オフプライスストア向け商品が企画製造されるようになるのではないか?
2020年9月4日 トレンド 0
アパレル業界の最近の流行キーワードは「D2C」「クラウドファンディング」あたりだが「オフプライス」も次点くらいにランクインするのではないかと思う。
アウトレットとどうちがうの?という疑問が湧くが、間違っているかもしれないが、個人的には「第三者の販売業者が複数の他社から在庫品を仕入れて売る」のがオフプライスだと思っている。
例えば、南という業者が、ワールド、TSI、三陽商会などという他社から売れ残り品を仕入れて売るのがオフプライスではないかと思う。
アウトレットは、ワンブランドとか、自社の在庫のみという縛りがあると思う。
例えば、ワールドが自社の複数のブランドの在庫品を売る店がアウトレット店である。
当方の認識はこうである。
で、今後、オフプライスストアやショーイチに代表されるような在庫処分業者の店が増えることは間違いないだろうと思われる。
ただ、増えるスピードがどれくらいなのかはわからないが。
先日、雑談していると、こんな予想が出てきた。
「オフプライスストアが増えれば、そのうちにオフプライスストア専用の安い新品の服が作られるのではないか」
という予想である。
アウトレットモールが全国に普及すると、アウトレット専用の低価格の新品が作られるようになった。あれのオフプライス版である。
それを豊島とかヤギとかモリリンあたりの繊維商社がOEM事業として請け負うのではないかという予想だが、これは十分に実現する可能性があると当方は見ている。この手の繊維商社がアウトレット向け新品ですでに実績があるから、それを今度はオフプライスストアに流せば済む話である。
どうして、アウトレット専用の新品が必要になるのかというと、大きくは2つの理由がある。
1、複数のアウトレットモールへ出店すると、在庫品だけでは足りなくて店頭を埋められなくなる
2、在庫品は基本的に不ぞろいなので、それで店頭を構成するとごちゃごちゃして見にくくなる。日本人はアウトレット店といえどもそういう店頭ではあまり買いたがらない
この2点に対応するためにアウトレット専用の新品という不可思議な商品が日本では生み出されることになった。
在庫処分店に定期的に立っている身からすると、在庫処分店の店頭はどうしても商品が不ぞろいなのでごちゃごちゃしている。初期のアウトレット店と同じ状態である。
こうなると「探すのがめんどくさい」という人が少なからず出てくる。商売というのはニーズに対応すれば売り上げにつながりやすいから、これに対応するというのも一つの手段である。
もう一つの手段は、そういう消費者を教育することだが、こちらはけっこうな時間がかかってしまうので、採る店は少ないだろうと思う。
現在、在庫処分業者のショーイチが急速に国内に直営店を増やしている。
たしか昨年4店舗くらいしかなかったのが、今年に入って急増しておりすでに全10店舗体制となっているだけでなく、これからさらに3店舗をオープンさせる。
おりしも、オンワード樫山や三陽商会が百貨店内の店舗を大量に閉店する。ショッピングセンター内の店を閉店するアパレルも多い。ジャパンイマジネーションは4ブランド以外を閉鎖するので、ファッションビル、ショッピングセンターから退店する。
こうなると、百貨店、ショッピングセンター、ファッションビルなどの商業施設は、店が埋まらなくなる可能性がある。
新型コロナの影響で、「ドンドン出店しまっせ~」なんていうアパレルはほとんどない。
必然的に埋まらないところにオフプライスストアや在庫処分店が誘致されることになる可能性は低くないだろう。現実的にショーイチがこれからオープンする店はイオンモール内が1店舗ある。
恐らく今後はそういう要請がショーイチに限らず、オフプライスや他の在庫処分店へも増えるのではないかと思う。
そうなると、多店舗展開する場合、やっぱり店頭が埋めきれなくなって、新品を調達せざるを得なくなる可能性も高いのではないだろうか。
そんなとき、これまでOEM事業を得意としてきた、豊島やヤギ、モリリンあたりの繊維専門商社が、新たな収益の柱として、オフプラス向けの新品低価格衣料品を強く提案してくるのではないかと思う。
過去に、アウトレット専用商品を企画製造するのがアウトレットにふさわしいのかという論争があったが、それと同様にオフプライス向け専用商品を企画製造するのがオフプライスにふさわしいのかどうかという論争が起きることになるだろう。
最終的にはアウトレットと同様に、そういう「なんちゃってオフプライス」が市場には溢れることになるのではないかと思うがどうだろうか。
そんな感じでオフプライス、在庫処分店を生暖かく見守り隊と思う。