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南充浩 オフィシャルブログ

また一社・・・・・・・・

2014年6月9日 未分類 0

 ここのところ日本製への消費者の関心が高まっている。
例えば、阪急百貨店うめだ本店では6月4日からジャパンフェアが開催されている。
今回の6月4日からに限らず、阪急百貨店うめだ本店では「日本製」に関するフェアや催事が多い。

百貨店が催事を頻繁に組むということは、消費者の関心が高いと見ているからだろう。

しかし、実際のところ、国内の繊維製造業は毎年減少する一方である。

先日、児島の洗い加工業、三好染工が自己破産の準備に入った。

染色加工の(有)三好染工場(岡山県倉敷市児島下の町7-1-21、代表:三好勝己)は5月30日事業停止、事後処理を藤井秀孝弁護士(電話086-225-7100)に一任して、自己破産申請の準備に入った。

負債額は約2億円。

http://n-seikei.jp/2014/06/post-22408.html

とのことである。

洗い加工業というのはジーンズカジュアルパンツに特有の工程で、縫製した後に、一度洗うのである。
それで糊を落としたジーンズを通常はワンウォッシュと呼ぶ。

ジーンズの街(学生服とワーキングユニフォームの街でもある)として知られる児島だが、洗い加工場の廃業・倒産は毎年のようにある。
少し前には吉田染工が倒産している。

大きな原因の一つとして受注減がある。

ジーンズというアイテムは他の製品に比べて国産比率が高い。
それでも国内製造業すべてを支えることはできなくなっているのが現状である。

世間のブームはまるっきり効果がないとは言わないが、国内製造業が大きく回復するほどの効果はない。
せいぜい落ち込みを多少緩和できる程度だといえるだろう。

昨今の日本製ブームはあとどれくらい続くのだろうか?
それよりも日本の繊維製造業はあとどれくらい維持できるのだろうか?

働き手が減少して、外国人研修生に頼っていることを今は考慮しない。
これを考慮するとさらに問題は深刻化するからだ。

工場の受注減に歯止めがかかる様子がない。
また受注は減っていなくても工賃減にも歯止めがかかる様子もない。

こちらの原因は、流通の多層構造ではなく、製造段階の多層構造に原因がある。
これは以前にも書いたことがある。

店頭価格は大きく上げることはできない。微増なら御の字だろう。
良くて現状維持、下手をすると下がってしまっている。

店頭価格が変わらないなら、工賃を下げるしか利益を増やすことはできない。
大雑把にいうとそういう構図なのだが、利益が減少する原因はほかにもある。

与信機能のないブローカーやコーディネイターが多数介在するからである。
そうなるとその都度マージンが発生し、利益が削られることになる。

最近は少なくなったが、「ファッションには夢がある」とおっしゃる年配の方がちょこちょこおられる。
そのたびに違和感を覚えるのだが、現在の国内繊維製造業に携わっている人でファッションに夢を感じている人はほとんど存在しないだろう。

そう感じておられる方は、よほど現状認識が甘い方か、スーパーポジティブシンキングかのどちらかである。

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