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南充浩 オフィシャルブログ

きれいな広告と売れる広告は別物

2014年3月18日 未分類 0

 久しぶりの連載再開で楽しみに読んだ。

イメージ広告では効果測定が無理?それは広告業界の思惑だ!
“費用対効果”を見ないで投資される広告費は無駄遣い!
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140311/260940/?n_cid=nbpnbo_rank_y

この記事である。
いささか長文だが広告に関して興味のある方は必読である。

筆者にも広告代理店に勤務する知り合いが何人か存在する。
横道にそれるが、広告代理店の業務にはいわゆる「広告」に関すること以外に、ノベルティグッズの手配とかイベントの主催なんていうのもある。
企業によってそれぞれ得意分野が違うから、広告代理店であっても「広告」をほとんど扱わずにイベントの主催ばかりやっているなんていうところもある。
また、ノベルティグッズの手配ばかりやっている広告代理店もある。

閑話休題

で、幾人か存在する代理店の営業マンはほぼ全員が「広告の枠」を提示するのみの能力しかない。

どういうことかというと、「人気ファッション雑誌○○の3月号で1P広告がキャンセルになったので、格安料金で出稿しませんか?」というような「枠」の提示である。
正確にいうと「枠」と「金額」の提示である。
「3月号の雑誌○○なら1Pあたり50万円で掲載できますよ」という提示のみに終始している。
広告の出稿効果をきちんと説明してシミュレーションできる営業マンなんてお目にかかったことがない。

彼らの多くがどうやって契約を得るかというと、相手企業の社長や広報担当者との「付き合い」である。

筆者は以前、1年間だけ今は亡きTシャツメーカーの広報を務めたことがある。
ピーク時の売上高が8億円程度しかなかった弱小メーカーだったが、何の気まぐれか、テレビCMを2週間放送したことがある。
早朝、深夜枠でテレビ東京系列のみの放送で、製作費を含めて総額3500万円ほど費やしたと記憶している。

で、テレビCMの効果というのは体感としてほぼゼロだった。

上の記事で示されているような出稿効果の測定は行わなかった。
上の記事でどんな測定がされているかをご紹介する。

広告キャンペーンのTVCMのGRPや新聞の投下段数などを日別にグラフ化。商品の出荷台数も日別にグラフ化する

本当に効果ある広告キャンペーンであれば、広告投下量に比例し、必ず商品の出荷台数も上がる

とある。

筆者の体感ではTVCMが流れている期間も取り立ててTシャツ類の出荷枚数は増えていなかった。
はっきりいうと効果がなかった。

ここまで読まれた方の中には「うちのブランドのCMはそんなことないよ。クリエイティブな作りだし、人気タレントの××を起用しているから」と反論される方もおられるだろうが、一度、自社でも検証してみられれば良い。
おそらく多くのブランドの広告は売れ行きに関してあまり効果がないはずである。

アパレルの広告というのは非常に難しい。
商品はシーズンごとに変わるし、ブランド名を連呼したところでそれがすぐに消費者に浸透するわけではない。

リーバイス501のような定番品ならやりやすいが、その手の商品以外は非常に広告として打ち出しにくい。
カッコイイ、カワイイモデルちゃんに洋服を着せて、スナップ写真のような広告を雑誌に出稿する場合もあるが、あれを見て「あ、このブランドのこのジャケットが欲しい」なんて思う消費者はあまりいないだろう。
「きれいなイメージ写真やな~」程度にしか多くの消費者は見ていないと感じる。少なくとも筆者はそうである。

はっきり言うと、「きれいなイメージ広告」なんてあまり商品の売れ行きに効果がない。
見栄えは悪いけれども手書きのチラシのような広告の方が効果があることが多い。

それはこの記事の中でも触れられている。

「話題になった広告」と「売れた広告」は全く別物

ということである。

そしてこの記事では、「効果のないクリエイティブな広告」が蔓延する理由を広告賞にあるとしている。
まあ、これはどこの業界でも同じで、○○賞を受賞した商品やブランドが必ずしも売れるとは限らない。

個人的な体感だが、アパレル業界で効果があったTVCMは98年ごろのユニクロのフリースのCMと、2010年のクロスカンパニーのCMくらいではないだろうか。

逆に効果のなかった広告活動ならアパレル業界には掃いて捨てるほどある。
もしかしたら、アパレル業界は広告代理店のカモネギなのかもしれないと思うほどである。

某ジーンズメーカーが、超大手の某広告代理店を10数年間使い続けたことがある。
毎年1億円くらいはその代理店に出稿していた。後半業容が厳しくなって年間5000万円前後に縮小したとも聞いているが、支出総額は10億円を超えているだろう。

で、その結果どうなったかというと、このメーカーは売上高がピーク時の7分の1にまで縮小し、経営再建が課題となってしまった。まさしくドブに金を捨てたようなものである。

「金額と枠」しか提示できない広告営業マン、「きれいな広告」「クリエイティブな広告」を作りたがる広告代理店の甘言には気を付けた方が賢明である。

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