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南充浩 オフィシャルブログ

洋服が売れない理由は、みんながすでに服をたくさん持っているからでは?

2019年3月27日 お買い得品 0

先日、久しぶりにライトオンに立ち寄ったら990円コーナーがあった。
いつぞや見たような色柄のTシャツ類が並べられていた。
その中から、綿100%薄手裏毛のピンク色のプルオーバーパーカを掘り出した。
「レインスプーナー」というブランドのライセンス生産品である。1枚しか残っていなかった。来月49歳になるオッサンがピンク色のパーカを着用して大丈夫だろうかと、随分と長い間逡巡していたが、安さに負けて買ってしまった。

背中にはこんなプリントがw


 
 
定価5990円が990円まで値下がりした。消費税を含めて1069円だが、150ポイントほどたまっていたので全部使って900円ちょっとで買えた。
それにしても、ライトオンは昨年の夏物の半袖Tシャツの在庫をたくさん抱えている。990円コーナーの半分近くは昨年夏に見たことのある色柄のTシャツだった。
 
昨年末に発表された2019年8月期第1四半期決算では
売上高 170億6200万円
営業損失 7億8300万円
経常損失 7億1400万円
当期損失 7億200万円
と赤字に終わっている。
昨年夏物の処分値下げを行っている状況を見ると、もうすぐ発表されるであろう、第2四半期決算もあまり良くないのではないだろうか。
それにしてもライトオンはユニクロとは違って、こういう「このブランドがこんなに値下げされている!!」という商品を発掘する楽しみがある。
ユニクロやジーユーの値下げ品はそれほどバラエティには富んでいないし、値下げパターンもだいたい読める。
そういう部分がライトオンに限らず、仕入れ比率がある程度高い専門店チェーンの魅力ではないかと思っている。
 
今回は別にライトオンをディスるのが趣旨ではない。
興味に任せて、毎月最低でも2~3枚ずつ値下げされた服を買っているが、正直なところそろそろ保管場所に困るようになってきた。
何年かに一度、皮脂で汚れた服(オッサンの脂分の分泌は男子高校生より多い。50歳までオッサンの脂分の分泌量は増え続ける)や穴の開いた服、別に傷んではないけど、長いこと着用しなくなった服などをある程度捨てるようにしているが追いつかない。
それでも好みの値下げ品を見つけると買ってしまうのだからカッコヨク言えば職業病、ありていにいえば、単なる変な趣味である。
そういう自分の近況を鑑みると、高度成長期やバブル期ほど衣料品が売れなくなったのは当然ではないかと思う。
可処分所得ガーとか、利益の再配分ガーとか、GDPの成長率ガーとか、様々な要因はあるだろうが、そんなことよりも70年代・80年代に比べて、今の消費者は手持ちの洋服が圧倒的に増えている。
値下げ品を上手く目利きして買えば毎月1万円くらいで3枚くらいは服が買える。1万円の支出が難しくても5000円で1・5枚くらいは買える。
しかしそれでも買わないという人が多いのは、所得ガーもさることながら、みんな何枚もすでに洋服を持ってしまっているからではないかと思う。
 
災害に合ったとか、不慮の事故が起きたとか、そういう人を除いて、
 

来週着る服がない!!

 
なんていう人はちょっといないのではないかと思う。
 
毎月2枚ずつ買っても服は年間で24枚増える。1年で4シーズンあるから単純に割ると、1シーズンで6枚増えることになる。
1シーズンの長さは3カ月だから、3カ月間で6枚手持ちの洋服が増えると、これまでの所有していた洋服と合わせて考えると、6枚のうち、3カ月間で1度くらいしか着用しない服も出てくる。
そう考えると、普通の人は、むやみやたらに服を買わなくなって当たり前ではないか。
 
百貨店もアパレルブランドも大型スーパーマーケットもネット通販も躍起になって服を売ろうとしているが、いくらがんばったところで服を買う量は2倍には増えない。
それこそもう一度敗戦でもして全国が焼け野原になれば話は別だろうが。
 
それにしても保管に困った服を見ていて、「消えモノ」である食品や化粧品、サプリメントなどは強いなと感じる。
いくら気に入っていても使えば確実になくなってしまうから保管には困らない。
むしろ気に入って使えば使うほど消える速度は早くなる。
 
そう考えると、今、百貨店で洋服よりも化粧品や食品の方が売れているのは当然だと思うし、売れているそれらのフロアを広げて、売れてない洋服売り場を縮小するのも当然ではないかと思う。
また、中国人需要が多いとはいえ、それらをメイン商材として扱っているドラッグストアの売り上げ規模が拡大するのも当たり前ではないかと思う。
 
ジジイになってきたからなのか、死期が近いのかww、最近は昔のことをよく思い出すようになってきた。
20代のころは夢中になって服を買っていて、それこそ、毎シーズンで20枚以上は買っていた。全部バーゲン品だったが。
じゃあ、どうしてあの頃はそんなにたくさんの量を買っていたのかと改めて考え直してみると、大学卒業するまでほとんど服を持っていなかったからだと思い至った。
そういえば、母親が買ってきたジャスコとイズミヤの安い服を数枚のローテーションで着まわしていた。
だから、夏冬のバーゲンで10枚上ずつ服を買っても保管場所には困らなかった。しかし、それから20年以上経つと服がたまってしまって、保管場所や管理に困るから買うペースが鈍ってきた。
日本で服が売れないのはそんな理由もあるのではないかと思う。
経済成長したアジア諸国で服の消費が旺盛なのは、それまでの手持ちの服が少なかったからということもあるのではないか。そこを無視して羨んでいてもまったく意味はない。
 
それにしても溜まった服がそろそろ邪魔になってきたわ。どうしようかな。(笑)
 
 
 
そんなわけでライセンス生産ではないレインスプーナーのアロハシャツをどうぞ~

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