新規参入ブランドは「市場規模の把握」が不可欠
2020年8月26日 企業研究 2
全てのジャンルの洋服に当てはまるとは思わないが、新規参入する際には「市場規模」を計算する必要があるだろう。
明らかにニッチな商品なのに「できるだけたくさん売りたい」みたいな人を少なからず見かける。
え?そんなデザインで何億円も売れると思っているの?と失笑しかけるが、温厚な当方は常にその言葉を飲み込んでいる。
その点で考え方がロジカルで見事だと思うのは、ジーンズ系ワーキングウェアブランド「BMC」の青野睦社長である。理系大学出身なので考え方が根っからロジカルである。
ブランドの展開方法もロジカルで、まず自分が好きで出身でもあるジーンズをスタート。通常のベタなファッション好きだと、そのジーンズをファッション専門店に拡販しようと努力するが、それはなかなか結果が出ない。ここでいう結果とは、売上高を増やす、取引先軒数を増やすということである。
なぜなら、ファッション専門店で勢いのあるところは数少ないし、そこに売り込みにくるブランドは増える一方である。必然的に競争率は高まる。無名の新参ブランドが選ばれる確率は低い。
そこで、作業服専門店へ同じ商品を売り込むことにして、今に至る。
ちょうど、ワークマンブームが起こりかけている時期で、作業服業界もファッション化が進んでいた。ワークマンブームの陰であまり報道されることはないが、プーマやアシックス、ミズノなどの有名スポーツブランドがワーキング業界へと参入し始めていたころだから、時流ともマッチした。
作業服業界も価格競争が厳しい世界だし、これから、プーマやミズノ、アシックスに限らず、有名ブランドが参入するだろうから、BMCが今以上の急激な成長を遂げることは難しいだろうと思う。
そこで次に選んだのがバイクウェアである。
当然、市場規模はニッチだと思う。何せ国内のバイク搭乗人口は年々減っているし、国内の販売台数も減っている。東南アジアでは逆に市場が拡大していると聞くが。
なぜ、42歳バイク免許なしの青野社長がバイクに興味を持ったのかは謎である。
昔からキムタク主演のドラマ「ビューティフルライフ」に憧れていたというが、それをなぜ今実現しようと思ったのか。
個人的にはバイク免許の次は、美容師免許にも挑戦してもらいたいと思ってしまう。(笑)あと、水色のリュックと目に突き刺さるようなトーンのオレンジ色の中綿ジャケットも必須だと思う。
さて、ほぼ趣味?っぽい感じでバイクウェアに参入するのだが、ここからお得意のロジカルシンキングが始まる。
気になる方は本文を読んでいただきたい。
*バイク車体販売の市場規模
→バイク関連市場規模において最も大きな占有率になるであろう規模を把握*バイクの免許保有者数と年齢層
→ライダーへ向けてバイク衣料品を提案するので、その人数と年齢層を把握もうね、これだけのデータを把握できれば市場参入する為の道筋がズバーっと見えてきますよ٩( ᐛ )و
これをGoogleで公式データを検索しながら割り出していくわけである。広告代理店とかマーケティング会社とかはこういう作業をしているが、アパレルブランドはどうだろうか。
特に零細・小規模アパレルは勘・感性頼りである場合が多いと、これまでの経験上感じている。
何となく売れそう
何となく求められていそう
何となくクリスタル
みたいな「何となく」という人が多い。まあ、勘というのもバカにはできないが、それが必ずしも正しいとは限らない。当たることもあれば当たらないこともある。通常は当たらないことの方が多い。
なんやかんやと検索して
*国内年間販売台数:70万台(新車・中古車)
*国内年間市場規模(推測):1.65兆円
というところに行き着く。
そして、さらにそれを細かく分析する。
俺はBMCっていうメンズ衣料品を扱っているので、
狙うターゲットは、免許保有者の中の男性 900万人 です。
幸いに保有年齢比は各25%なので、BMCの支持層である30-40代で考えると、参入市場ターゲット:バイクに乗る30-40代男性 450万人
そこからさらに
積極的にバイク衣料品を購入する:30-40代男性 39万人
ターゲットとするバイク衣料市場規模: 39万人 × 3万円 = 117億円
となる。
*ターゲット人数:39万人 × 0.5% = 1.95万人
*ターゲット売上:117億円 × 0.5% = 5,850万円
という結論に落ち着く。
もちろん0・5%という確率は願望だったり目標だったりするが、妥当な目標ではないかと思う。
こういう計算をすれば、目標が立てやすい。目標が立てられると行動にも移しやすい。
しかし、個人的に見知っている零細・小規模ブランドの人は
「このテイストが好きな人なら誰でも」とか
「できるだけたくさんの人に支持してもらいたい」とか
そういう目標設定が多いと感じる。
そちらの方が間口が広そうだが、目標設定が漠然としすぎていて、販売戦略を描きにくく実行しにくい。少なくとも当方が当事者ならそう感じる。
「できるだけたくさんの人」みたいな漠然とした目標を立ててしまうと、漠然とした告知活動、漠然とした販売活動、漠然とした営業活動、にならざるを得ない。
それゆえに結果を出しにくい。(売れない、取引先が広がらないなど)
青野社長のロジカルシンキングな目標設定が参考になるのではないかと思う。
そんなBMCの上下セットアップをどうぞ~
専門学校で教鞭を執っておられるようですので
このあたりの ロジカルシンキングを
学生さん達におそえてあげてください
特に デザイナー希望の方々に
もっとも かれらは 名前をアルファベット表示した
なんちゃって自己ブランドを青春の思い出に作るのが
入学の目的であるかもしれませんが