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南充浩 オフィシャルブログ

マスファッショントレンドで大規模に売ることが難しくなったアパレルビジネス

2022年7月27日 トレンド 0

梅雨明けが異様に早く一時期猛暑が続いたものの、戻り梅雨のような雨が続き、一旦猛暑はおさまった。

戻り梅雨が終わるとまた猛暑がぶり返しているが、これも数日後にはおさまるようで、今夏もなかなかに不順な天候である。

とはいえ、35度越えの猛暑日は自分の記憶に照らし合わせると2020年、2019年、2018年に比べてかなり少ない(関西地区)。2021年は8月のお盆に集中的に雨が続き、猛暑が終わった。

そんな夏だが、猛暑が減ったとはいえ、汗っかきは変わらない。大量に毎日汗をかいているわけだが、2016年まで愛用していたピチピチTシャツに比べると、2018年以降手持ちが増えたビッグサイズTシャツの方が不快感が少ないと感じる。

ピチTは汗を吸って体に貼りついて不快感が高い。それに比べるとビッグTシャツは肌に貼りつく部分が少なく、汗をかいた量は同じでも不快感は幾分かマシである。

最も快適なのは気温設定25度の冷房が効いた部屋に籠っているときであることは言うまでもないが(笑)。

 

で、こうなると多分、当方はビッグサイズのトレンドが終わっても、真夏はビッグサイズTシャツを着続けることになるだろうと感じている。

52歳にもなると、たしかにカッコヨク見られたいという願望はいまだにあるものの、それ以上に快適さだとか動きやすさなどを重視するようになる。昔は「ファッションは我慢だ」と言われたが、過剰に我慢してまでファッションにこだわりたいなどとは、初老のジジイはさらさら思わない。

で、何度も書いているが、ネット通販で服を買うたびにビッグサイズのありがたさ・便利さを思い知る。

というのも、試着なしで買ってみても「小さすぎて着られない」ということがほぼないからである。これは当方のネット通販でのストレスを大きく軽減している。

 

当方はオシャレでもなんでもない初老のジジイだが、トレンドに敏感な人からは「ビッグサイズトレンドのピークは過ぎた」との声も聞こえてくる。

たしかに、最近、ピタっとしたトップスを着た(ボトムはワイド)若い女性を少なからず見かけるから、それはその通りなのだろう。

恐らく、今後はビッグサイズは少し勢いを弱めるだろうと考えられるが、2000年代のように完全消滅することはないと当方は考えている。

それは、当方のような「快適さ」「便利さ」を痛感した層が少なからずいると考えられるからで、今後も一定の需要は残るだろう。

逆に2017年以降、ビッグサイズが本格的にマス層に復活したが、80年代や90年代のようにスキニーパンツが市場から消滅することはなかった。80年代~90年代なら細身の服は市場からほぼ消滅していた。

今回はその逆バージョンとしてビッグサイズは一定の需要として残り続けるだろう。

 

スキニージーンズブームが終わった2015年以降、それ以前からも兆候はあったとはいえ、完全にマストレンドは消滅して多様化したと考えられる。

ビッグサイズが復活したがスキニーも消滅せず並立している。若い女性でもストリート好きもいればフェミニン好きもいる。という具合で、各種アイテム各種テイストが共存している。

昔ながらの「今春夏の最新マストレンドはこれだ!」という大手アパレルの売り方は世情に反映されづらくなっているといえる。

大丸松坂屋・澤田太郎社長「店舗、オンライン、外商の3つの接点で寄り添う」

まあ、この見出しの「寄り添う」という表現は大丸松坂屋に限らず以前から気色悪いと感じていた表現なのだが、このインタビューの中で興味深い部分がある。

 

ファッションは「マスマーケット」で 語れない時代になった

WWD:ではマスマーケットや中間層にはどう向き合うか。

澤田:マスマーケットと所得の中間層はイコールではない。百貨店にとってのマスは、一括りにできる大きなかたまりのようなもの。ロングコートが流行だと宣伝され、それが飛ぶように売れた時代には確かにマスマーケットは存在した。今もデパ地下のミルフィーユがおいしいとテレビで紹介されると、お客さまが殺到する。しかしファッションにおいては、そういった意味でのマスマーケットはすでにない。

 

というこの一節である。

自分が物心ついたころからの記憶を回想してみると、80年代のソフトスーツブーム、80年代後半のDCブランドブーム、90年代のレーヨンジーンズブーム、ビンテージジーンズブーム、ローライズブーム、アムラーブーム、2000年代前半の神戸エレガンスブーム、美脚ジーンズ(ブーツカットジーンズ)ブームなど、とマスを席捲する大規模なファッショントレンドが次々と生まれては消えた。

もちろん、各ジャンルの中でのブランド間の優勝劣敗はあったが、マストレンドに乗っかったアイテムを提案していればある程度の売上高を稼げるという時代が続いた。続いたというよりそれこそが日本のファッション産業の在り方だったと言える。

だが、2015年以降、そこまでの大規模なマストレンドは誕生していないし、ビッグサイズのようにマス化したとしても細身の需要も一定数残っていて、何なら個人がその日の気分とコーディネイトによってビッグサイズとスキニーを使い分けるということすら普通に起きている。

例えば、ユニクロやジーユー、ワークマンが売れていると言っても、ファッショントレンドというよりは、高品質とか高機能とか低価格とか、そちらのスペック的な要素が強く出ていると感じる。

これを「マスのファッショントレンドだ」と勘違いしてしまうと「過剰な低価格競争」とか、「訳の分からない高機能競争」とか、はたまた「間違いが多数起きる物作り神格化競争」などが起きてしまう。

現にその特定要素に走って消えて行ったアパレル企業やブランド、ショップがこれまでいくつあっただろうか。

 

自社、自店、自ブランドの顧客に見合った提案をいかに行い、既存顧客の次の世代を顧客としていかに獲得していくのか、そこのプランニングがファッションビジネスに求められる時代となったのではないかと思う。

繰り返すが、もうマスのファッショントレンドに乗っかった商品を出せば大規模に売れるという時代ではなくなってしまったことを各社の経営陣は強く認識すべきだろう。

 

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