15%程度の人にしか利用されていないメタバースというアンケート結果
2023年2月17日 ファッションテック 1
いくら考えてみても理解できないのがメタバースである。
当方が理解できるメタバースはポケモンGOである。ポケモンGOというウォーキングゲームをやり続けているが、アバターを作り、衣装や小物でコーディネイトする。
無料アイテムもあるし有料アイテムもある。
ポケモンGOには他人とのチャット機能や通信機能は無いから、ただ黙々と歩いてポケモンを捕まえるかレイドバトルするかである。
当たり前の話だが、当方は自分のアバターに有料アイテムを着用させたことはない。カネがもったいないからだ。
だが、ゲームが進むにつれて無料アイテムが増え、ときどき着替えさせる楽しみは理解できる。アバターを着替えさせるために課金する人の気持ちは理解できるようになった。課金しないけど。(笑)
だから、そのレベルでのメタバースでの買い物の楽しみがあるということはわからないではない。
数年前はオンラインゲーム「フォートナイト」のアバターを着飾るために何万円も課金して服を買う人の気持ちは理解できなかったが、最近は理解はできるようになった。
だから、ゲームや音楽のライブ、映画、ドラマ、舞台演劇など、こういうエンタメ系でのメタバース活用は今後期待できるし、需要は高まるのではないかと思っているが、ショッピングのためだけのメタバースというのはそんなに今後も需要は伸びないと思っている。
理由は、わざわざ買い物のためだけの仮想空間に行きたいと思う人がどれほどいるのだろうか。アバターにバーチャルフィッティングさせられるとはいえ、実際に実物を実店舗で試着した方が、似合う・似合わない・大きすぎる・小さすぎるはハッキリと誰でも理解できる。百聞は一見に如かずである。
ところが、メディアは盛んにメタバースのショッピングの可能性を誇張・強調する。「〇年後には〇兆円市場が」という論調なのだが、現在の衣料品小売り国内市場に匹敵したり越えたりするほどの巨額市場にまで短期間で成長するとは到底思えない。
理由は、実店舗で試着してから買った方が確実性が高いことと、実店舗で買えない場合はある程度普及した通常のネット通販で事足りてしまうからである。
オンラインゲーム内とか、音楽ライブの配信用とかそういう空間で課金してファッションアイテムを買うことは今後さらに増えるだろうと容易に想像できるが、ショッピングだけのためのメタバースなんて大衆には必要とされないだろうというのが当方の見方である。
SNSが今ほど普及する以前に「セカンドライフ」というバーチャル空間が一瞬だけ話題となった。
その空間に集まって過ごそうというような持ち上げ方だったと記憶しているが、当方からすれば何の目的も持たずにバーチャル空間にログインして集合しても一体何が面白いのかさっぱり理解できなかったので、流し読みしておいた。
そうすると数年後にはすっかり消えてしまったので、当方と同様に感じた人の方が多数派だったのだろう。
今のショッピングだけのためのメタバース提案は、このころの「セカンドライフ」と同じに見えてしまう。需要はゼロではないが多数派にはなれないだろう。
実際、EC系の各メディアのアンケート調査でもメタバースは、企業・ブランド側の期待に反して、そして15%一部イシキタカイ系メディアの持ち上げ方に反して低調な結果が続出している。
直近で言えばこれである。
メタバースECなどバーチャルショップ認知度は3割。認知しているユーザーの約半数は利用経験 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)
この小見出しはやや小ズルくて、「約半数は利用経験」という文言に目が行きがちだが、この約半数というのは「メタバースを認知している人たちの約半数」という意味である。
そしてメタバースの認知度は3割なのだから、メタバースの利用者は全体のわずか15%に過ぎず、メタバースを利用していない人は全体の85%にも上るということである。
また
ただ、バーチャルショップを認知しているユーザーの44.2%がバーチャルショップを「利用したことがある」と回答している。内訳は「利用し、商品を購入した」が28.4%、「商品の購入をしたことはないが、サービスを利用したことがある」が15.8%。
という一節もある。
「利用したことがある」と答えている人は44%(これが「約半数」の実数)だが、そのうちの15・8%は「商品の購入をしたことはないが、サービスを利用したことがある」となっているから、実際は登録はしていてときどき覗くくらいはしているのだろうが、商品は購入していないのである。
実際にショッピングをしているのはわずか28・4%しかいない。
そうなると、メタバースはほとんどショッピング需要はないという話しになってしまうから、一部メディアが報道している「〇年後には〇兆円市場」というのはかなり楽観的な報道であり、下手をするとポジショントークに過ぎないと言わざるを得ない。
もちろん、新たな技術開発はどの分野においても必要不可欠だから、メタバースの技術開発も否定しないし、さらに研究開発されるべきである。
しかし、ショッピングのためだけのメタバースというのは、現状ほぼ意味がないし、実際に商品を買っている人の比率は少ない。何年か後、十何年後に備えて今から準備をするという姿勢なら各企業は取り組むべきだと思うが、〇年後に〇兆円市場に急成長などという極めて楽観的なポジショントークはメディアは控えるべきで、現状と実状を淡々と伝えるべきだろう。
仕事のご依頼はこちらからお願いします~↓
南サンはえらいですねぇ
どんなにくだらないもの・どれだけバカでも
カネにならないのがすぐわかるものでも
マジメに理詰めで考えて文章にする
しかも無代の媒体でwww
それも10年以上
素直にすごいな、と思います