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南充浩 オフィシャルブログ

国内で売れない物が海外で売れるの?

2013年12月6日 未分類 0

 数年前に中国経済が絶好調だったときに、「日本製を打ち出した高額品を中国に売ろう」という製造業者の計画が多数あった。ただし、断っておくと、例えばエドウインのように自家工場も持ちながら長年製品ブランドを販売している製造業者ではなく、生地製造だとか染色加工だとかを請け負う製造業者である。

生地製造だとか染色加工のみの業務ではやはり苦しい。
自社の技術を活かした製品開発が各社ともに急務なのだが、各種商品が溢れている国内市場よりも、経済が急成長している中国の方が売りやすいのではないかという考えが背景にあった。

たしかに、国ごとに人間の嗜好は異なる。
日本人に受けない商品でも他国人になら受ける可能性はある。

中国経済に陰りが出た現在では、中国販売の機運は沈静化したように感じられるが、
クールジャパン戦略の立ち上げとともにその対象先が欧米や東南アジアに変わっていくのだろうか?

しかし、原則的に考えて、無名の海外ブランドがいきなりその国で売れるとは到底思えない。

例えば、日本人もイタリア製だとかフランス製だとかの舶来物が大好きだが、デザイン的にイマイチでしかも知名度のないブランド製品のタグに「イタリア製」「フランス製」と書かれてあっても、それが決め手で売れることはほとんどない。値段を激安にして船場の問屋街ででも売れば、通りすがりのおばちゃんが「これ、イタリア製て書いてあるけど5000円で安いわ~」と言って購入する可能性はあるが、その程度の売れ方だ。

これを逆にして考えれば良い。

日本製が海外で評価されているのは事実だろう。
けれども、知名度のないブランドでデザインもイマイチではなかなか売れにくい。
それでも売るための唯一の方法としては低価格に抑えることだが、製造業者は低価格品を作って売りたいのだろうか?
「日本製」と書いてあるだけで売れるなんてことはまずない。

先日、アーバンリサーチの竹村幸造社長に久しぶりのインタビュー取材をさせていただいた。
その席上、竹村社長は「新ブランドのセンスオブプレイスは確かに海外進出を目指しています。しかし、来年すぐにでも海外に飛び出そうというのではない。国内でそれなりに知名度を高めてから海外に進出します。国内で売れない物が海外で売れるはずがない」と言い切っておられた。
筆者はこの意見に深く賛同する。

数年前、中国経済が急成長していた当時、某産地で、中国向けにストールやマフラーを販売しようという会議があった。結果立ち消えになったのだが、筆者はそれで良かったと思っている。

好景気に沸く中国だから日本製の高額品が売れる可能性がある。
ここまでは良い。

だから産地で製造した生地を細く切ってストールやマフラーにして高額で販売すればいけるのではないか。
というのがその主張であるが、この結論が間違っている。

まず、売るためには中国人の嗜好を知らねばならない。
どんな色柄が好まれるのか、どんな風合いの生地が好まれるのか。

また売るための製品を作るにはディテールにも工夫を凝らす必要がある。
全長は150センチなのか180センチなのか、2メートルを越えるのか。
フリンジを付けるのか付けないのか。付けるとしたらフリンジの長さは10センチなのか5センチなのか。

こういう検証をすべてすっ飛ばして「日本製」だけで売れるのなら世の中に苦労は存在しない。
もし、実現したとしても失敗に終わっていただろうと推測する。

それから数年経っている。
こういう考えで海外市場へ進出しようとする製造業者は今もいるのだろうか?
ゼロではないと思うが、ブランドの知名度はない、デザインはイマイチ、価格は高いという「日本製」ではどこの国に進出しても売れないだろう。
海外進出を志向する前に、まず国内でそれなりの実績や評価を作ることが重要ではないか。
いくら、レッドオーシャンの国内市場といっても、今までゼロだったところから数千万円分の売上高を作る程度の隙間は存在する。

まず市場を熟知しておられるはずの国内市場で試すのが先決ではないか。

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