私の着ている服は何サイズかな?

この衝撃の質問を投げかけてきたのは過去に一人や二人ではない。
幾人もいる。それも決まって50代のオバハンご婦人である。

以下の事例は全部オバハン年配のご婦人である。

初対面の客が何サイズを着ているのかなんてわかるわけがない。
身長や体格でおおよそ見当はつくが、MでもゆったりしてLLサイズくらいのデザインの商品もあれば、LサイズでもタイトでSサイズくらいの商品もある。

思わず、杉下右京っぽい口調で「はい⤴?」と返事をしてしまう。

この人たちは何十年間も(少なくとも成人してから30年は経過している)自分の服のサイズを知らずに服を買っていたということになる。お高くとまっておられるファッソン業界の皆様方には想像もできないだろう。
サイズを見ずに服を買うなんていうことがありえるのかと思うが、そういう大阪のオバハンは想像しているよりも多くいる。

仕方がないので、服の裾をめくって白いタグに書いてあるサイズを読み上げる。
それでこの珍妙な問答はお終いだ。あほらしいので長く続ける気もない。

・Mサイズって何サイズ?

これも大阪の(以下同文)からときどき発せられる謎の質問である。
同様に9号サイズって何サイズ?とかLサイズって何サイズ?というのもある。
例えば、Sサイズって一番小さいサイズですか?とかLLってかなり大きいサイズですか?という質問なら意味はわかる。
この人は単にS,M,Lのサイズ表記の意味が分からないのだということになる。

しかし、「Mサイズって何サイズ?」というのは根本的に何も理解していないということになり、「犬はどうしてワンと鳴くの?」というのに匹敵するような質問だ。
ヨーロッパやアメリカ表記の36とか48が何サイズなのかという質問なら理解できるが、これには答えようがない。

「普通サイズ?(震え声)」と返すのが精いっぱいである。

・昨日買った服返品できるかな?今日着てきてるんやけど

90年代半ばにまだ早朝にあんパンと牛乳を並んでる客に配布していたころのユニクロのテレビCMで大阪のオバハンがレジ前でそう言って服を脱ぎだすというのがあった。
いかにも大阪のオバハンの特徴を良く捕まえていると思って楽しんでいたが、大阪のオバハンからの抗議で短期間で終了してしまった。極めて正確な描写なのに残念である。

ああいうことをする人は実際にはいないと思っていたが、いた。

しかも阪急百貨店うめだ本店で。そこらの低価格店やバッタ屋ではない。
阪急百貨店うめだ本店である。大阪以外の地区では考えられないだろう。
百貨店でそういうことをする客がいるということを。

3年くらい前のことだ。
テキスタイル・マルシェで阪急百貨店うめだ本店の店頭に立っていたときのこと。
70代くらいの婆さんご婦人がやってきて、昨日買った服を返品したい。着ているのも1枚あってこれも返品したいと言い出した。
結局、阪急側が受けたので、その着ていた服も返品された。

百貨店でそういう客が来るというのは唖然とするとともにさすがは大阪だと思わざるを得ない。
自分が小売店を経営するなら絶対に大阪ではやりたくない。

・なぜかかなり小さい服を着たがる

これも多い。
人間は男女問わず加齢とともに背中や腹回りに肉が付く。
付いてない人もいるが、付いている人も多い。
また、単に筋力の低下によって肉が垂れてくるのだとも言われているが、別に原因はどっちでもいい。
若い頃よりも体格が大きくなる人が多いということを共有していただければそれでいい。

どう見ても3Lサイズくらいに育った70代のご婦人が何度もLサイズの洋服を買っていく。
まあ、返品されないのでそれで良いのだが、いくら試着をさせても丁寧にサイズを説明しても頑なにLサイズを買っていく。
着れない洋服を何枚も購入してあの人はどうしているのだろうかと不思議になる。

また別のケースでは、非常に身なりの整ったこれも70代くらいのご婦人がいたが、ちょっと体格は一回り若い頃より大きくなっておられた。
若い頃Mサイズで今はLサイズくらいに育っている感じである。

ある日、Mサイズのズボンを持って試着室に入られた。
ズボン1本なのになかなか出てこない。
試着室の前を通ると、小さい声で苦しんでいるようなうめき声が聞こえる。
「う~」みたいな感じだ。ちょうど「腹痛い、ううぅ~」みたいなのを想像してもらいたい。

やっと出てきたと思ったら、「いくら頑張っても前のファスナーが上がらなかった」とのことだったのだが、うめき声は渾身の力でファスナーを上げていた声だったというわけだ。

いや、ファスナーを上げるまでに小さいかどうかは普通はわかる。
しかもそんな渾身の力を込めてファスナーが上がったところで日常的に着用するのは不可能である。

二重の意味でこの人の判断基準がわからなかった。

まあ、ざっと思いつくままに上げたが、まだまだ仰天エピソードはある。

冒頭にも書いたように、これがマス層・大衆層なのである。
マスに売るということはこういう人たちに服を買ってもらう必要があるということである。

普段、

90年代のエートスをコンシャスなエクスペリエンスにインクルードする

なんて言っちゃってるファッソン業界人にこういう層の心理・購買行動は予想できないし、理解もできないだろう。
だから多くのアパレルブランドは売れないのである。
そういうコンシャスなエクスペリエンスをしたければ、マス層に売ろうとせずにお仲間であるマニア層に売ることだけを考えていればいい。

