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南充浩 オフィシャルブログ

無難さが支持されている

2014年5月27日 未分類 0

 以前、「毎シーズン、掲載内容がほとんど変わらないメンズジョーカーとSafariの2誌が売れている」と書いたことがあったが、その疑問が氷解した。

昨日、山田耕史さんのブログに

売れるファッション誌の特徴は「変わらないこと」?
http://t-f-n.blogspot.jp/2014/05/blog-post_26.html

が掲載され、その解答が示されている。

私が目を引かれたのは メンズジョーカーの橋本太郎編集長インタビュー。

メンズジョーカーといえば雑誌不況が叫ばれる現在でも15万部前後の発行部数を誇る人気雑誌。

ですが、そのちょっとロックっぽい細身のカジュアルスタイルは毎号殆ど変化が見られず、

何故売れているのか疑問に思っていたのですが、 今回のWWDのインタビューでその理由がわかりました。

その部分を引用します。

メンズジョーカー卒業生に向けた新雑誌「メンズジョーカーリラグジー」を他誌とどうやって差別化するのかという問いに対する返答です。

橋本:”ファッション偏差値”の高い男性に向けた競合誌とは一線を画し、
「メンズジョーカー」同様、最も実用的な媒体を目指します。

~中略~

「リラグジー」を含めた「メンズジョーカー」が目指すのは、
セグメントされたマーケットではなく、
全方位を狙う”究極に一般読者ウケするファッション誌”です。
メンズファッション誌の切り口にはテイスト別、国・スタイル別など
いろいろあるでしょう。

けれど、それにこだわるあまり可能性を捨ててしまうのは、
雑誌の都合で読者の興味や関心に満足に応えなくなることにつながります。
テイストやブランド、価格帯を問わず、「良いモノは良い」という シンプルなスタンスを大切にしたいです。

とのことである。

山田さんも言及されているが、ここでいう「ファッション偏差値の高い男性」というのはトレンドに敏感だったり、自分なりのテイストを持っている「オシャレな人」を指すのだと思う。

そういう人向けではなく、ファッションへのこだわりが少ない一般男性に向けているということになる。
ファッションへのこだわりはそれほどないが、ダサく見られるのはイヤだという人に向けて、毎シーズン、もっとも無難な着こなしを提案しているといえる。

Safariも同じことだろう。

メンズジョーカーとSafariは編集コンセプトはほとんど同じだと感じる。
違うのはテイストとターゲット年齢である。
メンズジョーカーは、細身のロックテイストで、メインのターゲットは20代だろう。
一方のSafariは、米国セレブカジュアルテイストで、ターゲットは30代半ば以上である。

ともに後発雑誌ながら、15万部前後を毎号発行しており、Leonやメンズノンノなどの先行有名雑誌を部数の上では凌駕してしまった。

Leonやメンズノンノは「オシャレに敏感な人」「スタイルにこだわりのある人」「過剰にモテたがる中年オヤジ(笑)」に向けて企画・編集されている。

部数が多ければ良いというものではないことは承知しているが、「オシャレではない、一般の人に向けた」雑誌が、「オシャレな人に向けた」雑誌を部数で上回るというのは、現在の日本社会におけるファッションの位置づけを象徴しているように見える。

多くの人が最先端のオシャレにステイタスを感じていたバブル期から2000年代前半ごろまでとは、まるっきり異なる風潮になってしまったといえる。
目玉の飛び出るような高額な金額を支払って、奇抜なデザイン・色柄の衣料品を買い漁るような文化は過去の遺物となりつつあるのではないか。

手ごろな値段(人によって想定する価格帯は異なるが)で、そこそこ万人受けするアイテムを組み合わせたベーシックな着こなし、これが現在もっとも支持されるスタイルであるといえる。

40代以上の年配層、とくに繊維・衣料品業界のその年代の人々には物足りないだろうが、バブル期から2000年代前半のようなファッションへの熱狂は当分戻ってこないだろう。ひょっとすると未来永劫戻ってこないかもしれない。

こういう風潮が主流になると、商品の色柄・デザイン・トレンド性ではなく、その商品やブランドの製造背景や、製作者・デザイナー・経営者の考え方や姿勢、そういうものに興味が集まることになる。もしくは低価格で高機能なベーシック商品か、である。

中級から高額帯を狙うブランドならば、今まで以上にそういうことを打ち出す必要があるだろう。

しかし、そういうものを色濃く打ち出すと、当然ファンも増えるがアンチも増える。
どうせ誰からも支持されるブランドなんて構築することは不可能なのである。だったら開き直ってそれを打ち出すほかない。

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