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南充浩 オフィシャルブログ

外資ファストファッションブームが長続きしなかった理由を復習する

2022年9月26日 トレンド 2

9月21日にフォーエバー21とアメリカンイーグルの再上陸が報道されたわけだが、ここで2009年から始まった外資ファストファッションブームについて振り返ってみたいと思う。

以前から何度かこの話題をブログで書いているが、振り返って整理しておくことは悪いことではないだろう。

 

外資ファストファッションブームだが、2008年から始まり、2015年頃にはそのピークが終わっていたといえる。

では、なぜブームが起きたかだが、H&M、フォーエバー21が上陸し、ZARAが出店攻勢をかけたからというのが最大の要因だが、2009年にリーマンショックという経済危機が訪れ、消費者の節約志向が強まったからだといえる。当時は「安いさ」が何よりも注目された。

そして次に考えられることが、日本人特有の舶来コンプレックスである。要するに欧米ブランドには極端に弱いため、欧米から新上陸するブランドは話題となりやすい。

あとは、今は見る影もないファッション雑誌がそれなりにまだ力を残しており、その力による誘導もあった。もしかするとファストファッションブームがファッション雑誌が主導できた最後のファッションブームだったのかもしれない。2010年以降ファッション雑誌は販売部数とその影響力を急速に低下させて2020年代に至る。2010年代後半以降、ウェブが主導したファッションブームはあっても、ファッション雑誌が主導したファッションのブームは無いと当方は見ている。

 

この3つが相まって2008年以降大きな話題となった。

 

もちろん、国内企業も98年のユニクロショック以降、低価格化路線を進めていたから、国内外の低価格ブランドが軒並み日本市場に出そろうこととなった。

これによって、一部の物の分かっていないメディアの勘違いも含めて「低価格ブランド=ファストファッション」という間違った見方が出来上がってしまい、今もその弊害は続いている。

低価格の中でもユニクロは企画開始から店頭投入まで1年近く、早くても半年はかかるため「ファスト(速い)」では全くないのだが、いまだにユニクロをファストファッション大手と誤った報道をするメディアも数多く見られる。

 

しかし、ブームはそれほど長くは続かなかった。

2015年ごろには勢いは確実に落ちてきた。その理由はいくつか考えられる。

 

1、使用素材と縫製仕様の品質が低すぎた(同じ価格の国内ブランドの方が品質が高かった)

2、欧米的な面白いデザインとはいうものの、日本人がデイリーに着用できるデザインではなかった

3,手脚の寸法が長すぎるなど、商品が日本人の体型に合っていなかった

 

である。

どれも大きな要因なので順番に見て行く。

 

まず1だが、これは同等価格の国内ブランドの商品と比較すると相当に酷い物が多かった。「使用素材と縫製仕様のレベルが低い」と表現すると「業界関係者が細かいことを指摘しているだけ」と思われがちだが、本当に「着用レベルで困る」くらいの酷い商品が多々混じっている。

このブログでも以前にも書いたが、当方の知人でZARAのパンツを買ったところ、左右で脚の筒の太さが違っていたという。また別の知人はこれもZARAだが、シャツの身頃の脇が縫製されていない部分があり、穴が開いたままだったという。

外資ファストファッションの中では価格帯は最高のZARAでさえこの品質なのだから、それ未満の価格の外資ファストブランドがどれほど酷いかは理解できるだろう。

それに比べるとユニクロ、しまむら、ジーユーを始めとするハニーズ、アースミュージックなどの国内低価格ブランドの素材・縫製の品質ははるかに上回っている。よほど外国物が好きな人以外の支持は長く続かないのは当たり前である。

 

次に2だが、デザイン、色・柄とたしかに日本ブランドにはない面白さがあった。だが、多くの日本人には派手すぎる?奇抜すぎる?デザインや色・柄が多いため、デイリーには着用しにくかった。

もちろん、今でも「ユニクロはベーシックすぎる」とか「無印良品は地味すぎる」という指摘はあり、当方もユニクロ商品には飽きているが、だからと言って外資ファストファッションの商品を1週間毎日着用したいとは全く思わない。7割・8割がユニクロで、アクセントとして外資ファスト商品を差し込む程度が理想のバランスである。となると、外資ファストブランドの売れ行きはせいぜいでユニクロの3分の1とか4分の1が限界点ということになる。

そして、2015年ごろにその限界点に到達してしまったといえる。

 

最後に3だが、これはすぐに理解できるだろう。例えばZARAだが、当方にとってはトップスの袖丈が長すぎるのである。だから当方はZARAを絶対に買わない。

 

この3点によって当初は物珍しさでブームとなっていた外資ファストファッションブランドだが、2015年にはすっかり沈静化してしまい、その後、日本からの撤退が相次いだ。

ブームだから何回か買ったという人も、やっぱり着る上では不便なことが多いから、そのうちにユニクロなどの国内ブランドに回帰したというのが実態で、一部のイキり業界人が無双と持ち上げていたZARAでさえ、700億円台をピークとしてそれ以降はコロナ前まで売上高と店舗数を減少させ続けて現在に至っている。