まあ、業界人が想像しているより大衆ははるかに洋服の知識がないということを飲み込まない限りは、マスに服を売ることは不可能である。

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腰ゴムなしのボクサーブリーフは画期的新商品

通常のファッション衣類よりもスポーツウェア、肌着、ワーキングユニフォームあたりは如実に進歩とかテクノロジーが感じられて一般人でもわかりやすい。

わかりやすいから当方は通常のファッション衣類よりもこのジャンルの話の方が好きだ。

通常のファッション衣類は曖昧模糊としたことが多すぎる。
おまけにそれを伝える言葉も意味不明なルー大柴みたいなのが多い。例えばこれだ。

今回の取り組みは、ファッションコンシャスな層のエモーションに訴求し、プレシャスなエクスペリエンスを提供するための取り組みと言えると思います。

ルー大柴の言葉をテープ起こししたのかと思うがどうやら違うようだ。

なぜ、感情という立派な日本語があるのにエモーションなんて使うのだろうか。
特徴的な体験と言えばわかりやすいのにプレシャスクスペリエンスと使う意味はなんなのだろうか。

ミーとトゥギャザーしようぜ!

というのとほとんど変わらない。
この手の人間で溢れかえっているからファッション衣類・カジュアル衣類はめんどくさくてアホらしい。

今秋冬物のメンズ肌着で注目を集めそうなのが、腰ゴムなしのボクサーブリーフである。
先日、カイタックファミリーの今秋冬向け展示会に出向いたところ、さっそく、腰ゴムなしのボクサーブリーフが展示されていた。

通常、ボクサーブリーフに限らず、男物のパンツは腰にゴムを入れることで位置を保持する。
ゴムがなければ簡単にズレ落ちる。

ボクサーブリーフは生地に伸縮性があるが、それとてもそれほど強力ではない。
ためしに通常のボクサーブリーフの腰ゴムの部分を切除してみればいい。
普通に穿ける代物ではなくなる。

しかし、腰ゴムにも欠点はあって、窮屈感があるだとか肌に型が残るだとかそういうところだ。
じゃあ、邪魔なら腰ゴムを廃止すれば良いかというとそうではない。そのほかの生地全体に保持力を持たせなくてはならないから、生地の開発が必要不可欠となる。

今回、腰ゴムなしのボクサーブリーフが完成したということは、そういう生地の開発に成功したということで、この技術の進歩はわかりやすい。
今まで一点で支えていた腰ゴムがなくなったということは、ブリーフ全体での保持力があるということになる。

念のために手持ちのボクサーブリーフの画像と見比べてほしい。
人様にお見せするのに、50歳手前のオッサンが穿き古したボクサーブリーフでは話にならないし、場合によっては公害にもなるから、以前に買って未使用のボクサーブリーフの画像を貼り付けてみる。

腰ゴムの部分がバッサリとなくなっていることがお分かりいただけるだろう。

で、たった一社の商品を見ただけで「大流行しそう」なんて言うのは冷静さに欠けるが、実はこれと同じ商品は他社からもちょうど今秋冬に向けて展示会に出品されていた。
大手肌着メーカーのG社だ。情報解禁が7月なので珍しく伏字にしておく。

カイタックファミリーもG社も販路は量販店なので、早くて7月末、遅くても9月ごろからは腰ゴムなしのボクサーブリーフが一斉に量販店の売り場を埋め尽くすことになる。

見た目は大きくは変わらないが、生地は違っていて、カイタックファミリーはナイロン・ポリウレタンの経編(たてあみ)生地を使用する。G社は丸編み生地を使用する。

恐らく、ユニクロも今秋物か来春以降に追随することになると考えられる。
カテゴリーはエアリズムになるだろう。エアリズムシームレスの新商品という形で追随するのではないかと思う。

丸編みのG社と経編のカイタックファミリー、どちらの商品がどう違うのか、1枚ずつ買って穿き比べて確かめたいと思う。
一応、念のために断っておくと、着用している画像を掲載する気はまったくない。
まあ、掲載されると思った人はいないと思うが。(笑)

それにしても実際の着用感はどうなのかと思う。
トランクスにしろブリーフにしろボクサーブリーフにしろ、今まで絶対に腰ゴムは存在した。
腰ゴムの締め付けはもう第二の皮膚というほどに馴染んでいる。これをなくすということはどういう着用感なのか想像は難しい。

「穿いていないようだ」という表現になるのかもしれないが、実際にフルチンでズボンを穿いたことがないからその感覚は想像しづらい。
そんな変態プレイはしたことがない。

当たり前に存在した腰ゴムをなくしたというところが、この商品は画期的だといえる。
それだけに、もし着用感が良ければ大ヒットするのではないかと思う。
カイタックファミリーもG社も量販店向けだから、価格もそれほど高くない。
1枚990円~1500円程度におさまるだろう。

