マス層は基本的に「商品はなるべく安く買いたい」と考えている
2021年3月26日 トレンド 2
たいした趣味も持っていないので、仕事をしているとき以外は、ガンダムのプラモデルを組み立てていることが多い。
なんだかんだで毎月、新商品が発売されるから、際限がない。
で、このガンダムのプラモデルを買う際、自分ならなるべく安く買いたい。もちろん、それを実行している。
2020年2月ごろまではその手段がAmazonだった。家電量販店は基本的にほぼ一律で2割引きなのに、Amazonは3割引きとか35%オフが普通で、場合によっては40%オフ、50%オフという安値だったからだ。
当方が本格的にネット通販を使い始めたのは、ガンダムのプラモデルを入手するためだったともいえる。
しかし、昨年3月の新型コロナからAmazonのガンプラ価格はほぼ軒並み上昇した。需要増とともに転売ヤーが買い占めてしまい価格が高騰している。定価ならまだマシで定価以上の値段になっている品番も珍しくない。
そこで、近所のジョーシンに目を向けると、こちらは今も変わらず2割引きで販売している。
そちらで買うようになるのは当然だろう。2020年3月からはAmazonでガンダムのプラモデルを買うことはほとんど無くなった。
欲しい物はなるべく安く買いたいと思う人はマジョリティーであると当方は思っている。
ガンダムのプラモデルに限らず、飲食でも洋服でも同じである。
最近でこそ減ってきたが、SNSが普及し始めた当初、「安い物を買うのは悪」という価値観を振りかざす人は多かった。
衣料品業界の人も客単価下落で苦しんでいたから、そういうキャンペーン?に乗っかる人も多かった。
そりゃ確かに低価格品が売れれば高価格品は売れにくくなる。洋服の場合はバーゲンでの投げ売り品が増え、各店・各ブランドの粗利が削られるから死活問題であることは理解する。
しかし、件のキャンペーン?には疑問しかない。キャンペーン?に乗っかっている人で、そこそこ深い交流のあった人も何人かいたが、彼らの生活スタイルを知っていると、説得力ゼロやんけとしか言いようがなかった。
たしかに洋服については当方のようにユニクロの最終投げ売り品を買っていないかもしれないが、ではそれ以外のジャンルはどうか?
パソコン、スマホ、自動車、バイク、食べ物、居酒屋などなど。
どれも「あの商品は値下がりしてたから思わず買ってしまった」とか「あの居酒屋はビールが180円で安いから愛用している」とか、そういう話ばかりだった。
おいおい、それって安い洋服を買う人と何が違うの?
って話である。
安い洋服はダメなのに安いパソコンはOKなのか?
理由がまったくわからない。
先日もこんな矛盾したツイートが短時間の間に流れてきて笑うほかなかった。一応、アカウント名は消しているが同一アカウントの発言である。
過去に会った多くのイシキタカイ系業界人もこの状態だった。
上のツイートはまったく彼らと同じである。しかし、実際の生活では彼らは値下がりしたパソコンを買い、値下がりした自動車を買い、低価格食料品を買って、喜んでいたわけである。
上のようなことを主張するなら、この人は9円高い78円のパンを買うべきだし、過去に会ったイシキタカイ系業界人たちは定価でパソコンや自動車を買うべきだし、食料品はなるべく高い方を買うべきである。
パソコンや自動車を安く買うことは許されるのに、安い洋服を買うことだけは許されないのは何故か?
当方には全く理解ができない。パソコンも自動車も洋服も等しく「商品」である。
洋服だけはそれほど神聖不可侵な存在なのだろうか?
