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南充浩 オフィシャルブログ

オフプライスとアウトレットの違い

2021年6月24日 トレンド 0

コロナ禍が始まる少し前から我が国の業界内でも「オフプライスストア」が口の端に上り始めた。

しかし、我が国の現状からすると、先行して存在していたアウトレットストアと何が異なるのか?としか感じられないのが正直なところである。

我が国の現状に照らし合わせると、

 

アウトレットストア=ブランド直営店、ブランドのフランチャイズ店

オフプライスストア=様々なメーカーやブランドから在庫品を安く仕入れる

 

という違いがあるというふうに考えられる。

 

だが、買う側の立場から見てみると、アウトレットとオフプライスの大差はない。業界人がそこまで大騒ぎするほどのことなのかとしか思えない。

大騒ぎするのが業界人の常だといえるのだが。

 

WWDのこの記事によって疑問がいくつか氷解した。

オフプライスストアは単なる安売りにあらず 巨大流通になった背景 鈴木敏仁USリポート | WWDJAPAN

鈴木敏仁氏のレポートは、WWDへの外部からの寄稿の中でいつも群を抜いている。

 

オフプライスというアイディアは百貨店のマーシャルフィールド(MARSHALL FIELD)が1879年頃に始めたもので、これを本格的に独立ビジネスとしたのは1909年に開業したファイリーンズ・ベースメント(FILENES BASEMENT)だと言われている。百貨店の地下でコモディティ商品の過剰在庫を集荷して安く売るビジネスモデルで、これが衣料中心へとシフトして進化していったのがオフプライス業態である。

 

とあり、オフプライスの歴史は我が国の現状からすると、予想外に古い。

そして

ちなみにオフプライスとアウトレットの違いが分からないという人が少なくないので説明しておこう。アウトレットとはもともとは工場がB級品(または傷物、不良品)の現金化を目的として隣接して営業する直売所のことを言い、オフプライスとは発祥が異なるし厳密には取り扱う商品の性格が異なっている。このアウトレットをひとまとめにするショッピングセンターが登場して人気を博したことで言葉が一般化し、アウトレットという言葉がよく使われるようになって、オフプライスでは言葉のインパクトがないからアウトレットという名称を使う企業が増え、線引きがあいまいとなって今に至る。

とある。

 

これには驚かされた。

アウトレットというのは元々はB品(正規店頭には並べられる品質にない商品)・傷物を売るための店だったということで、過剰在庫を処分するのは元々オフプライスの役割だったというわけである。

そして、アウトレットをまとめたショッピングセンター(=我が国でいうところのアウトレットモール)が登場して人気を博したため、アウトレットという言葉が一般化し、オフプライスではインパクトに欠けるという理由からアウトレットという名称を使うようになったということである。

 

名称を変えて新たに販促を仕掛けるというのは、我が国の衣料品業界でもよく使われる手だが、アメリカの流通業界でも同様のことが行われていたということである。

アウトレットという名称への認知が高まったから、古くてインパクトに欠けるオフプライスもアウトレットと呼称するようになった。

これには本当に驚かされた。

 

TJマックスはディスカウント型なので対象顧客層は低所得層だとどうしても考えがちだが、実はそうではない。キャロル・メイロウィッツ(Carol Meyrowitz)前CEOがこんなことをコメントしていたことがある。「トレジャーハント的な面白さを楽しむのは所得層に無関係だ」。

こうやって仕入れられた商品がトレジャーハントとなり、今買わないと後で泣きを見るメンタリティにつながることになるわけだ。ただし店舗への供給を意識的にコントロールしてトレジャーハント感を高めて需要を作るということもしている。単に仕入れて売って宝探し環境が作れているわけでもない。

またオフプライスだけではなくて再発注可能なプロパー商品も実はけっこう多いらしい。

しかもオフプライスの供給が少ない定番カテゴリーではPB(プライベートブランド)を作っており、比率は10%を超えている。

という。鈴木氏がリポートしているTJマックスというオフプライスストアは、すでに単純なオフプライスではなく一部PBも企画生産しているというから、古着とPBをミックスしていたころのウィゴーやハンジローみたいなやり方だといえる。

 

ラルフローレン(RALPH LAUREN)の最大取引先はTJマックスだという話は業界ではよく知られた事実なのだが、両社ともにいっさい口外しないこともよく知られている。ブランドメーカーを守るためにTJマックスはポリシーとして口を閉ざすのだ。店頭においても、プロモーションはブランド単位ではやらない。広告もブランド単位では出さない。陳列もブランド訴求はあまりしない。ブランドを前面に出さないから、ブランドメーカーは安心してTJマックスと取り引きできる。

このことは同社がネット通販をやらない理由の一つとなっている。ネット上では簡単に価格比較ができてしまうのでブランドメーカーが困るのだ。

またバックルームに在庫を持たず可能な限り陳列する手法を取っているため、バックルームが小さく、インストアピックアップや宅配といったフルフィルメントのスペースが作れないこともネット通販をやらない理由だと説明している。

そもそも店舗が繁盛している。つまり店舗にお客が来る小売企業にとってネット通販は不要なのである。業務プロセス改善のためのデジタル化は今の時代いかなる小売企業も必須だが、しかし必ずしもネット通販が必須というわけではないということだ。

 

とのことだ。

大手著名ブランドの最大の売り先がオフプライスになっているが、TJマックスという巨大オフプライスは「ブランド名を使っての販促」をしなくても売れるということである。

さらにいえば、ブランドとの信頼関係を守るためにネット通販をしないという点も考えさせられる。

特に、「店舗にお客が来る小売企業にとってネット通販は不要なのである。(中略)必ずしもネット通販が必須というわけではないということだ」という指摘は一考する価値がある。

「ネット通販比率が高ければ高いほど優秀企業」とか無思慮に提言するコンサルやメディアがいかに的外れかということがわかる。

 

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