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南充浩 オフィシャルブログ

定番品強化で無印良品の衣料品苦戦はさらに続きそう

2022年7月13日 売り場探訪 1

ブランド力の高さの割に苦戦が続いているのが無印良品である。

食料品は堅調なようだが、衣料品は何年か前から苦戦続きとなっている。先日も2カ月ぶりくらいに無印良品の店舗を覗いてみたが、メンズの衣料品コーナーはさして変化している部分もなく「いつもの」感じだった。

また靴はメンズ、レディースともにこれも何年か前から変わり映えしない商品構成で、当方は食品には興味が無いから、衣料品・靴だけでいうと、見るべきものは無かった。

そんな中、WWDでは無印良品の会見で述べられた改革案が割合に詳細に掲載されており、他メディアではあまり見かけないのでなかなかに良い取り組みだと感じる。

今回はその会見で述べられた改革案を見てみたい。

業績低迷の「無印良品」 値下げを客数増につなげる成長戦略では限界

過去3年間にわたって定期的に値下げを行い、それによる客数増を成長ドライバーとしてきたが、衣服・雑貨カテゴリーの不振、円安、調達コスト高騰といった要因から、「価格見直しによる売り上げ増大は止まり、収益性が悪化している」。

とあるが、衣料品に関して言えば、もう値下げは限界だろう。これ以上下げると利益をさらに削ることになる。

示された改革案は5つある。

具体的には、①不振の衣服カテゴリーでの定番品を中心とした商品力の強化、②生産の内製化によるコスト削減、③商品軸でのマーケティング、④店舗の売り上げ構造の確立、⑤物流費やシステム費の効率化などの5つが改革の軸だ。

である。

5つのうち、4つはまずまず理解できる。しかし、1つだけ当方と認識が大きく異なる点がある。もちろん、当方の見方が必ず正しいとは言えないが、それでもこの点については、無印良品の見方に対して疑問しかない。

それはどこかというと①の不振の衣服カテゴリーでの定番品を中心とした商品力の強化である。

①については、21年秋冬に導入した男女兼用デザインの衣服が22年春夏も足を引っ張っていることをあげ、改めてニッチ層ではなく「多くの普通の人」に響く定番品を追求し、毎年のアップデートで磨き上げていくと発表。

と詳細が述べられている。

 

この詳細に対して、男女兼用デザイン服が足を引っ張ったということは大いに賛同できる。男女では似合うものが異なるから、同じデザインにすると2倍売れるのではなく、片方にしか売れないということはよくある。

例えば物凄くかわいらしい柄のプリントを施したとすると、女性には似合いやすいが、中高年の汚いオッサンには似合いにくい。だから、そんな物を男女兼用デザイン商品として発売する意味がない。女性品番として販売すればいい。

これがニッチで小規模なマニアックブランドなら「500枚売れたらそれでいいんです」ということになるが、無印良品のようなマスブランドになると、マスに売れる施策を行う必要がある。衣料品業界の人は、マスと趣味のニッチを混同してしまうことが珍しくない。

 

無印良品の衣料の問題点は、この会見で挙げられたように「定番品が弱い」ということではないと当方は見ている。特にメンズでいうと、ここ3年間くらいは「定番品しかない」ことが買い控えを促進しているといえる。

2022年7月の商品と2021年7月の商品、2020年7月の商品はほとんど変わっていないように見える。

どうせいつものTシャツ、ポロシャツ、前開きシャツしかない。

形は全く変わっていないようにしか見えない上に、シーズンごとのアクセントカラー品番(差し色品番)さえも無い。

だったら、昨年買った物・一昨年買った物で十分だから今年、無印良品で服を買う必要が無い。

ここ3年間の無印良品は変わり映えしない定番化した商品だけを販売しているように見える。世の中のエライコンサルは「定番品で長期間売れる物を」と提案しているが、それを愚直に真面目に反映した売り場が無印良品だといえるだろう。

自社で実験してみるまでもなく無印良品がすでに実行してくれていて実績も発表されているのだから、それを参考にすればいい。結果は今回の会見で言及されるほどに無残である。

 

ただ、定番が弱いからこの結果となっているというふうに今の良品計画経営陣は判断しているようなので、その点は見方が違うのではないかというのが当方の主旨である。

無印良品の衣料品売り場はあまりにも変わらないので、毎年、毎シーズン買う必要が無くなっている。これはMDの精緻な設計が必要になるが、無印良品はアクセントとなるデザイン商品を毎シーズン何品番か投入する必要があるのではないかと思う。