3枚990円とか、4枚690円とかそういうボクサーブリーフから比べると高いが、驚くほど高額ではない。
普通に働いていれば1シーズンに2~3枚くらいは買える。

そういう「手ごろ価格」だから着用感次第では爆発的ヒットが望めるのではないかと思う。

上手くいけば3~4年間くらいの人気商品になる可能性もあるが、問題はそれを越えてしまったらどう売るのかということになる。
そのころにはもっと安い追随品も出てきているだろうし、カイタックファミリーやG社よりも宣伝巧者が人気を博するようになっているだろう。

薄生地保温肌着やノンワイヤーブラ、ステテコと同じような運命をたどることは間違いない。

各社は今、発売することに必死だろうが、一段落ついたらその後のこともぼんやりとでも考え始めた方が良いのではないか。
これまでのヒット商品と同じ道をたどることは目に見えている。値崩れや新規参入は防ぎようがないが、それを踏まえた上で自社の付加価値いかに高めて、いかに伝えるか、それを考えておかないと数年後にはまた今までと同じことを繰り返すだけになる。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
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キャラクター肌着・パジャマも強いのがカイタックファミリーの特徴

クイックレスポンスへののめり込みとPOSデータの妄信がブランド間の同質化を生んだ

最近は新しい商業施設の内見会にはあまり行かない。
一つは、内見会で見てもその施設が流行るかどうかはわからないからで、それなら、オープン後何か月か経過してから行った方が、流行っているかどうかがわかる。

もう一つの理由は、どの商業施設も同質化していてほとんど同じに見えるからだ。
洋服でいえば入店テナントはほとんど同じだし、各テナントとも店作りが類似していて同質化している。
また、最近では洋服不振だから、どの施設も一様に食品・飲食を強化していて、これもアホの一つ覚えでしかない。
アパレルは猫も杓子もEC・ネット通販、商業施設は猫も杓子も飲食・食品強化。
本当にメーカーも流通もアホじゃないかと思う。
たしかに食品は衣料品に比べて単価も安いし、消えモノだから売れる頻度が高い。
だからといって、一日に10食食べる人はいない。
どういう意味かお分かりだろうか。いくら調子が良くてもそこに集中すれば過剰供給になって値崩れしたり飽きられたりするということで、飲食・食品もそうなりつつあると個人的には見ている。

だからほとんど興味がわかないし、記事に書きたいともあまり思わない。

それはさておき、洋服ブランドの同質化が起きた最大の原因は、クイックレスポンス(QR)対応とPOSデータへの妄信である。
これは以前にも書いた。

今回はそのリライトみたいな感じで、再度まとめる。
しかし、同じことを書いていても仕方がないので、また違う文面にする。

このところ、なぜか親交が深まった河合拓さんのブログから引用する。

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12360938651.html

業界がQR一色に染まりました。この理論は、極めて明快、かつシンプルで非の打ち所がなかったために悲劇が生まれたのです。それは、日本固有のビジネスシステムと関係があるのですが、簡単に言えば「業界全体が同じ事をした」のです。特に日本は生産は大手商社が行っており、日本にある数万のアパレルが一斉に両手しかない大手商社にQRを依頼したのです。

とのことで、97年に業界紙記者になったときにはすでに業界はワールドが主導するQRが注目の的だった。
業界紙記者もアホの一つ覚えだから、記者会見に出たら必ず「御社のQR対応は?」とどのアパレルにも質問していた。
最近だと「御社のECは?」が定番の質問だろうか。(笑)

河合さんの指摘しているのは、多くのブランドが10社程度の大手商社にQR対応を依頼したため、どのブランドも出来上がってくる商品がほぼ同じになったということである。
なぜなら、作っているところが同じだから、各ブランドの商品は当然似てくる。

おまけにOEM/ODMの蔓延によって、商品デザインまでもを丸投げにしているのだからデザインすらも似てくる。
最近では中小零細のOEM/ODM企業もあるが、その企業とて最低でも10社・10ブランド程度の商品企画を請け負っている。
必然的にこの10ブランドのデザインは似通ってしまう。

そういうことだ。

河合さんは指摘しておられないが、90年代半ばに導入されたPOSレジがその同質化をさらに加速させた。
どの商品がどれだけ売れたかを記録してくれるPOSレジは非常に重宝で、そのデータをきちんと分析すれば、かなり有益である。
しかし、残念なことに多くのアパレル従業員(経営者も含めて)は分析が極めて下手だから、POSデータをそのまま考察せずに発注に結びつけてしまう。

通常、洋服の売れ筋というのはベーシックが上位を占める。
黒の無地のセーターだとか白いカットソーだとか黒いジャケットとかそれが上位を独占する。
当たり前の話で奇抜な色型・デザインの洋服を買う人はそんなにいない。