 

価格がほぼ同等でも、品質と使い勝手の良さから考えると、外資ファストファッションの売上高が日本で減少するのは極めて当たり前のことであり、それらを凌駕するほどのブランドステイタスは所詮はファストブランドに過ぎないから持っているはずもない。

ファストファッションに限らず、スーパーでも飲食でも外資が撤退するたびに「日本は見放された」論をメディアでぶち上げる人間が少なからずいて、いつも呆れ果てる。

売上高が低下するのがなぜ「日本が見放された」のか意味がわからない。日本人が見放したから売上高が低下するので因果関係への認識がおかしい。

ウォルマート流では売れないのは、玉出や万代といったローカルスーパーの方が価格が安かったからだし、外資ファストブランドが失速していったのは、価格が同等でも国内ブランドの方が品質が高かったからである。

 

さて再上陸する2ブランドだが、フォーエバー21は、アダストリアのライセンス生産になるため、品質の問題はクリアできるだろうし、サイズやデザインの問題もクリアできるだろう。

一方、本社直轄での再上陸となるアメリカンイーグルだが、これは推測だが、本社は北米市場の好調を受けて強気になっており、前回の失敗は国内運営を任せた青山商事がヘボだったから、と考えているのではないかと思う。だから、我々が直接やれば上手くできると考えているのではないだろうか。

蓋を開けてみないとわからないが、その考えは恐らくは日本市場では通用しないと思われるのだが、どうなるのか定点観測してみたいと思う。

 

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 comment
  • とおりすがりの元・服売り より: 2022/09/27(火) 11:19 AM

    海外発格安ブランドが伸びなかった理由、1~3はまさに自分も同じことを考えており、自分が買わない理由とも一致してます。
    これまでZARAやH&M、Forever21や果てはBershka、TOPMANなどなどいろんなファストファッションブランドを不定期で見てきました。
    が、どれも1~3の理由に1つ以上該当してしまい、買うか迷って「うーん、やっぱいいや」ってなっちゃうんですよね。

    例外的にGapだけは諸事情でよく買ってましたが、それでも最近は物持ちが良くなったせいで買わなくなったし、そんな自分でもOld Navyは1回も買いませんでした。
    まぁこれはGapと価格帯やデザインが丸かぶりすぎる、という別の理由からですが…。

    さて、Forever21はちょっとどうなるか分かりませんけど、American Eagleは怪しいですね。
    最近そこまでアメカジが流行ってない、個人的にはGapなどなど既存ブランドと方向性が丸かぶりという逆風、しかも本国経営+デザインというダメ押し…。
    まぁアメカジは好きですので頑張ってはもらいたいところですが、Gapも閉店のほうが多くなりつつある状況なのに、うまくいくのかどうか。。。

  • BOCONON より: 2022/09/27(火) 12:23 PM

    たぶん南さんの仰言る通りでもあり,「 Forever21はちょっとどうなるか分かりませんけど、American Eagleは怪しいですね」というご意見も御尤もですね。
    最近御婦人方の間では,うちみたいな地方都市でもこんな感じのパンツ穿いたお若い人が妙に目立つ。…いやお若くない女性にも結構いるな。GU がずっと推してきた太パンツがやっと浸透してきた感じであります。たぶん体形隠しと,ちょっぴり威圧感があって電車などではガラの悪いオッサンや痴漢よけにもなりそうな感じが良いのでしょう(背の低い女子が着ると悲惨な事になりそうな気もするけど)。
            ↓
    https://veryweb.jp/fashion/357744/

    女子のジーンズは「GUレディ?」でいいとして,男子の場合「若者のジーンズ離れ」は本当に深刻ですね。さきの休日所用で東京へ出た時見るともなく見ているだけても「ジーンズ穿いた10代の男がほとんどいないな ...」と思いました。
    一方こんな感じの黒ズボンに白Tシャツの葬式ルックや全身黒の中国人ルックは少しどうかと思うくらい多い。うっかりすると中年男でも黒づくめだったりする。
            ↓
     https://www.webuomo.jp/fashion/233208/?shm-vp=3

    新大久保行ったら韓国人街が大盛況で立派な観光地になっているのにも驚いた。若い男が韓流アイドル風なキノコ頭だらけなのもむべなるかな。
    一方百貨店行くとアメカジ,アメトラ・ブランドはラルフ・ローレンも J.プレスもマグレガーも迷走気味だし,スーパーで売ってるアメカジ系ブランドも大方は(チェックのシャツとか)オジサン向けの無難な商品ばかりである。

    ・・・何が言いたいのかというと,フォーエバー21はとも角,アメリカンイーグルがこういう日本のファッション事情を知った上で再上陸しようとしているのかはヒジョーに疑わしい,という話であります。「僕だったらこんな時期に再上陸なんてとても考えられないね。何か秘策でもなきゃ失敗を運命づけられているようなもんだし」と思ったことでした。

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