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南充浩 オフィシャルブログ

メルカリのブランドランキングに見るファッション需要の低下

2023年7月5日 トレンド 1

個人的には古着を買うことが嫌いである。古着というのはどうにも生理的に嫌悪感がある。それと「中古でもいいから服が欲しい」と思ったことがない。

逆に自分が要らなくなった服を売ろうという考えもない。

ネット通販で買ってみたがサイズがちょっと小さいとかそんな物は試着するにとどめて知り合いにあげることにしている。

実際、2010年以降に買った服はほとんどが低価格品ばかりなので、売ったところで二束三文にしかならない。そんなことのために手間暇をかけたいとも思わないので、酷く傷んできたり、虫食いで穴が開いた服は不燃物ゴミとして出している。

 

なので、スタート当初からヤフオクにもメルカリにも興味が無い。今も無い。売買することに興味が無い。

多分今後、死ぬまでヤフオクもメルカリも利用することはないだろう。

 

2010年代初頭に「高いブランド物を買ってもヤフオクやメルカリでそこそこの値段で売れるからリセール価値がある」と説明されたことを今でも覚えている。

知り合いの社長はブランドスニーカーを多数お持ちだったが、ヤフオクやメルカリでリセールするとそこそこの高値で売れるからありがたいと言っていたのを覚えている。

しかし、個人的にはリセールを前提にブランド品を買うのもなんだかめんどくさいと感じたので全く心には響かなかった。

 

そこから数年後、2010年代半ば以降のことだと記憶しているがハッキリとした年は覚えていない。

また別の製造関係の社長が「今の高校生は気に入ったデザインや色柄があるなら、ユニクロの商品を店頭値下げ価格よりも高い値段で平気でメルカリで買う。現に、うちの高校生の息子がそうだ」とおっしゃったことがあって驚いた。

 

わざわざ、ユニクロの値下げ品を店頭価格よりも高く買う人がいるとはできるだけ最低価格で買いたい当方には想像もできない消費行動だった。

その数カ月後、たまたま思い出して、店頭で最終値下げになったのに買いそびれたユニクロ商品をメルカリで検索してみた。そうすると、店頭値下げよりも高い値段で出品されていたので、社長のおっしゃったことは本当だったと痛感したわけである。

この時期くらいから、メルカリでユニクロ品が多く売買されていると耳にするようになった。

 

そして繊研新聞のこの記事である。

「メルカリ」サービス開始から10年 ブランドランキング1位は「シャネル」から「ユニクロ」へ | 繊研新聞 (senken.co.jp)

 

取引件数を元にしたブランドランキングは、13年は1位が「シャネル」だったが、22年は「ユニクロ」となった。開始から10年を経て、自分が日常使いしている物を手軽に売却するという消費行動が定着したことを反映している。

さらにアパレルブランドでみると、13年に「ベビードール」「ヒステリックミニ」「イング」といった子供服や若い女性向けブランドが多くランクインしていたのに対し、22年は「ナイキ」「ジーユー」「ザラ」「ザ・ノース・フェイス」などが入った。「世代や性別を限定しないアイテムを取り扱うブランドの取引が増加している」(メルカリ)と、マストレンドの変化がうかがえる。 

 

とある。この1位ユニクロという結果は何も2022年に限らず、聞くところによると2010年代後半すでにユニクロが1位になっていたともIT界隈からは聞いている。

 

メルカリスタート時の2013年のブランドランキングはシャネル、ルイ・ヴィトン、ベビードール、ヒステリックミニ、グッチ、コーチ、イング、アディダスとなっているが、22年はユニクロ、ナイキ、アディダス、ジーユー、シャネル、ザラ、ノースフェイスの順になっている。

特筆すべきは1位ユニクロに次いで6位にジーユー、8位にザラがランクインしている。逆にラグジュアリーブランドでランキングに残っているのはシャネルだけであとは10位以下に脱落してしまった。

 

こうなった理由はさまざまあるのだろうが、当方もそうなのだが、ラグジュアリーブランドというものに親しみを感じて欲しがる人が減ったということではないだろうか。

実際当方はラグジュアリーブランドの商品が欲しいとも思わないし、ましてや中古で買いたいとも思わない。

 

逆にユニクロ、ジーユ―、ザラあたりがマス層に広がっていて親しみもあるし、売買需要もあるのだろうと考えられるのではないだろうか。

 

もちろん今でもラグジュアリーブランドの売買は一定数量あるのだろうが、こういうランキングになると、2010年代前半に言われていたような「ラグジュアリーブランドにはリセールバリューがあるから高くても惜しくない」という消費行動は減少していると考えた方が的確ではないかと当方は考えている。

 

また記事には

最も取引されるカテゴリーはファッションからエンタメ・ホビーへと変化している。14年のカテゴリー別構成比はレディス(37%)とメンズ(16%)で約半数を占めていたが、23年はレディスが18%、メンズが16%となり、代わりにエンタメ・ホビーが14年の11%から23年は28%に伸長した。

とあり、ファッションそのものへの興味の低下が示されている。

特にコロナ禍以降はその傾向が顕著になったのではないかと考えられる。理由は、2020年以降、ガンプラやポケモンカード、プレイステイション5、ワンピースカードなどのホビー系に転売ヤーを含む多数の消費者が殺到し、品薄状態、値上がり状態になっている。一方、2020年以降、そこまでマス層が熱狂した洋服ブランドはない。せいぜい、復活した+Jくらいだろうか。あとはナイキの限定版スニーカーとかその辺りしかない。しかし、その+Jとて、一年後の秋冬物は最終的に値下げされて投げ売られるほどの売れ行きの鈍さだったから、ファッションそのものへの興味が低下しているととらえるべきだろう。

今後、ファッションへの興味が高まる可能性があるかどうかというと、個人的には無いと考えている。今のような感じで推移し続けるだろう。もう80年代のDCブランドブームや90年代の数々のファッションブームのような盛り上がりは戻ってこないと考えてアパレル各社は業務に取り組むのが賢明だと思っている。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2023/07/05(水) 1:57 PM

    リセールバリュ~とかいうw不思議な和製英語まで
    造ったのは誰でしょう???

    マァおおかたセコハン屋リサイクル屋そして本家は
    ネットビジネスなカネのもうじゃ連中でしょう

    いっぽう、末端の消費者視点で考えると

    「そもそも出品するのがスゲーめんどくさい」
    「トラブルになりそうで怖い」

    なので、ヲタ商品を除く日用品を顔が見えない
    相手と取引する人なぞいません。それこそドラッグ
    ストアで全部そろえるほうがよほど合理的です

    したがってヲタ品のシャネルをオクで調達する者は
    いても、ウニクロ希少カラーをオクで調達する者は
    そう数がいません

    ましてや新古品の定番ウニクロを
    オクで買う人は存在しません

    「どうしてもほしい」「なんとしてでもほしい」
    「プレミヤム価格を払ってでもほしい」

    という対象にはならないんですよ
    ふだん身に着けている洋服というのは

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