だから、そのデータを考察せずにそのまま企画に反映するとどうなるか。

黒の無地セーターとか白いカットソーとか黒いジャケットばかり出来上がることになる。
データ上はこれが正しいんだから仕方がない。(丹波哲郎かよ)

かくしてどのブランドも同質化してしまうことになるし、自ブランド内でも秋冬商品と春夏商品がほとんど変わらないということにもなる。

POSデータは正しいがそこをどう考察できるかが重要で、ベーシックアイテムが上位を占めるなら、本来ならそのベーシックアイテムを映えさせるためにどんなアクセントとなる色柄・デザインの商品が必要なのかを考えなくてはならない。

黒ジャケットと白カットソーを映えさせる色柄はなんだろう?デザインは何だろう?
それを考えて投入しないと単なる無印良品の類似店舗になってしまう。

そして、河合さんもご指摘のように、QRにのめり込み、POSを妄信した大手アパレルはワールドを筆頭にもれなく経営危機に陥っている。
これ以上わかりやすい結果があるだろうか。

ワールド、イトキン、ファイブフォックス、TSI(旧サンエーインターと東京スタイル)、三陽商会、フランドルがその結果を反映している。

以前にこれを違う文面で書いた際、ワールドの従業員から怒りの声が出たと、当時の労働組合執行委員から聞いた。
知らんがな。(笑)

経営陣が怒るなら理解するがなぜ従業員が怒るのかまったく理解できない。そんなすばらしいシステムならワールドの経営は今も隆々としていたのではないのか。

そんな考えの人間が集まっていたから経営が傾いたのではないのか。

かつての大手アパレル出身のコンサルタントは多々いるが、その当時のやり方をいまだに彼らから導入しようとしているアパレルやブランドが多数あることに驚いてしまう。
これほど結果がはっきりしているのにどうして今更それを求めるのか理解不能だ。
そういう業界だから凋落が止まらないのではないか。

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ネット嫌いの会社がなぜかAmazonに出品している(笑)

ZOZOはそれほど大衆に知られていないし支持もされていない

物事を考える場合いはミクロな視点とマクロな視点が必要になる。
ミクロとマクロが両輪で必要なのは何も経済学だけのことではない。

衣料品業界だってミクロとマクロがある。
業界人の多くが注目しているのはたいていがミクロな現象である場合が多い。

これが80年代とか90年代なら、それこそ、わけのわからん業界人が注目したといわれるちっぽけな裏原宿の店がブームになることも珍しくなかった。
当時はミクロな視点がマクロっぽい(完全なるマクロでもない)ブームを引き起こすこともあった。
しかし、2005年以降はそういうブームはほとんど起きなくなった。

あるとすれば、最初からマクロ狙いのヒートテックブームやウルトラライトダウンブームくらいだろうか。
夏場の男性の超短い靴下のフットカバーも着用人口が多いからマクロブームといえるが、これはアイテムがブームであって、特定のブランドがブームであるわけではない。

〇〇ブランドのフットカバーでなくてはダメ!

そんな買い方をする人はいない。ブランドがどこだろうが、脱げにくければそれで良いのである。
その観点からいけば、脱げにくく安いのはグンゼと無印良品が双璧といえる。
グンゼの自社ブランド、トゥシェやボディワイルドは2足で1000円未満だし、無印良品は3足990円だ。しかも無印良品のは日本製だ。
グンゼのは定価が990円くらいだが、値引きで2足500円台になることもある。

この2ブランドがあれば、ほかのフットカバーはカネがもったいなくてちょっと買えなくなる。

それは置いておいて、まあ、最近の衣料品業界の業界人が注目する事象は影響力がミクロにとどまることが多いと感じる。
このあたりも衣料品業界、ファッション業界の影響力が下がった、あるいは業界への注目度が低下していることの現れではないかとも思う。

さて、現在、業界は猫も杓子もアホの一つ覚えみたいに「ネット通販」「EC強化」である。
その成功事例として、業界人とメディア、スタートアップ界隈の騒ぎ屋どもが注目するのが、スタートトゥデイが展開するZOZOTOWNであり、それに付随した各種サービスだ。

しかし、その注目は所詮はミクロな現象でしかないと当方は感じている。
盛り上がっているのは業界人だけ、そんな印象でしかない。

以前にネット通販についてのアンケート調査をこのブログで紹介した。

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい
http://minamimitsuhiro.info/archives/2242.html

この中で、アンケート調査の結果を引用した。

 

その消費者アンケートによると、衣料品を購入した通販サイトの圧倒的1位(22%)はユニクロである。
二位が半分以下の9・9%でニッセン、三位が僅差の9・8%でセシールであり、業界人が大好きなZOZOTOWNは9・3%でベルメゾン(千趣会)と同率四位でしかない。

一般大衆にいかにZOZOTOWNの知名度が低いか、いかに支持されていないかがわかる。

ユニクロの半分以下というのが本当にその事実を示している。

そして、スタートアップ界隈の騒ぎ屋どもとイシキタカイ系が注目しているゾゾスーツだが、これも知名度は低い。
極めてミクロにしか注目されていないといえる。
それをまとめたアンケートがこちらだ。

