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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販で「店舗在庫による店舗受け取り」を実装したワークマン、ユニクロ、ジーユー

2022年1月25日 ネット通販 2

前回のガンプラの話を引きずって申し訳ないが、1月22日に超人気機種のRG Hi-νガンダムをヨドバシカメラ梅田店の店頭で購入したが、ヨドバシカメラドットコムはその直後でも品切れのままだった。

ヨドバシカメラ梅田店への入荷数が10個程度なら、理解はできるが、レジカウンター内に山積みにされていた数量から推測すると軽く100以上はあっただろう。ヨドバシカメラの大型店は梅田店だけではなく、全国大都市にあるから、同様の入荷数として大型店全店合計は1000くらいはあっただろうと考えられる。

それでもネット通販は品切れのままなのだから、店舗在庫とネット通販在庫は連動していないと考えられる。

 

最近は衣料品のネット通販でもその品番の在庫が各店舗に残っているかどうかがわかることが増えている。

例えば、ユニクロとジーユーはもう何年も前から各店舗に在庫が残っているかどうかを調べられる。この機能を活用して何度値下げ品を買ったことか。

しかし、わずかながら不満はある。

店舗の在庫状況がわかるのであれば、ネット通販と在庫を連動すればもっと効果的に売れ残り品を減らすことができるのではないか、と。

 

先日、ワークマンのネット通販に関する記事が掲載された。

 

リアル小売も参戦!ネット通販戦国時代にワークマンが示した「店舗受取」による利益確保の勝ち筋 (1/2)|ECzine(イーシージン)」

 

一読するとそんなに目新しい内容ではないが、ポイントはここである。

 

そうした流れの中で独自路線、「店舗在庫による店舗受取通販」(BOPIS)を打ち出したのがワークマンだ。

 

とある。

単なる店舗受け取りだけではない。店舗受け取りだけならすでにユニクロ、ジーユー、しまむら、アダストリアがやっている。

ユニクロ、ジーユーでは4990円以上の買い物で送料無料、アダストリアは4000円以上の買い物で送料無料となるが、それ未満だと送料がかかる。

どれも値下がり品を買うのが楽しみなので、規定金額未満の場合も多々ある。その場合、ネット通販で購入して店舗受け取りにすると送料無料になる。これもちょくちょくと使った。

せっかく990円に値下がりした商品を買っているのに、送料に500円も使うのでは何のために買っているのかわからない。

最初、ワークマンの通販も単なる店舗受け取り送料無料だと思っていたが、「店舗在庫による」店舗受け取りである。ということは、ワークマンはネット通販と店頭在庫を一定レベルで連携させている(恐らく完全連携ではない)ということになる。

 

ユニクロ、ジーユーに関する店舗とネットの在庫連携について、その道に詳しい人に尋ねたことがあるが、かなりの費用がかかるので早期には実現しにくい、というのが答えだった。

当方の興味としてはどの程度まで在庫連携させているのか、そのノウハウはというところが知りたかったのだが、先の記事ではそこまで書かれていなかった。

どの程度の連携なのかはわからないが、ユニクロよりもはるかに連携は困難なはずである。

なぜなら、ワークマンの店舗は95%以上がフランチャイズだからだ。一方、当初のネット通販はワークマン本社の管轄である。

店舗の在庫はフランチャイズオーナーの所有物であり、当初のネット通販の在庫は本社の管理である。

これを連携させるのは相当に難しい。

ユニクロ、ジーユーの場合、フランチャイズは一部を除いてほとんどないので、連携しやすい。

どのようにしてこの難しい作業を行ったのか、どの程度の連携なのか興味があるといのはそのためだ。

また店舗受け取りのネット通販売上高は受け取り店舗の売上高として計上されるそうなので、フランチャイズオーナーに配慮したシステムであるとも考えられる。

 

ただ、このことを持って「ワークマンが最も先進的だ」と判断するのは早計である。

いつの間にかユニクロもこの「店舗在庫による店舗受け取り」を実装している。いつから始まったのかさだかに記憶していないが、2021年のどこかの時点で始まったと記憶している。

店舗在庫検索の機能は同じで、在庫が豊富に残っている店舗の中で一部店舗に「pick&order」というタグがついている店がある。これは商品ごとに異なるのだが。

このタグがついている店では、店舗在庫をネットで購入して店舗で受け取ることができる。当然送料は無料だ。

実は、1月11日、思い立ってハイブリッドダウンパーカのネイビーを買おうとした。

7990円まで下がっていたが例年だと5990円に下がるのでそれまで待とうかと思っていたら、年末年始の寒波でネット通販も店頭在庫もかなり無くなってしまった。ただ、いつもよく行く何店舗化の店には在庫が残っていた。

オンライン100円オフクーポンもあったので、これを使う意味でも試しに「pick&order」を使ってみた。

しっかり100円オフして7890円でポチった。

 

すると、ポチって1時間~2時間後くらいに「商品が用意できました」というお知らせメールが来た。通常のネット通販だと出荷メールが来るまで早くても翌日、遅ければ数日くらいかかる。ネット通販→店頭受け取りでも数日前後かかることはは変わらない。それに比べると格段の速さである。

当たり前といえば当たり前だ。店頭に並んでいる物をピックアップするのだからものの何十分かで可能である。

 

それに比べると単なるネット通販よりも店頭在庫のネット購入は格段に速いという利便性がある。

ちなみにジーユーもこのpick&orderを実装している。こちらはまだ使ったことがないが、恐らく速度はユニクロと同様だろうと考えられる。

 

そんなわけで、ネット通販と店舗在庫の連動はかなり難しいという答えが以前は返ってきたが、ユニクロ、ジーユー、ワークマンは実現し始めている。

ユニクロとジーユーは売上高2兆円のファーストリテイリングのブランドであり、ワークマンはカインズやベイシアを擁するグループ企業で、どちらも資金力は桁違いに大きい。

巨大資本だからこの実装が可能になったというわけで、零細・中小企業はネット通販でも利便性では大手に勝てない状況となってきた。「ネット通販は実店舗に比べると格段にコストが安いから小規模でも戦える」という認識は過去の遺物になったということを強く認識すべきである。

 

こんな本をどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2022/01/25(火) 11:04 AM

    小売ド素人が考えると、POSシステムで売上げたのが分かれば、それをリアルタイムで集計するだけで在庫がどれだけあるかは分かりそうな気がしますが、そのくらいのシステム追加でも難しんですかね?
    ま、うちのダメ金属加工工場なんかは、材料の在庫は使うたびに紙に書いていますがw

  • ただの より: 2022/01/25(火) 12:06 PM

    たしか東京シャツもネット通販と店舗在庫を連動させてましたよ

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