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南充浩 オフィシャルブログ

何年間同じことを言っているのか

2014年3月31日 未分類 0

 先日、ジーンズメイトの2014年2月期決算の下方修正が発表された。

売上高は当初の102億5000万円から、99億2400万円に、
営業損失は当初の4億円から、6億8200万円に
経常損失は当初の3億7000万円から、6億3000万円に
当期損失は当初の5億3000万円から、7億5600万円に

となった。

商売は予定通りに行かないことの方が多いから、こういうことは仕方のない側面がある。

ただ、疑問なのが会社側が発表した下方修正の理由である。
以下に引用する。

売上高につきましては、下半期に入ってから天候の影響などによる冬物商品群の立ち上がりの遅れが大きく響き、既存店前年比が93%(計画は同96%)にとどまったため、全体として9,924 百万円になる見通しとなりました。

とある。

天候の影響って一体何年間言い続けているのか。
ちなみに3月24日に発表された3月度月次売上速報でも不振の理由がこう説明されている。

気温の影響などもあり春物商品全般の立ち上がりが遅れました。

とのことである。

売れるか売れないかはすべて天候任せだということだろうか?
別にジーンズメイトだけを責めているわけではないが、自社の不振の理由を「天候」「気温」「気候」を理由にしているアパレル企業が他にも多くある。

衣料品の最大の役割は暑さ・寒さから人間の身を守るためである。
とくに肌着やパジャマ、靴下、防寒着などという実用衣料の売れ行きは気温によって大きく左右される。
一方、カジュアルウェアやファッションウェアは気温に左右される割合がそれらよりは少ない。
もちろん多少は左右される。

しかし、気候が不順だというのはもう数年前から言われている。
実際にこの数年間は夏は35度を越える猛暑だし、その割には冬の寒さは厳しい。
人間が快適に感じる温度は18度前後だといわれているが、そういう快適な気温の日数はあまりない。
春と秋は短くなっており、一年のほとんどが夏と冬という気候になっている。

1ヶ月単位で見るなら、暑くなり始める時期・寒くなり始める時期の早い遅いはあるが、年間を通じて見るならだいたい毎年似たような平均気温で推移している。

この気候変化のサイクルが昨年始まったばかりというなら話はわかる。
けれどももう何年間もこのサイクルが続いている。下手をしたらこの10年間はほぼこの気候変動である。
で、毎年「天候の影響で不振でした」というのはどういうことなのか。

じゃあ、商品の投入時期をずらすとか、より気温に応じた商品を仕入れる工夫だとか、気温に適した機能商品の開発を行うとか、そういう天候対策を何故取らないのか。
今年もおそらく似たような気候のサイクルになるだろう。それでも来年の3月にも同じように「天候の影響で云々」と説明するつもりだろうか。

オチマーケティングオフィスの生地雅之さんは常々「不振の原因を景気、天気、人気のせいにするな」と唱えておられた。本来、衣料品の売れ行きはこの3つに大きく左右される。
だが、その3つが悪くても売れる工夫をするのが本来のアパレルブランドと小売店の仕事ではないのか。

効果がはっきりしない割に価格の高い広告を出稿することよりも、気候対策の方がよほど安上がりに実行できると思うのだが。

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