買う理由が見当たらない
2014年4月28日 未分類 0
先日から在庫を買いたたいて催事で超低価格で販売するという会社の手伝いをしている。
3~4枚買って3000円弱という安さで販売している。
大手通販などの在庫品がメインなのだが、一枚一枚を見ると、デザイン・色柄や使用素材、縫製は悪くない。
正確にいうと値段の割には悪くないというべきであろう。
昨今の原料高の影響もあるのだろうか、綿やウールを使ったニットはあまり少なく、ほとんどがアクリル混やアクリル100%の素材使いである。
気になるのはこの部分くらいである。
もちろん、先端を行くようなクリエイティブなデザインの商品は色柄・デザインの物は見当たらない。
けれどもユニクロよりもちょっとだけ見栄えのする色柄・デザインの物はふんだんにある。
定価でも3000~6000円くらいなので、十分に一般大衆に手の届く値段である。
これを見ていると、最早、商品の色柄・デザインだけでは中~高価格帯にあるブランド品を買う必要性が感じられない。その価格帯の物を売るなら、色柄・デザインや商品スペック以外のことを整備する必要がある。
それには宣伝・広告の部分もあるだろうし、販促方法も含まれるし、直営店の店舗作りも含まれるし、ブランドのストーリー性みたいなことも重要になる。これらがなくて、単に「物勝負」となると、一般大衆には低価格品との区別ができない。おそらく筆者にもほとんど区別できないだろう。
20年前の安物の大手通販や量販店平場の商品と比べると、見た目の部分は大きく進歩している。
先日、こんなブログを拝読した。
東京のファッション・ウィークの売り上げ規模を今の4倍にするには?
http://www.wwdjapan.com/editorsview/muko/2014/04/27/00011629.html
ファッション分野に立脚する業界紙としては珍しく、デザイナーズブランドに対してシリアスな提言をされており、素直に評価したいと思う。
メルデセス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京に参加する各ブランドの年間売上高を合計400億円にするにはどうしたらよいかをみんなで考えよう、と。
企業が母体となっているいくつかのブランドをのぞいて、東京でショーを行なっているインディペンデント系ブランドの年商は多くて5億円、名前が知られているブランドでも2~3億円、大部分が1億円未満です。利益ではなく、売上高の話です。つまり、40ブランド集まっても100億円に達しません。
とあるが、これは筆者が以前にも何度か書いたことと同様の趣旨で賛同できる。
筆者は別にメルセデス・ベンツ ファッション・ウィークに何の興味もないので、そこでの売上高を増やすことに対して提言をするつもりはない。しかし、デザイナーズブランドはファッション・ウィークとは関係なく売上高を増やすことを志向する方が良いと考えている。
とくに年商1億円未満のブランドは。
ブログからは
どうしたら市場規模を今の4倍にできるのでしょうか?売り上げが大きいブランドの参加を促す?数を増やす?海外?靴やバッグなどアイテムの広がり?異業種とのつながり?コラボレーション?eコマース?
と、書き手自身が暗中模索しておられる様が伝わるのだが、それよりも前に、低価格品との違いを広く消費者に認知してもらう必要がある。
そこそこに品質が良くて、そこそこにデザイン性がある商品というだけなら、一般消費者にとっては量販店の平場商品で十分なのである。組み合わせによっては西友のPB商品ですら、それなりに見栄えがする。
そんな環境に包まれている消費者がなぜ、一枚数万円もする無名ブランドのジャケットを買う必要があるのだろうか。
同じ価格を支払うなら有名ブランドや海外ラグジュアリーブランドに支払うという消費者がほとんどだろう。
有名ブランドやラグジュアリーブランドはブランドとしての位置づけが確立されているし、消費者に浸透させ、ブランドステイタスを維持するために莫大な広告宣伝販促費を投下している。
売上高が極小なデザイナーズブランドに莫大な宣伝広告販促費は期待すべくもないから、自身でもっと発信をする必要があるだろう。
小手先の売り方変化や業界内部でのコチョコチョとした工作活動よりも、消費者に「そういう物を買おう」という風潮を植え付けなくてはならない。
そういう目的意識を持った発信をどれだけのデザイナーズブランドができるかであろう。