「ZOZOスーツ」認知率33%、Instagramでファッション情報入手するのは22%
https://netshop.impress.co.jp/node/5253

ZOZOSUIT」を「利用したことがある」と答えた割合は1.6%。「利用したことはないが知っている」は16.4%、「名前は聞いたことがある」は15.2%だった。回答者全体から「知らない」(66.8%)の割合を除いた認知率は33.2%。

とのことで、67%の人間はゾゾスーツの存在すら知らないのである。
これがマクロの正しい反応である。業界人やスタートアップ界隈の騒ぎ屋どもがいかにニッチな嗜好なのかがよくわかるではないか。

しかもまだほとんどの人間の手元にしか届いていないはずのゾゾスーツを利用したことがあると答えている1・6%という数字は盛っているのではないかとさえ思う。
もし、盛っているとなると、ゾゾスーツの認知度はもう少し低くなる。まあ1%くらいの話だが。

実情は68%くらいの人間がその存在を知らないというところだろう。

この結果に立脚すると、最近、メディアやスタートアップ界隈の騒ぎ屋どもが煽っているように、「ゾゾがユニクロに取って代わる」なんていうことは短期的にはほとんど可能性はゼロといえる。

知名度も利用者数もユニクロの半分以下であり、これが現在のゾゾへの評価である。
そんな程度の存在が発売したPBごときでユニクロの牙城が崩されることは短期的にはない。
あったとしてもそれは10年後~20年後のことだろう。そのときまでゾゾが存在していればの話だが。

某ブランドのネット担当者が、「ゾゾのスタッフは本気でユニクロ追撃を狙ってますよ」と言っていたが、スタッフは白昼夢か幻覚でも見ているのだろう。

現時点においては、ゾゾはマス化しておらず、ニッチな存在であり、これがユニクロほどの存在になることはちょっと考えにくいと言わなくてはならない。
そのため当方はゾゾを極めて冷ややかにしか眺めていない。

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まだ読んでない人はこちらもどうぞ。ちきりんの推薦文は要らんけど。(笑)

1時間に1人しか使わない「接客不要バッグ」なんて要る?

人の噂も75日と昔から言うが、実際のところは75日も持たないことが多い。
トウキョウベースの缶ビール接客事件をいまだに覚えている人がいるのだろうか?
ジャパンイマジネーションの下請け工場の工賃が安くて叩かれたことをいまだに覚えている人がいるのだろうか?

これと同じネタで、アーバンリサーチの「接客不要バッグ」があった。
発表当初はそれなりに話題となったが75日くらいですっかり存在を忘れ去られてしまった。
少なくとも当方は年末ごろにはすっかりその存在を忘れていた。

発表後、2週間くらいしてから店舗に「接客不要バッグ」を見に行ったが、その時点でだれも手に持っている人はいなかったので、これはそのまま廃れると思った。

75日で記憶から消去するのもあれなので、記憶から掘り起こして先日店舗に見に行った。
まだ「接客不要バッグ」があるのかどうか。

見事にあったが、やはり誰も使っていない。

もちろん、24時間365日観測し続けるわけにはいかないから、使っている人はいるかもしれないが、これだけ使っている人を見ないということはいたとしてもごく少数だろうということが推測できる。

実際のところ、どの程度の利用者がいるのだろう?と思っていたら、先日、その答えが発表された。

https://www.fashionsnap.com/article/fashionworld-urbanresearch/

一部の店舗で昨年6月から限定的に導入しましたが、現在も1日10人ほどのお客様が利用しています。

とのことで、はっきり言って、

利用者すくねーー。

 

営業時間が午前11:00から午後8時までとして、9時間である。
午後9時までなら10時間。

1日に10人の利用客というと1時間に一人使う程度ということになる。
そんなバッグ要る?(笑)

さて、以前にも書いたがどうして「接客不要バッグ」が利用されないか、それを改めて考えてみよう。

まず、接客されたくないというのはどういうお客なのか。

1、赤の他人となるべく接触したくない
2、買う気がなくて見に来ているだけ
3、自分のペースで選びたい
4、聞きたいことがあればこちらから質問する

の4タイプくらいではないかと思う。

ちなみに当方は、「いらっしゃいませ」「こんにちは~」くらいは声掛けをしてほしいが、それ以外は別に声をかけてもらう必要はない。
なぜなら、仕事以外で赤の他人と話すのは嫌いだからだ。
あと、聞きたいことがあればこちらから質問をするし、セールストークを聞きたいとはまったく思わない。

こういう人は接客不要バッグを持つ理由はあると思うが、それでもわざわざそれを持って目立つことはしたくないと考えるのではないか。

最大の問題は2の「買う気がなくて見に来ているだけ」という人だ。
1、3、4の人よりは格段に多いのではないかと思う。

アーバンリサーチの顧客、固定客であっても来店のたびに買う人なんてどんなブルジョワジーかという話で、「次の給料日にはあれを買おう」とか「プレセールではあれを買おう」とか「バーゲンではあれを買おう」とかそういう下調べに来ることがほとんどではないかと思う。
また、ネット通販で買うにしても実物を見てからという人もいるだろう。

