年末年始にかけて繊研プラスで、国内縫製工場の置かれている現状と今後の展望が連載された。
紙面では昨年11月に掲載されたものを改めてネットに掲載したもので、内容は秀逸である。
縫製工場の現状と問題点、今後の展望が余すところなくまとめられており、単なるノスタルジー丸出しの擁護論や採算性度外視の花畑理論とはまったくの別物である。

興味のある方はぜひ、全文をお読みいただきたい。

叫び―国内縫製業の現場から①採算割れ  「手遅れと言われても続ける」工賃は20年前と同じ
http://www.senken.co.jp/news/supply/domestic-garment-industry-1/

叫び―国内縫製業の現場から②低工賃・小ロット
http://www.senken.co.jp/news/supply/domestic-garment-industry-2/

叫び―国内縫製業の現場から③技能実習生
http://www.senken.co.jp/news/supply/domestic-garment-industry-3/

叫び―国内縫製業の現場から④自助努力 「工賃上げて」だけでは駄目 努力不足への反省
http://www.senken.co.jp/news/supply/domestic-garment-industry-4/

叫び―国内縫製業の現場から⑤展望
http://www.senken.co.jp/news/supply/domestic-garment-industry-5/

である。

①では国内縫製工場の低工賃、不採算性、後継者難の問題点が書かれており、②では、より踏み込んだ形で、アパレル各社からの低工賃・小ロットの現状が浮き彫りにされている。

とくに②では

「デザイナーブランドからレザーコートの注文がきたが、枚数はたった8枚」と、ため息が漏れる日々が続く。

という描写があり、これがリアルな現実である。
筆者が知っている某デザイナーズブランドは知名度はそれなりに高いが、1型あたりの生産枚数が20枚程度という少なさで、工賃はアップチャージで値上がりせざるを得ないのだが、それに対して値引きしてくるという状況であり、デザイナーズブランドなんてかっこつけているが、この程度のが多いのが業界の現実である。

また、

問題は、生産管理をせず、本当に仕事を〝振るだけ〟の振り屋の存在。何もしなくても、当然マージンが発生する分、工賃が低くなる。ある縫製工場では「中間業者が6社入っていたこともある」と苦笑いする。「振り屋を排除して欲しい」と怒る声も聞こえてくる。

という部分もあるが、これもリアルな状況である。
これを鑑みて、「振り屋排除論」を唱える人もいるが、振り屋を完全排除すると、元来が営業力が弱い縫製工場はますます新規の仕事が来なくなり弱る。
振り屋が存在するのは、存在理由があるからで、存在自体が悪なのではない。

問題は振り屋の存在ではなく、その使い方が悪いことである。

中間業者が6社も入るなんてことは、業界ではざらにあり、それはとりもなおさず、ブランド側やアパレル企業側の振り屋やブローカーの使い方が下手くそだということである。

OEM、ODMでも同じで、「OEM屋から頼まれたODM」とか、「ODM屋から依頼されたOEM」だとか、そんなわけのわからない形態での商品の企画製造なんていうのは掃いて捨てるほどある。
振り屋もOEMもODMも存在自体が悪なのではない。ここを履き違えるとかつての「問屋不要論」のようなミスリードを引き起こすことになる。

③は外国人実習生に支えられている現状である。
縫製だけでなく、染色や織布工場にも外国人実習生は多数存在する。
それなしでは国内の繊維の製造加工場は立ち行かない。

外国人実習生への待遇の悪さがしばしば取り上げられ、これが大きな問題であることは間違いないが、逆に実習生の方も必ずしも優秀ではない場合も多い。また不法就労が目的での来日もある。

外国人実習生を法定以上の処遇している縫製工場によると、実習生は3年で入れ替わるので、前の実習生とは関係が良好でも、メンバーが変わると同じ待遇でも関係が悪化することもあるという。

外国人実習生は必ずしも善良な弱者ばかりではないということで、そのあたりの扱いの難しさがある。
善良な弱者ばかりではないというのは難民や留学生にもいえることである。

④はこれまで下請けに甘んじてきた反省であり、時すでに遅しという印象しかないが、反省しないまま死に絶えるよりはマシである。

結局のところ、生き残るためには自立化するほかなく、その自立化を怠ってきたツケを今支払わされているというのが現状といえる。
これは何も縫製工場だけのことではなく、織布、染色加工すべてに共通している。

いまだに自社ホームページも作っていない状況では如何ともしがたい。
それほどに下請け根性が染みついている業者が多い。

⑤は生き残りに成功しつつある縫製工場の取り組みの紹介で、同じことを各社がやっても成功する保証はないが、参考にすべき事例だといえる。

個人的には、生き残りたければ、自立化するほかなく、それは国や行政の規制や保護待ちでは不十分だということであり、現在の全社をそのまま生き延びさせることは不可能だと思う。

自立化に成功した企業だけが少数生き残るというのが、国内の繊維の製造加工業の最も明るい未来図ではないかと見ている。