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南充浩 オフィシャルブログ

アウトレット店のみでは・・・・・

2014年7月22日 未分類 0

 連休前にこんな記事を発見した。

「クリア」今秋復活、関西に4出店
http://www.senken.co.jp/news/clear-kstyle/

クリアというと、エレガンス系のレディースブランドとして関西圏では名高かった。
好調時には関西圏以外にも出店しており、ピーク時には10店舗強を展開していたと記憶している。
クリアはヴイクという会社が経営していたが、昨年秋でアウトレットを含む直営全店を閉鎖した。

新生クリアはどうなるのかというと、

エレガンスブランド「クリア」がアラサー向けとして今秋、復活する。婦人服のOEM(相手先ブランドによる生産)を主な事業とするケイスタイル(大阪市、梶田修平社長)がクリアの直営店、ネット販売事業を始める。9月に4店を新設する計画で、1号店は9月12日クリスタ長堀にオープンする。

同社は今年1月、クリアの商標権を取得した。クリアはもともとヴイクが開発、00年代のエレガンスブームをリードしてきた。

とある。

ヴイクは今年1月にケイスタイルへ「クリア」の商標権を売却したということである。

2000年代のエレガンスブームをけん引したブランドの一つであるが、2000年代後半には失速しており、直営店舗数を減らし始めている。
2000年代後半以降に多数の古株スタッフも退職している。

元々はセレクトショップとしてスタートしたが、店頭を断続的に眺めていた限りにおいては、自社製品比率が上昇するとともに勢いを失った印象がある。
とくに2000年代後半は構成比率で半数以上が自社製品だったのではないかと見える。

どこのセレクトショップにも付き物の悩みである。
店舗構成と利益確保においては自社製品の差し込みは必要不可欠だが、自社製品比率が高まりすぎるとショップの味が薄まってコアなファンが離れるというジレンマがある。

2000年代後半からはアウトレットモールへの出店を強化している。
関係者によると、アウトレットモールの売れ行きは好調にスタートしたという。

正規直営店の売れ行きがやや鈍化しても、ブランドステイタスはあったということだ。
値ごろ感のあるアウトレット商品なら欲しいという消費者が多かったわけである。

退職した古株スタッフに2010年代に何度かお会いしたことがある。
彼らによると「収益が悪化した正規直営店を減らして、好調なアウトレットとネット通販を強化する方針になった。正規直営店は全店閉鎖もありうる」とのことで、驚かされたことを覚えている。

実際に彼らの言葉通り、アウトレット店よりも先に正規直営店は全店閉鎖となっている。
昨年秋に「直営全店閉店」と書いたが、昨年秋に閉店したのはすべてアウトレット店であり、正規直営店はそれよりも前に全店閉店となっている。
ちなみにオンライン通販サイトもアウトレット以前に閉店となっていたようだ。

筆者は、不調な正規直営店を全店閉鎖して、好調なアウトレット店を拡大するという経営者判断に驚かされた。
不採算店舗を廃止して好調店を拡大するというのは定石といえるが、正規店を廃止してアウトレット店のみにするというのはブランドビジネスとしてはおよそ定石とは言えない。

正規直営店のないブランドのアウトレット品に価値があるかというと、それはありえない。

正規品はブランドステイタスがあるが高くて手が出ない。だから、値ごろ感のあるアウトレットを買いたい(それがたとえアウトレット専用に格安で製造されていたとしても)わけである。

正規品がなくなったブランドのアウトレットに対して消費者が価値を見出すはずがない。
正規品がなくなってしばらくの間はそれでも以前のイメージが残っているので、アウトレットもそれなりに動くだろう。
しかし、何年か経過すると正規品のイメージは消費者から消える。
そうなるとアウトレットも動かなくなる。

長年ブランドビジネスをやってきた会社がどうしてこんな基本的なことに気が付かないのかと不思議でならない。

多少利益面が悪くても正規直営店は1~2店舗で継続すべきだったのではないか。
効率のみを追及した経営は早晩行き詰るのだろう。
とくにブランドビジネスにおいては効率のみでは立ち行かなくなる。

旧クリアの消失はそれを証明しているように思える。

さて、9月から立ち上がる新生クリアだが、どうなるのだろうか。
一先ず期待しつつ見守りたい。

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