こういう人がまかり間違って、その場で購入してしまうことはあるかもしれないが、それは絶対的に少数で、その僥倖は期待できない。

今日は買う気がない人が、わざわざ店内で、「本来は買うための」バッグを持つという行動がまったく不合理なのである。
バッグは持ったものの、そこに商品を入れることはなく、結局はまた入り口で返却するわけだからアクションとしてはまったく無駄で、からのバッグをぶら下げたまま店内をうろつく姿は間抜けでしかない。

どうだろうか?買う気がないのにショッピングバッグをぶら下げている姿を想像してみたらひどく間抜けだとは思わないだろうか?

じゃあ、どういうふうにすれば、もう少し利用頻度が高まったのだろうか。
改めて考えてみる。

接客不要ということは、買う気がない場合が多いので、わざわざ買うためのバッグを持つというのは逆の行動になる。
とすると、買う気がある人に「接客してもらってもOK」という印としてバッグを持ってもらった方が、まだ利用頻度は上がったのではないだろうか。
なにせ、買う気があるのだから、多少のアドバイスは聞いてみたいだろう。

赤の他人と話すのが嫌いな当方だって買うときは多少のアドバイスは聞いてみたい。

もちろん、聞くに値しないアドバイスもあるが、有益なアドバイスが聞ける場合もある。

それと、接客不要バッグをわざわざ作らずとも、ユニクロや無印良品、GAPのように「いらっしゃいませ」「こんにちは」の掛け声だけであとは質問されるまで放置しておくスタイルが定着すれば、声掛けを恐れるお客も減るのではないかと思う。

販売員経験からいうと、声をかけた方が購入率は上がる。
とはいっても、無理やりに購入させたことはない。それでも「試着できますよ」とか「どうですか?」とか一声かけるだけで購入率が本当に上がる。

もちろん、中には強引な声掛けで無理やり買わせてしまう販売員もいる。
そういう販売員を作らなければ、買う気がないのに持ってもらうとう「接客不要バッグ」なんてものはそもそも必要なかったのではないかと思う。

どうだろうか。とりあえず、1時間に一人しか使わないバッグははっきり言って無用の長物ということだろう。

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既製服に「手縫い」「手作業」を求める百貨店部長の愚かしさ

洋服の価格下落を食い止める方策として、付加価値を高めるというやり方が注目されているが、難しいのは何をもって「高付加価値」をアピールするかである。
作り手側・売り手側の響くポイントと、消費者が響くポイントはあまり重なり合わない。
もう一ついうと、作り手側・売り手側の響くポイント、消費者が響くポイント、メディアが響くポイントと「事実」は往々にして異なる場合があり、当方はその場合、事実を絶対的に尊重すべきだと考えている。

最近、流行りの「高付加価値」化の一つとして、少量生産とか手作業というポイントがある。

まあ、これはこれで一つの価値だといえる。当方はほとんどそこには価値は見出さないが、それが価値だと感じる人がいることは否定しないし、それもまた価値だと思う。

その影響からか、過度に「手作業」を神聖視したり、過剰な演出を求めることが増えて、これは逆に事実を歪曲してしまい危険な行為だといえる。

先日、ある縫製業者が百貨店で自社ブランドのポップアップショップを開催した。
百貨店でもっともファッションが充実しているのは、単独店舗では伊勢丹新宿本店、次いで阪急百貨店うめだ本店だとされており、これに異論を唱える業界人はいないだろう。

余談だが、伊勢丹、阪急ともに本店のみが強く、他の地方店が弱いという構図はそっくりで、大量生産メーカーとして付き合うにはロットがまとまりにくいのでお勧めはできない。
日本全国に満遍なく大型店舗を所有していてロットがまとまるのは高島屋である。

まあ、それはおいておいて。

縫製業者は自社の工場風景を動画にして、店頭のディスプレイで流した。
ところが、そのフロアの部長がやってきて、「動画を作り直してほしい」と言い出した。

なぜか。

当たり前だが縫製工場は国内といえども大量生産が前提で、少人数でも5人~10人程度でミシンでの流れ作業が当たり前となっている。
中型、大型だとその人数がもっと増えるだけであり、構図は小型でも大型でも変わらない。
中国、アジアの大型工場はその規模が格段に大きいといえる。

当然、工場風景の動画ではミシンで縫製する姿が流されている。
それを流さなければ何を流すのかということになる。

部長はそれがダメだという。
そして、「手縫い」の風景を動画で流してほしいと言ったのである。

まったくアホかバカかアボカドバナナかと。

ファッションの百貨店のフロア部長がこの程度の認識なのである。
そりゃあ、ファッションも凋落するはずである。(笑)

手縫いの量産縫製工場なんてどこの世界にあるというのか。
くだらない社内政治ばかりしている暇があれば縫製工場の1つでも見学して実情を認識すべきである。

そして百貨店の店頭でこの「嘘の動画」を流すことで、消費者をミスリードし、それを拡大再生産してしまうという危険性がある。
そのことを理解しているのだろうか?多分理解していないだろう。だからそんなアホなことが言えるのである。

小規模工場とはいえ、月産何百枚程度は最低でもこなさなければ、経営者も従業員も生活ができない。
手縫いで月産何百枚がこなせると思っているのだろうか?