さすがに最近は、かつてのイシキタカイ系業界人の主張を見かけることは大幅に減った。
安い物を買わないという生活スタイルをすべてのジャンルで貫くには、相当に高い収入を得る必要がある。平均的な収入では全分野において中価格帯~高価格帯の商品でそろえることは不可能である。
イシキタカイ系業界人がその主張とは裏腹に、当方と似たような消費行動をしていた理由は、当方と同様に収入がそれほど多くなかったからだろう。
現在はそういう主張を見かけることがだいぶと減った。
低価格な洋服は絶対に無くならない。常に存在し続ける。
このブログでも何度も書いているように低価格衣料品はすでに80年代には存在していた。ダイエーやジャスコ、マイカル、イトーヨーカドーが業績を伸ばして成長できたのは食料品のおかげもあるが、衣料品もそれに大いに寄与した。
ということは、ダイエーやイトーヨーカドーで衣料品を買う人はかなり多かったということである。
その低価格衣料品で育てられたのが当方である。
今後もブランドは入れ替わるだろうが、低価格衣料品という商材自体が無くなることはない。
そこに巻き込まれないようにするために、自身の生活スタイルと矛盾したような「低価格品=悪」みたいなキャンペーンを展開しても無駄でしかなく、低価格品が存在することを前提とした上で、どのように違いをアピールするのか、どのように顧客を獲得するのか、を考えるべきだろう。
基本的に人間は安い物が大好きだという前提に立つ必要がある。
その辺りを整理して考えることができないと、生活必需品では無くなってしまった衣料品というジャンルでは、商品開発やブランド開発を間違え続けることになるだろう。
54%オフで販売されている龍激丸をどうぞ~
comment
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どん より: 2021/03/27(土) 10:54 AM
低価格商品と値引き販売商品は別物でしょ。
私は洋服が好きだから、値引き販売しないブランドは信用できて格好良いと感じるのでプロパー価格で喜んで買っている。
ガンプラ はちょっと興味ある程度なので値引き販売してる店を探してしまう。
PCやスマホは、ほぼ興味ないのでやすけりゃなんでも良い考え。
何にお金を使ったら心が満たされるかの話にすぎない。
好きでもない洋服についてだらだら文章書くのが辛そうですね。
僕も最近は「普段着なんぞにお金かけたくはない」と思っているのでユニクロや GU,しまむらで買い物する事が多い。と言っても所謂アウター(ブルゾン,ダウンジャケット,コートのたぐい)はあまり買いません。嫌味と思われるかも知れないし,気にしない人は気にしないのだろうけれど,安い店のそれは発色等が悪すぎていかにも「安物」という感じがするので(ユニクロのこの冬のJ.W.アンダーソンコラボ商品もダッフルコートやマフラーなどはヒドいもんでした)。
だから最低でもスーパーに出店しているクロコダイルやハッシュパピーとかの物を買って着ています。ズボンや無地のカジュアルシャツや普段着用の革靴風な靴(GUのものは案外 “高見え” する)などは安く済ませていますが,それでも結構お洒落だと言われる。「今日の格好,ジャケット以外はユニクロだよ」なんて言うと驚かれたりする。あるいはしまむらで買って母親に贈ったニットアンサンブルなども好評で「なんでおまえはしまむらでこんな色柄のものを見つけられるんだい…?」と半ばあきれ顔で言われた。僕は「そりゃ見る目がなきゃ見ても目に入らないだろうしねw」と言っておきました。
以上は別に自慢ではなく,言いたいのは「一度は洋服にお金をかけた時期/経験のある人間でないと見る目が出来ていないから “お洒落” というほどの事をやろうと思っても無理」ということであります。「ユニクロだけでお洒落に」「おしゃれに必要なのはセンスじゃなく理論」とか言っててもたぶん一生無理だと思う。と言ってもまぁ「高いものは長く着られて結局お得」なんて話を真に受けて,所謂モード系ハイブランドの1シーズン着たら捨てる服とか,輸入物の日本人体型にはまるで合わないスーツなんて着ててもしょうがないので,お金かけるならベーシックな服じゃないとダメでしょうが。
僕が百貨店好きなのは若い頃おおよそ百貨店で買ったトラッド系の服で洋服の良しあしが分かるようになった(ついでに美術も結構分かるようになった)と思っているからです。南さんのおっしゃる事に反対はしませんが,世の中僕みたいに「気に入った服なら少々分不相応な服でも買う」というような人間も少しはいないとアパレル業界はもう完全にお終いだと思いませんか? アピールしようとしても,そして実際低価格ながらいくらか洒落たものを作っても,最初から安いものしか買う気のない人はたぶん(機能くらいにしか)関心を持たないと思いますよ。