ユニクロはそこにユニクロUやアンダーソンコラボを(シーズンによってはマルニや+Jなども)当てているといえる。もちろん売れ残りによる値引き販売も発生してはいるが、営業利益を大きく下げないくらいの数量だと考えられる。そこのMDは精緻に計画されているのだろう。

当方は無印良品の衣料品にもこの考え方を導入すべきだと考えている。

たしかに変わり映えのしない定番的な衣料品だけにすると、来年も再来年も売り続けることは可能になる。だが、今シーズン買わねば、今年買わねばという購買意欲は全くかき立てられない。何年か後に「あの服そろそろ破れかけているから買い替えようか」という需要しか期待できなくなる。定番のみの展開は衣料品においては極めて愚策だといえ、その愚策をさらに突き詰めようとしている無印良品の行く末を案じないではいられない。

 

それと注目すべきは③の商品軸でのマーケティングである。

③は、これまでブランドとしてのイメージ広告しか行ってこなかった「無印良品」にとっては大きな変化。

とあるが、無印良品といえば80年代の「わけあって安い」というキャッチコピーに代表されるようなイメージ広告ばかりだった。しかし、今の世の中でイメージだけの広告はあまり消費者には響かない。特に低価格衣料品においては。それよりはユニクロのように「直接的に特定の品番をアピールする」方が効果がある。ここの改善はぜひともやるべきだろう。

そんなわけで無印良品の衣料品の苦戦は今後も続くのではないかと思う。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/07/13(水) 10:32 PM

    「21年秋冬に導入した男女兼用デザインの衣服が22年春夏も足を引っ張っていること」というのは僕がちょっと前こちらに書いた通りで「なんでああいう売り出した途端にネットのあちこちで “パジャマかよw” と物笑いのたねにされていたようなヘンなものをまだ売っているのやら」だし「今頃気がついたんかいw」でありますね。去年から売っていたブルース・リーも着ていた支那服(シナ= China だから差別ではない)風のジャケットとか,ク〇どうでもいいギンガムチェックのBDシャツとか,前開きのトレーナー生地のブルゾンといった怪体な服とかこれまた「誰が着るねんなw」「どうやらデザイナーも何をどうデザインしたら良いのやら困っていると見える」でした。

    しかし無印良品の根本の問題は,これも以前書いた通りで「定番風に見せていながら事実上若い人しか相手にしていないサイジング」にあると思います。先日も「プルオーバースタンドカラーシャツ(半袖)」というのが気に入ったけれど,見た目身幅が妙に大きいので販売員女子に「これ,今風のオーバーサイズってやつ?」と聞いたらすまなげに「ハイ,大きめに作っているんです…」というので試着したら思った通りでした。40歳過ぎた男がこんなたぶんSサイズでも大きいシャツなんて着られたものじゃない。まあ一昨年あたりの「一見ごく普通の白のボタンダウンシャツのように見せかけているが実は極端に細身短丈なので若い人が着てもキュウクツ」なんて代物よりは着られないことはないだけまだましとは言え,相変わらず丈も裾出しでないと着られないようなものだし「おっさんは来なくていいから」と言わぬばかりの旧態依然な塩梅でありました。

    かくして僕は疑問に思う。「定番品を中心とした商品力の強化」とはどういう意味なのだろう。「無印良品本来の “エイジレスで流行に左右されない服(をビミョーにひねって洒落た感じにもする)” という意味での定番商品に回帰するのだ」と本気で考えているのか。確かにそれをやらなければ(僕のような)おっさんおばさん達には遠からず完全に見切りをつけられるでしょう。でもそんな事をしても基本はやり物しか着ず,真っ白真っ黒な服を着るのが好きなお若い人たちには無印良品の色のくすんだ感じの服は「刺さ」りそうもない。
    ――といった次第で,無印良品はいつまでもどっちつかずな商売をやっていても仕方がないので今後は①ユニクロ並みにエイジレスだが,ユニクロより少しは洒落た服を目指す②もうこの際はっきり若年層向けに徹すると宣言する③いっそ洋服部門は廃止する・・・といったところにしか道はないと僕は思います。

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