もしかしたら、件の部長は「演出として」と言いたいのかもしれないが、それは演出ではなく完全なるフィクションである。
じゃあ、動画に「この動画はフィクションです」っていうテロップでも入れるべきだ。

しれっとノンフィクションみたいな顔して流してるんじゃねえよ!

衣料品業界、繊維の製造加工にはこの手の「過剰演出」「嘘の神話」がまかり通っていて、それが消費者間で拡大再生産されてしまっている。

例えば、オーガニックコットンだ。
このブログにも以前に書いたことがあるが、オーガニックコットンとは有機栽培された綿花である。
土壌汚染とか栽培している作業員の健康を守るとか、そういうことを主眼に置いた社会運動である。

はっきり言えば、オーガニックコットンには、肌に優しい成分は何一つ含まれていないし、通常の綿花と手触りが異なることもない。
科学的にはこれらは何一つとして証明されていない。
それが事実である。

稀に肌荒れに効いたとかアトピーが軽減されたという人がいるが、それはほかの要因で効いたと考えられる。
製品のペーハーが通常の製品とは異なっていたのかもしれないし、プラシーボ効果が発揮されたのかもしれない。

にもかかわらず、製造している人間がその「効果」を吹聴している場合も多いし、その製品を扱っている業者がその効果を吹聴していることも決して珍しくない。
かくして、科学的に何の証明もされていないオーガニックコットンが、肌荒れの救世主みたいにあがめる信者が誕生してしまう。
鰯の頭も信心から、とはよく言ったものだ。
まさに鰯の頭である。

オーガニックコットンも信心から、だ。

話を手縫いに戻すと、当方は手縫いの何が良いのかさっぱりわからない。
手縫いステッチを施しましたという商品もいくつか持っているが、微妙に歪んでいるため、ミシンのまっすぐなステッチの方が1億倍くらい好きだ。
これを重宝がる人の気持ちはまったく理解できない。

そして、こういう「手作業信仰」は既製服にとって何の益もない。
既製服は大量生産・大量販売を前提とした工程・機械で成り立っており、手作業の工芸品とはまったく別物だ。
この2つを混同することは、既製服にとっては有害でしかない。

手塗の漆器やら、一枚の銅板を職人が槌で叩いて鍋を作るのとは違う。
既製服は生地も付属も染色加工も縫製も大量生産の流れ作業である。

その仕組み、機械なくしては現在の既製服は生産できないし、イシキタカイ系の好きなブランドだって商品(作品ではない)を生産することはできなくなる。

そういうミスリードを増幅させ、誤った手作業信仰を百貨店のフロア部長という要職にある者が助長するのは、まったくアホの所業でしかない。
猛省を願いたい。

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技術書だけど、これでも読んでみたら?

老年向けカジュアル・ファッション衣料の市場規模は期待されるほど拡大しないのではないか

我が国は年々、老人人口が増える高齢化社会となっている。
このため、何年も前からその人口の市場規模が拡大すると考えられてきたが、こと洋服に関してはその予想は当てはまらないのではないかと思う。

これまで、老年層の衣料品需要が伸びないのは、「欲しいと思うような服がないからだ」とされてきたが果たしてそうだろうか。
異なる理由があるのではないかと思う。

今回は身の回り調査のみでの推測論となるが、議論のネタにしていただければ幸いである。

当方自身が最早50歳手前の初老となっているので、親戚や周りで当方より年上の人はみんな老人である。
個人差はあるのだが、彼らが口々にいうのは「だんだんと物欲が薄れてきた」ということである。
これが60歳くらいから薄れる人もいるし、75歳を越えてから薄れる人もいる。この辺りには個人差がある。
しかし、例外なく加齢とともに物欲は薄れるようだ。

当方自身に照らし合わせても、今と25歳ごろを比べると、今の方が物欲が薄れている。物欲だけではなく睡眠欲以外のすべての欲は薄れつつある。睡眠欲は旺盛だ。時間とカネが許せば何時間でも眠っていたい。

となると、年配の人々が口をそろえるように、もっと加齢すればもっと物欲は薄れるのではないかと感じる。

先日、あるシルバーレディース向けニットブランドの社長と話す機会があった。
2000年頃に立ち上げたブランドで、当時のターゲット層は60歳だったが、顧客はそのまま加齢して今では70代後半から80歳くらいになっているという。

このブランドはちょっと変わっていて、もともとは大手アパレルの下請け工場だったが、自立化を目的としてこのブランドを立ち上げた。
その一方で大手アパレルの下請け生産も継続している。自社ブランドの卸売りと、大手アパレルの下請け生産がこの会社の両輪という構造である。

