各社の不良在庫を格安で引き取ってきて、安く売る店を俗に「バッタ屋」と呼ぶ。
丁寧にいえば在庫処分屋といえるが、業界ではバッタ屋と呼ばれる。

子供のころから周りでは、ブランドのコピー商品などを「バッタもん(物)」と呼んでいたが、バッタ屋と語源は同じあろうと考えられる。

ところでここでいうバッタとはなんだろう?
昆虫だろうか?

バッタ屋の語源についてググってみると、日本俗語辞書には

バッタ屋とは古道具商の間で「投げ売り」を意味する隠語『ばった』をする店、つまり商品を格安で販売する店のことを意味する。後にバッタ屋は倒産寸前の店舗から商品を買い叩き、安値で販売するなど、正規ルート以外で商品を仕入れ、安売りする店のことを指しても使われるようになる。

http://zokugo-dict.com/26ha/battaya.htm

とある。

このほかにもいくつかの語源が考えられており、昆虫のバッタのようにあちこち移動するからではないかとも考えられているようだが、古道具商の隠語の方が適切なのではないかと個人的には思う。

最近、小島健輔さんがブログで何度かバッタ屋を採り上げておられ、洋服不振で在庫が増えているであろうアパレル各社やSPA各社はバッタ屋を活用してはどうかという提言されている。

面白い構想だし、バッタ屋をいくつか組織化できれば大いにチャンスもあると思うし、廃棄量も減らせるだろう。

しかし、難点が多々あって、実現するには相当に苦労することになる。

まず、バッタ屋を運営する社長やオーナーの多くはアパレル業界出身者ではなく、店作りからファッション感度から何から何までアパレル業界関係者とは見方や考え方が異なる。
正規のアパレル業界関係者の発想とは相いれない部分が多い。

また、ウェブに対する取り組みがほとんど皆無で、ウェブによる恩恵や効力をまるっきり信じていない。
ウェブに対して積極的にシステマティックに取り組んでいるのは、年商10億円を越えた大阪のショーイチくらいだろう。
バッタ屋のほとんどは公式ウェブサイトすら持っておらず、連絡手段は電話かファックスかEメール(携帯電話の)くらいしかない。

正規のアパレル業界も大概がアナログだが、バッタ屋はそれを何倍にも強めたアナログ感である。

あと、全国にどれくらいのバッタ屋が存在するのかもわからない。
正規のアパレル業界のように組合や業界団体はない。
まったくのゲリラで、ふと思いついたド素人が明日から開業することも珍しくない。(成功するかどうかは別)

このような状況なので、正規のアパレル業界関係者やIT業界関係者が彼らをまとめ上げて組織化するのは難度が高く、よほどの手腕と僥倖がなければ成功は難しいと考えられる。

大阪でいうと、バッタ屋が集積しているのは、天神橋筋商店街だろう。
また、本町と心斎橋の間の地域にもバッタ屋は多く集積している。

千林商店街にも多くあると聞く。

じゃあ、実際のバッタ屋というのはどんな感じなのかというと、こんな感じだ。

洒落たPOPなんて存在せず、すべての店が手書きPOPで対応している。
いわゆる、「オシャレな手書きPOP」ではなく、原始的な手書きPOPである。

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商品に関していえば、激安品が多いことは言うまでもないが、先日、自分市場最安値の商品を発見した。
59円で販売されているスカートである。

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靴が1000円なんていうのは当たり前で、500円でもそれほどは驚かない。

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取り扱い商品は各店で見ていると様々で、けっこう有名なブランドの不良在庫品もある。
あと最近不振を極める大手通販各社の不良在庫は各店で出回っている。

また、アパレル各社のサンプル品もある。

洋服の価格はだいたい300~1000円くらいで、2000円を越える商品はほとんどなく、あってもそれはスーツやフォーマル、コート、テイラードジャケット類くらいである。

種々雑多に仕入れられているが、(段ボール箱何箱で何万円という仕入れ方だから)よく探せばたまに掘り出し物が見つかるのがバッタ屋の楽しさでもある。

しかし、最近は、正規店の最終処分値もバッタ屋には負けていないことが増えた。

例えばユニクロとジーユーである。
ともに最終値下げ価格が390円~790円になる。

今年の2月にはジーユーで390円に値下がりしたニットキャップを買ったし、昨年夏は790円に値下がりしたスリッポンを買った。

ユニクロでも今年の2月に790円まで値下がりしたスタンドカラー無地ネルシャツを買ったし、今日から4月27日まで590円に期間限定値下がりする7分袖Tシャツを買おうかどうしようか迷っているところだ。

また、大手総合スーパー(GMS)でも投げ売り品に出くわす。
個人的に愛用するのは西友だが、昨年、4枚1000円のボクサーブリーフを買ったし、先日、10足1000円の靴下も買った。

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このように正規店でも不良在庫の投げ売りは珍しくなくなっており、わざわざバッタ屋に出向かずとも選び方さえ間違えなければかなりの商品を最安値で買うことが可能である。

とくに凄まじいなと感じるのが、ユニクロUの値下げで、今春に発売されたスーピマコットンクルーネックセーターが990円にまで値下がりしている。
ユニクロ×ルメールの時からそうだが、クリストフ・ルメールという有名デザイナーが手掛けた商品が最終的には790円とか990円にまで値下げされるのだから、「名前だけで売ってる」既存のアパレルブランドはたまったものではないだろうと感じる。(自分は最安値のユニクロUを集中的に買うが)

対して「ユニクロガー」と文句を言っていても何も変わらない。
それとは異なる価値観を確立させ、広く伝えることができなければ既存のアパレルブランドは、ユニクロ、ジーユーはおろか、バッタ屋にさえ客を削り取られることになる。
もしかして、難度の高い「バッタ屋の組織化」にチャレンジして成功する者が今後登場するかもしれない。
後の世代には想像を絶するような異才、天才が出現する可能性がある。

まさに「後生畏るべし」である。