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南充浩 オフィシャルブログ

専門学校の淘汰はさらに進む

2014年10月14日 未分類 0

 以前、何度かファッション専門学校のことを書いたが、このブログも非常に現状を的確にとらえている。
気になる方は全文を読んでいただくとして、要点を抜粋してご紹介したい。

専門学校が”つぶれない”理由
http://www.apalog.com/lemonade/archive/22

①助成金がある
学校法人は文部科学省から設備投資などの助成金が下りる。申請しなければならないものがほとんどだが、場合によっては数億という助成金もある。

②税金が免除される
これが最も大きい理由だろうか。学校法人は無税なのである。以下のように、学校法人は株式会社立の民間スクールに通常課せられる納税が免除されるのだ。企業法人は通常25・5%支払っているのに対して学校法人は原則ゼロ。これは大きい。

※文部科学省HPより
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/003.htm

とある。

そういう背景があるので、1学年10人前後というような専門学校でも閉鎖せずに継続することができる。
とはいえ、この何年間かでファッション専門学校の閉鎖も増えている。ある程度の余力を残して閉鎖というのは非常にまれである。
大阪ファッションデザイン専門学校も閉鎖を決めたと聞いた。
同校のホームページはもう無くなっている。ここはある程度の余力は残していたはずだが、ファッション専門学校という業態の将来性に経営者が見切りをつけたと考えられる。

この考察では民間スクール(株式会社が運営する学校)に一縷の望みを託されているようだが、ことファッション業界に関して言えば、その民間スクールも縮小に次ぐ縮小を繰り返している。

過去の事例でいうと、バンタンデザイン研究所は一時期急速に全国へ学校を広げていたが、北海道は早い時期に撤退しており、名古屋・福岡も3年ほど前に撤退した。

全国的に見るとやはり縮小傾向にあると言わざるを得ないだろう。

エスモードジャポンも株式会社によるファッション専門学校だが、ここも入学者数は減少傾向にあると耳にしている。大阪校校舎売却の噂も絶えない。
外野から眺めた印象でいうなら、苦戦傾向にあると感じられる。贔屓目に見ても拡張傾向にあるとは絶対に言えない。

まあ、学校法人を含めた大阪のファッション専門学校で入学者数が伸びている学校などないのだが。

東京の専門学校はどうだろうか。大阪よりはマシとはいえ似たり寄ったりの状況なのではないか?
何せ、ファッション専門学校生は現在全国で12000人ほど(某ファッション専門学校理事長の言による)しかいないのだから、相当に希少種といえる。

ファッション専門学校のカリキュラムやシラバスが現状の業界から乖離しているという点について、

ただ、学校法人にも不利な部分はある。文部科学省管轄なので、カリキュラムを容易に変えることができないのだ。よく批判の対象になる「服飾専門学校の業界ニーズとのずれ」もここに起因することが大きい。変化の激しい業界に合わせて柔軟に授業を変えることができないのだ。文科省に対して、大量の報告書を書かないといけないのもネックなのだろう。

加えて、民間スクールのように教員を簡単に入れ替えることができないという事情もある。

とあるが、これは原則的にはそうなのかもしれないが、大阪の中小専門学校だと「〇〇先生が退職することになったから代わりに××さんが」という感じで、教員が入れ替わるなんていうことは珍しいことではない。
教員が入れ替わると、カリキュラムの大枠は変わらないながらも細かな内容は当然変わるので、実質的には学習内容がある程度は変化する。学習内容はそこまで不動のものではない。
現場で微修正は可能である。

さらに言うと、学校法人である限りは学校以外の収益ビジネスに手を出すことは禁じられている。
所有物件を貸すこともダメである。それは不動産業となり、税収の対象となる。
入学者数が減少することは収入減に即つながり、それを挽回する機会は年に1度しか訪れない。
次年度の入学者数を増やすこと以外に収入増の手段は実質的にない。

学校法人のファッション専門学校の厳しさは知られているが、大阪で見ている限りにおいては、株式会社運営の民間ファッションスクールも同様に厳しい。

デザイナー、パタンナー職に就こうと考えるなら学校法人なり株式会社なりのファッション専門学校を卒業することはほぼ必須条件だが、それだけではファッション専門学校への入学者数が増える要因にはならない。

淘汰がさらに進んでどこか1校か2校が、あまり多くはない残存者メリットを享受するという構図にならざるを得ない。

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