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南充浩 オフィシャルブログ

1時間に1人しか使わない「接客不要バッグ」なんて要る?

2018年3月20日 考察 0

人の噂も75日と昔から言うが、実際のところは75日も持たないことが多い。
トウキョウベースの缶ビール接客事件をいまだに覚えている人がいるのだろうか?
ジャパンイマジネーションの下請け工場の工賃が安くて叩かれたことをいまだに覚えている人がいるのだろうか?
これと同じネタで、アーバンリサーチの「接客不要バッグ」があった。
発表当初はそれなりに話題となったが75日くらいですっかり存在を忘れ去られてしまった。
少なくとも当方は年末ごろにはすっかりその存在を忘れていた。
発表後、2週間くらいしてから店舗に「接客不要バッグ」を見に行ったが、その時点でだれも手に持っている人はいなかったので、これはそのまま廃れると思った。
75日で記憶から消去するのもあれなので、記憶から掘り起こして先日店舗に見に行った。
まだ「接客不要バッグ」があるのかどうか。
見事にあったが、やはり誰も使っていない。
もちろん、24時間365日観測し続けるわけにはいかないから、使っている人はいるかもしれないが、これだけ使っている人を見ないということはいたとしてもごく少数だろうということが推測できる。
実際のところ、どの程度の利用者がいるのだろう?と思っていたら、先日、その答えが発表された。
https://www.fashionsnap.com/article/fashionworld-urbanresearch/

一部の店舗で昨年6月から限定的に導入しましたが、現在も1日10人ほどのお客様が利用しています。

とのことで、はっきり言って、

利用者すくねーー。

 
営業時間が午前11:00から午後8時までとして、9時間である。
午後9時までなら10時間。
1日に10人の利用客というと1時間に一人使う程度ということになる。
そんなバッグ要る?(笑)
さて、以前にも書いたがどうして「接客不要バッグ」が利用されないか、それを改めて考えてみよう。
まず、接客されたくないというのはどういうお客なのか。
1、赤の他人となるべく接触したくない
2、買う気がなくて見に来ているだけ
3、自分のペースで選びたい
4、聞きたいことがあればこちらから質問する
の4タイプくらいではないかと思う。
ちなみに当方は、「いらっしゃいませ」「こんにちは~」くらいは声掛けをしてほしいが、それ以外は別に声をかけてもらう必要はない。
なぜなら、仕事以外で赤の他人と話すのは嫌いだからだ。
あと、聞きたいことがあればこちらから質問をするし、セールストークを聞きたいとはまったく思わない。
こういう人は接客不要バッグを持つ理由はあると思うが、それでもわざわざそれを持って目立つことはしたくないと考えるのではないか。
最大の問題は2の「買う気がなくて見に来ているだけ」という人だ。
1、3、4の人よりは格段に多いのではないかと思う。
アーバンリサーチの顧客、固定客であっても来店のたびに買う人なんてどんなブルジョワジーかという話で、「次の給料日にはあれを買おう」とか「プレセールではあれを買おう」とか「バーゲンではあれを買おう」とかそういう下調べに来ることがほとんどではないかと思う。
また、ネット通販で買うにしても実物を見てからという人もいるだろう。
こういう人がまかり間違って、その場で購入してしまうことはあるかもしれないが、それは絶対的に少数で、その僥倖は期待できない。
今日は買う気がない人が、わざわざ店内で、「本来は買うための」バッグを持つという行動がまったく不合理なのである。
バッグは持ったものの、そこに商品を入れることはなく、結局はまた入り口で返却するわけだからアクションとしてはまったく無駄で、からのバッグをぶら下げたまま店内をうろつく姿は間抜けでしかない。
どうだろうか?買う気がないのにショッピングバッグをぶら下げている姿を想像してみたらひどく間抜けだとは思わないだろうか?
じゃあ、どういうふうにすれば、もう少し利用頻度が高まったのだろうか。
改めて考えてみる。
接客不要ということは、買う気がない場合が多いので、わざわざ買うためのバッグを持つというのは逆の行動になる。
とすると、買う気がある人に「接客してもらってもOK」という印としてバッグを持ってもらった方が、まだ利用頻度は上がったのではないだろうか。
なにせ、買う気があるのだから、多少のアドバイスは聞いてみたいだろう。
赤の他人と話すのが嫌いな当方だって買うときは多少のアドバイスは聞いてみたい。
もちろん、聞くに値しないアドバイスもあるが、有益なアドバイスが聞ける場合もある。
それと、接客不要バッグをわざわざ作らずとも、ユニクロや無印良品、GAPのように「いらっしゃいませ」「こんにちは」の掛け声だけであとは質問されるまで放置しておくスタイルが定着すれば、声掛けを恐れるお客も減るのではないかと思う。
販売員経験からいうと、声をかけた方が購入率は上がる。
とはいっても、無理やりに購入させたことはない。それでも「試着できますよ」とか「どうですか?」とか一声かけるだけで購入率が本当に上がる。
もちろん、中には強引な声掛けで無理やり買わせてしまう販売員もいる。
そういう販売員を作らなければ、買う気がないのに持ってもらうとう「接客不要バッグ」なんてものはそもそも必要なかったのではないかと思う。
どうだろうか。とりあえず、1時間に一人しか使わないバッグははっきり言って無用の長物ということだろう。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
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