生産を請け負う大手アパレル各社のブランドもやはり同様にシルバーレディース向けだそうだ。

最近の商況を伺うと苦戦傾向にあるという。

まず、大手アパレルの下請け生産だが、こちらが大幅に落ち込んでいるらしい。
理由は、大手アパレル各社の卸売りがさっぱり受注量がまとまらないからだ。

この層だけではなく、テイストとターゲットに関係なく、卸売り型アパレルはほぼ全社、売り上げ枚数が激減している。
理由は、専門店・百貨店の発注枚数が激減しているからだ。

ある商品が1型で3色展開し、3サイズあったとしよう。
ワンピースが紺、グレー、赤の3色でそれぞれSMLの3サイズがあったとする。
全部1枚ずつ小売店が発注すれば9枚の発注がある。

紺のSML各1枚ずつ、グレーのサイズ各1枚ずつ、赤各サイズ1枚ずつ、だから全部で9枚となる。

しかし、店頭の売れ行き不振、店舗の販売力低減によって売れ行きが鈍っているため、各店ともに発注量を極小化しているのが現状である。
紺のMサイズ1枚、グレーのMサイズ1枚、赤のMサイズ1枚の合計3枚発注という具合だ。

もっとひどい場合なら、紺のMサイズ1枚だけ、とか、グレーのMサイズ1枚だけというのも珍しくない。

その結果、店側からの発注枚数の総合計が恐ろしく激減してしまうというわけだ。

だから大手アパレル側も売上高を減らし、その生産を請け負う工場も売上高が減るという構図になり、今回話を伺った工場では年間5000万円分くらいの請負生産額が減少しているという。
年間5000万円も売上高が減少すれば国内工場としては死活問題だ。

それを自社ブランドの売上高で補填しているが、そちらも伸びなくなっている。

理由は、同じく専門店からの受注量が激減していることと、もう一つの理由は顧客層が80歳前になってきて、物欲が薄れて服を買わなくなっているからだ。

身の周りで見ていても60代までは結構洋服を買う人も、70歳とか75歳を越えるとあまり買わなくなる。
80歳にもなるともっと買わなくなる。彼らに尋ねてみると「欲しいとは思わなくなる」と口をそろえる。
服だけでなく、食べ物に関してもそうだ。高くて珍しい食べ物や高くておいしい食べ物を食べたいとはそんなに思わなくなるらしい。

当方は元々食べ物に関してほとんど興味がないからその気持ちはよくわかる。
別にスーパー万代の半額に値引きされた弁当(198円)を毎食食べたってなんら苦痛ではない。
毎日昼飯が松屋の牛めし(290円で味噌汁が付いていてお得)でもまったく苦痛ではない。

それ故、この工場としては新販路向けの新商材開発や新たな売り方を、生き残るために模索したいとのことだが、現状のままで何ら手を打たないとたしかに早晩倒れてしまうのは間違いない。

このような例と身の周りの話を合わせて考えると、今後、老人人口はさらに増えるが、市場規模はそれほど大きくならないのではないかと思う。特に衣料品や食品は。
もちろん、介護用品やらそういう物の市場規模は増えるだろう。必要不可欠だからだ。

しかし、衣料品、とくにカジュアル、ファッション衣料はいくらその世代の人口が増えようと、それほど市場規模は拡大しないと考えた方が企業戦略を誤らないだろう。
特に75歳以上のターゲット層、80歳以上の層の需要は人口の増加に比してほとんど増えないだろう。

かつて10年くらい前、団塊世代のリタイアに向けて、団塊世代向けファッションブランドを強化するというアパレルが何社もあったが、結局どこも成功していない。

ポイント(現アダストリア)はアンダーカレントという団塊向けブランドを開始したが、見込みがなくて早々に廃止している。

その原因については、「その層が欲しがるような商品が提案できていないからだ」とされることが多いが、最近、それは違うのではないかと思い始めている。団塊世代といえども、現在はそこまでカジュアルやファッション衣料には興味がないのではないかと思う。
少なくとも30代、40代の頃よりもそういう物への欲求が薄れているのではないかと思う。

団塊世代よりも上の層はさらにそういう物への欲求が薄れているだろう。

こう考えると、老年向けカジュアル・ファッション衣料というのは今後も大きく需要は伸びないのではないかと思う。
当方だって後20年もすれば70歳手前だが、その時まで生きていられたとして、カジュアル・ファッション衣料への物欲があるかと問われれば疑問だ。もう今でもそういうものがだいぶと薄れている。

さらにいえば、75歳になったとして、あと何年生きていられるかわからないと思えば、高額な衣料品をわざわざ買おうとは思わない。
5年で使い捨てて惜しくない程度の低価格品で十分だと考えるだろうと思う。

そうではないという老年層もおられるとは思うが、それは少数派だと考えられるため、もし、老年向けブランドを強化しようと考えるアパレル企業があるなら、その売り上げ目標は低めに設定しておくのが賢明だろう。

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