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南充浩 オフィシャルブログ

「本来のファッションの楽しみ方」はゲーム内にある?

2019年3月28日 トレンド 0

当方はテレビゲームをあまりしない。
もちろん学生時代にはやっていたが、もともと反射神経があまり良くないので、シューティングゲームや対戦型格闘ゲームなどは苦手だった。
だから反射神経があまり要らないドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのロールプレイングゲームばかりやっていた。
もともとテレビゲーム自体それほど好きではないので、大学生くらいになるとドラゴンクエストとファイナルファンタジーしかやっていなかった。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーだと、お金を貯めて高い防具や武具を買うと、それだけ防御力や攻撃力がアップする。
これ以降のゲームだとすべてにこの方式が使われていて、それに慣れ親しんだオジサンたる当方は、今でもすべてのゲームはその方式だと思っていた。
高い装備を買うと攻撃力や防御力が必ずアップすることが常識だと思っていた。
 
先日、カイタックファミリーの展示会にお邪魔した。
カイタックファミリーは昔からアニメやゲームのキャラクターをプリントした服を手掛けてきた。
今回もなにか有名なゲームとのライセンスを結んだとのことだが、そこで聞いた話にちょっとびっくりしてしまった。
テレビゲームはインターネット登場後にソーシャルゲームとなった。
 
で、最近の人気ゲームは高い服が売れるが、なんとその服を買っても防御力も攻撃力もまったく上がらないそうだ。
単にプレイヤーは自己満足や他プレイヤーからの称賛のためだけに、高い服を買っているらしい。
 
ドラゴンクエスト世代のオジサンとしては、その消費行動が理解不能で驚愕してしまった。
https://style-it.jp/2019/03/27/1497/
 
引用しようとしてURLを貼り付けたら、まさかの全文表示。ちょっとおかしいやろ。このクソ仕様。
 
ここに一例が書かれているのだが、

若者中心に人気のゲームである【荒野行動】がアプリ内課金で数百億円の売上を叩き出したとお話されていました。ゲームとファッションの何が関係あるのか?と思われるかもしれませんが、その売上の多くはアプリ内で購入できる「服」(実際には服のデータ)な訳です。
 
『荒野行動』の累計売上は3億7000万USドル(約416億円)に 日本が74%の2億7400万ドル(約308億円)を占める
 
数ヶ月前の記事になりますが、累計416億円のうち、日本で何と300億円以上も売上げています。

 
とのことで、中国企業が開発し、今パクリ疑惑が指摘されている「荒野行動」というゲームだが、服の課金だけで300億円も日本で売れているという。
フォートナイトという世界的に人気のゲームがあるが、これの服の売上高も何百億円規模になっており、驚くことに、ここで高い服を買っても攻撃力も防御力もさっぱり上がらない。単にそれは自己満足と他者へ見せるためだけだというから驚いてしまう。
 
しかし、この消費行動は、本来の「ファッション」のものではないかと思う。
 
60年代・70年代・80年代・90年代くらいまでは「不便だけどカッコいいから着る」みたいなファッションがあった。女性が真冬で寒いのに生足に意味のないこだわりをしていたり、男性が秋口に暑苦しいのにセーターを着ていたり、そんな着こなしや消費行動があった。
今は、気温や状況に応じた服を着たり買ったりするようになった。この一つが「体感気温」での購買・着用ということになるだろう。
 
今年の3月は、異常なほど暖かかった昨年3月と比べて気温が低い。今月末にもまた寒波が来るという予報もある。
今月の街行く人々の服装を見ていると、寒い日があれば、3月下旬にもかかわらずダウンジャケットを着ているし、暑いくらいに気温が上昇すればまだ3月下旬なのに半袖Tシャツ1枚になる。
売れ方を見ていてもそうだ。肌寒い日だと、冬物の在庫処分のコートがいまだに売れる。
昔のように、「もう3月だからダウンジャケットを着るのはおかしい」とか「3月だからコートを買うのはやめよう」なんていう感覚はまったくない。
機能や効能ありきでの着用・購買行動になっているといえる。
 
一方、ゲーム内では防御力・攻撃力の上昇なんていう機能・効能は無視した着用・購買行動となっている。
 
ゲーム内というバーチャルな世界の方が、本来のファッション行動が生きているというのがなんとも面白い。これにはさまざまな理由が考えられると思う。
1つには、ゲームやアニメ、漫画の方がメインカルチャーになってしまっているという背景があるだろうと思う。
ほかには、実生活でのファッションよりもゲーム内でのファッションの方が称賛を集めやすいのではないかとも思う。
そして、何より、実生活では寒い・痛い・暑い・苦しいなどの感覚があるから、機能・効能を無視した我慢大会のようなファッションは長く続けられないし、これほど機能服に囲まれて暮らしてきたのに、それを捨てて今からわざわざ苦痛を味わいたいと思うマゾヒストはそんなにいない。
しかし、ゲーム内ならそういう寒いとか暑いとかいう感覚はゼロだ。どんなに機能・効能を無視した服でも「かっこいい」という思いだけで着用させることができる。
 
これらの要素が相まって、そういう消費行動となっているのではないかと思う。
 
さらにいえば、前回のブログともちょっとリンクするが、ゲーム内での衣服はいくらたくさん買っても保管場所に困ることはない。ゲーム内で保管場所に困ることはあるかもしれないが、現実世界での保管場所に困ることはない。ゲーム内で服をたくさん買ったから、自分の部屋のタンスが満杯になるなんてことは絶対にない。そういう保管・メンテナンスの心配がまったく要らないから思い切って服が買えるという理由もあるのではないかと思う。
 
いずれにせよ、「安くても服が売れない」という現実世界と、機能が上がるわけでもないし現実世界で着用できるわけでもないのに何百億円も服が売れるというゲーム内。
 
アパレル企業はこれにどう対処するのか。ゲーム内需要まで獲得しに行くのかどうか。そのあたりは経営者の判断次第だろうが、決して馬鹿にはできない規模の「ファッション」需要があることは間違いない。
 
 
 
 
そんなフォートナイトをどうぞ~

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