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南充浩 オフィシャルブログ

旧態依然とした百貨店

2013年6月17日 未分類 0

 繊維・ファッション関係の情報サイトとして、ここ数年ですっかりメジャーになったものがいくつかある。
イベントを行ったり、新ブランドを開始したりする場合にはこの手のサイトにニュースリリースを送付すれば、掲載してもらえる場合がある。

多くの場合はニュースリリースをほぼ、そのまま掲載したり、一部を手直ししたりして掲載されるが、掲載された場合の効果は大きい。
繊維・ファッション業界の情報に興味のある人は定期的にそれらのサイトをチェックしているし、ツイッターやフェイスブックなどのSNSでさらに拡散される。
その拡散による波及効果は、新聞や雑誌などの紙媒体よりも大きいのではないだろうか。
とくに繊維・ファッション業界の業界紙やファッション雑誌に掲載されるよりも。

先日、ある業者がある大手百貨店に期間限定で出店するに際して、新聞・雑誌類のほかにインターネット媒体にもニュースリリースを送付した。
これは筆者でもやることなので通常多くの業者が使っている手段だろう。
ただ、百貨店でのイベント類を行う場合は、百貨店側にも発信前にリリース内容を確認しておいてもらう必要がある。
内容を百貨店側が承知していないと大変なことになるし、文章の文言が百貨店側からすると受け入れることができない場合もある。
そういうトラブルを回避するためにも百貨店側には事前に一度文面をチェックしてもらうに越したことはない。

この業者は口約束ではリリース発信を確認していたが、最終文面の確認には行き違いがあった。
そのためちょっと面倒なことになったようなのだが、その際、百貨店広報は「リリースそのものを全文掲載するようなインターネット媒体など認めていない。当社ではリリースというのは新聞・雑誌に送付して、記者に来店取材を促すためのメッセージだと認識している」と言い放ったという。
交渉の行き違いからの売り言葉に買い言葉という側面もあろうが、この発言には意外に百貨店の本音が含まれているような気がしてならない。

百貨店広報がいまだにその認識だとすると、ちょっと時代の流れから取り残されすぎではないだろうか。
広報がインターネット媒体の波及効果を認識していないというのは驚くほかない。
だからあの大手百貨店はイマイチ情報発信が下手なのだろうか。

そういう認識だからショッピングセンターやアウトレットモール、ファッションビルの後塵を拝する今の状態に陥っているのではないのだろうか。

昨年の春、高島屋の鈴木弘治社長が「(百貨店の市場は)今後5年間で1兆円減り、2016年には5兆2000億円まで縮む」と語ったことが話題となった。
なぜなら、量販店大手のイオンは計画通りに推移すれば2014年2月期には売上高が6兆円となり、百貨店全社の売上高がイオン1社に届かないことになるからである。

百貨店が小売業の王様だった時代はとっくに終わっていることはこの数字を見ても明らかだ。

それほどの衰退産業であるにもかかわらず、何故それほど呑気に構えていられるのかが不思議でならない。
しかし、先ほどの広報の言葉が本音だとすると、そういう気構えだからこそ現在の衰退があるのだろう。

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